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異能部  作者: KAINE
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西岸高校の日常その8

 この日を指折り数えた事がない教師は西岸高校に居ないだろう、異能者を受け入れる県内でも数少ない高校として数多く異能者が卒業してきた学校として本当に数多の異能者を受け持って来たが、だからと言ってノウハウがなんでもかんでも揃っている訳ではない、そりゃあ生意気な子供とか増長した奴とかのノウハウはあるが躊躇なく彼氏を爆殺毒殺するような生徒や毒殺爆殺されて五秒後に何事も無かったかの様に授業を受ける生徒なんて例外が過ぎる、その上に使っていない教室を一つ占領して自称部活を初める様なのは過去に類を見ず、蛇の骨やネズミのミイラが鞄から出てくるなんて教師からすると珍しくもない光景に比べればその衝撃は教室でいきなり暴れだすような生徒の比ではない。

 とは言え授業態度や成績は文句無しに優等生で人付き合いも物凄く悪いという訳でもなくマイナス面を補って余りある筈だった、唯一思いもよらずこれ迄も無かった訳ではないにしてもここまで苛烈な物は無かったのが排斥過激派による襲撃だろう。

 校門前でデモやビラ配りなら過去にも経験しているし通報等で対応できた、だが入り込んで来るようなのは全く居なかった訳ではないにしてもその頻度とあろうことか凶器まで持ち込んでなんてのは想定外が過ぎる、おかげでたった三年で監視カメラの数だけでも三倍になり鳥避けくらいしかなかった塀の上は有刺鉄線が巻かれ警備体制も見直された、若干以上に刑務所っぽくはなったが安全性は大幅に向上していて教師や事務員用務員も含めた大人達は数ヶ月に一度は不審者対策の訓練を受け登下校の時間だけだが雇われた警備員が門前で目を光らせている、物々しさは隠せないが安全性は大幅に上がり、しかしそれでも何故か上回る特殊部隊みたいなのが入ってくるという悪循環はさしもの教師陣や理事会を辟易とさせて受け入れの中止や退学処分を含めた意見も少なからず出た程だ、それをどうにか校長が取り成してこの日を迎えてまたぞろ逸脱したのが入学してこない限りは平穏な日常を取り戻せた訳だ、そしてあんなのがそこら中に居るならこの国はもうお終いだろう、少なくとも関東圏には居ないだろうし世界を見渡しても比肩しうるのは一人として居ない、これから先、生まれてくるかもしれないが関東圏でない事を願うしか無いだろう。


 「自分、此処で何してんねん、証書受け取ったんやし(はよ)家帰って赤飯でも食べぇや」

 「モラトリアムを名残惜しんでるだけですよ、ほら俺ってもう数ヶ月先には社長ですから」

 「大学行こう思たら行けたやろうに、まぁ自分の成績やとこの辺じゃ滑り止めの滑り止め程度の偏差値しかない所しかないけど、地元離れるんやったら九州の方で成績に見合った所も有ったんやで?」

 「考えはしたんですが流石に九州は遠いかなと、それに卒業したところでマトモな会社が異能社雇うのって希ですし、雇ってくれたとしてご存知の用にトラブルしか舞い込まないんで年内に首切られますよ」

 「あー、確かに他の社員の安全とか考えたらそれは有るな、まぁ会社興すんやったらやったで雇う人間の安全担保せなアカンなるけど、その辺は自分やったら余裕やしな」

 「あー、それは頭から抜けてましたね、覚えておきます」

 「ソレがボケやと心の底から信じたいけどちゃうんやろうな、まぁ何おっ始めるんかは知らんけど精進しぃや、一国一城の主になるんやったら下のモンに不自由なく食わせんと男が廃るで」

 「一国一城というには規模的に小さい気もしますがね、まだ建設途中ですがプレハブとその隣に30坪無いくらいの平屋ですし」

 「それでも五人か十人か雇うんやったら立派なモンやで」

 「さて、その辺りは実働してからになりますね、とりあえず当面の目標は年間収支の黒字でしょうか」

 「まぁ何処の企業も年間収支は黒字にしたいと思っとるやろうけどな」

 「その辺りも未来の俺が何とかするでしょ、とりあえず人手を集めないと一人じゃどうにもなりませんし最強だなんだと言っておきながら体は一つですから」

 「自分そんなの当たり前やで、王様でも大統領でも一人でなんでもかんでもできるわけがあらへん、時間も体も意識も有限なんやから誰を頼って恥ずかしいなんて事は無いしそれを恥ずかしいと思っとる様な奴は無能も良いとこや」

 「最後の教えとしては金言過ぎてありがたさに頭が下がりそうですよ」

 「そう思うんやったらお世辞でも頭下げんかい、ホンマ自分はよう解らんわ、それでも教師らしい事できたんやったら冥利に尽きるってなもんやな」

 「世辞じゃないんですがね、まぁ良いとして、そろそろお暇して赤飯でも食べに行きます、三年間お世話になりました」

 「自分に言うことや無いけど気ぃ付けて帰りや」

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