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異能部  作者: KAINE
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当たり前の提言

 敵意には敵意を悪意には悪意を殺意には殺意を、例えそれが自分を害する程の力を持たないとしても相手を害するという行為は反撃等を考えるならば賢い選択ではない、平和的に事を済ませるというのは労力こそ掛かるが後腐れはないし後の面倒もない、拳で解り会えるような層ならばこの限りでは無いだろうが基本的に力だので目的を果たす場合、そこに余人が居るならば正義だとか悪だとか法律だとか以前に覚悟を決める必要がある。

 自分の意見を押し通す、自分の目的を押し通す、無理でも無茶でも道理が通っていなくとも不合理でもその果てに待っているのが歪みだろうと怨みだろうと受ける覚悟が必要で、同時にそれらの相手をする必要は実を言うとない。

明日か遠い未来か数秒後に怨んで襲い掛かってくる相手に何もせず蹴られ殴られ殺されてやる必要はない、それは間違いなく自分の起こした事の結果で罪で業だが、抗ってはいけないという事もない、自分が成した理不尽の結果を受け入れる必要はない、それで逃げ切れる筈もないし法の裁きに任せるならば間違いなく重罪化していくだけだが逃げ続ける事は可能だ、永遠に警官から或いは復讐者から逃げ続けるのは不可能ではないのだから、ただ気が休まらないとか一つ所に留まれないとかそんな理由を許容できるかどうかだ。


 さて、これらの前提は相手があくまでも一般に収まる場合にのみ適応する、相手が社会的か肉体的かを問わず己より強い弱いは無視して、ある一定のラインに留まっている場合にのみ有効で、例えば度を越した大金持ちならその資金力で人を雇い文字通り地の果てだろうと探し出して復讐を果たすだろうし、相手が国家ならば威信を掛けての戦争に発展しかねない、逆に捨てる物も無い奴ならば覚悟一つで鬼にも悪魔にも変貌する、では異能者相手ならと言うと物凄く答えに困る質問となる。

 何せピンキリで多種多様、かなり微妙を通り越して同年代の普通の範疇から一ミリ足りとも離れられないくらいの異能から光年単位で離れてる奴まで多岐に渡り個々人で答えが変わってしまう、その点に関しては異能を持たない者達となんら変わらないし頭が良いとかスポーツ万能とかゲームが上手いとか、その真逆とか、持つ者と持たざる者はその程度の差異でしかない、ただそこにほんの少しばかり異常が混じっているというだけだ。

では、例えば害意を悪意を殺意を持って異能者に迎い反撃を受けたならば、これは物凄く異様な答えを返すしかない、普通なら、異能を持たない者が相手ならリンチだとか社会的信用の失墜だとか、拷問監禁、殺害も含めて思い付くのはこの程度だろう、持つ者になるとまず規模が変わると言うか性質が変わる、例えばリンチをするなら手が届く範囲に近付く必要があるし反撃の危険性も本来ならある、例えば社会的信用を失墜させるには相応のネタと証拠を必要とする、監禁拷問ならとりあえず拉致する所から始めないとだし殺害も凶器によって難易度は変わるだろう。だが異能だとそう言った前提は関係ない、ソイツの能力と効果範囲内なら手が届かずとも、下手をすると壁や床を挟んでも打撃衝撃を与える事は可能だ、社会的信用を失墜させるのにネタも証拠も必要ない、ただそうする様に仕向けるなんて精神干渉が使えるなら容易いし物理干渉なら操り人形よろしく駅前でストリップだって可能だ、唯一空間系に関しては隠した証拠とかを盗み出す過程を必要とするくらいで家に誰が居るのかとか範囲内なら把握できるしこっそり鍵を複製するなんて造作もない、拉致にしても精神干渉なら自ら進んで監禁場所まで歩いてくるし空間系なら瞬間移動でご案内できるかもしれない、物理ならやはり操り人形でになるが、殺害、これはもっと容易い自殺させるか脳ミソをグチャグチャにかき混ぜるか、はたまた毒物を体内に入れるか、方法は幾らでもで証拠は残らない、故に対応とか対策がまるで役にたたなくなるのだ、何せ予想もしない角度から予想もしない方法で達成できてしまう。

車のブレーキに細工なんて知識が有るなら可能だろう、だから発進の前に確認してエンジンを掛けて確認して走り出せば細工されていても事故にはならないし、時限制や遠隔ならば装置を取り外すまでだ、だが走り出した車のブレーキを細工できるメカニックなんてこの世の何処を探しても見付かる訳がない、遠くから狙撃なんてのは一流のスナイパーとスポッターが組めば余裕だ、しかし狙撃できそうなポイントに信頼を置ける部下を大量に配置可能ならお気に入りの店のお気に入りの席に座るのは怖くもなんともない、だがライフルは勿論ハンドガンやマシンガン、どころか火薬も銃弾もなしに数百メートル先の人間の頭を撃ち抜ける奴は誰一人として居ない、お茶に毒を混ぜるなんてのも難しくはない、だから銀の食器が有るのだし毒味役も居る、しかし寝てようがプールで泳いでようが問答無用で呑ませられる奴が何処に居る、暗殺を防ごうと思えば一歩も外に出ずシェルターにでも籠るしかないが、そしてその外側を堅牢な建物と精鋭の護衛で固めるしかないが、それらを無視して現れるような奴には厚さ数メートルの壁とか、対物ライフルでも貫通しない防弾チョッキとか、あらゆる武術の達人だとか、そんなものは紙切れ程度の防御力もないだろう。

だからこそ、故にこそ異能者は恐れられる、何も復讐に限らず、あらゆる犯罪や善行を問わず、本来なら必要になる準備だとか道具だとかを無視して結果を産み出せてしまう、畑を耕すのに耕運機も鍬も必要としない、魚を捕るのに釣り竿も網も必要としない、これまで培ってきた科学の技術の結晶すら必要としない、勘も経験すら無視してしまえるのが異能だ、ある程度の制限は有るし向き不向きもある、ピンキリとは言えじゃんけんで例えるなら常に後出しを許される相手だ、わざと負けてくれる以外に勝ち目なんて存在しない。


 そして、言うまでもなく、考えるまでもなく、予想するまでもないがピンキリのピンに攻撃を悪意を害意を殺意を向けると言うのはリスクでは済まない程に危険を通り越して無謀、無謀すら超越して自殺願望と同義だろう。

 それも精神干渉と物理干渉の最高峰が互いに互いをサポートしていてセットで動いている、なんでもできるしなんでも叶う、そこに不可能が有るとするなら死人を生き返らせるくらいで万人を救う事も万人を殺す事も容易い、だからこそ悪意ではなく善意を、害意ではなく友誼を、殺意ではなく愛を示すのが最適解であり様々な面で恩恵を受けられる。

だと言うのにだ、それを台無しにしてでも、勝手に他人の財産を命を尊厳を賭けて害意を悪意を殺意を向けようとする、どれ程愚かしい行為か知っていても尚、己の心情を押し通すのは男気というにはあまりにも身勝手が過ぎる、特に相手が人の皮を被った化け物なら尚更だ、その鎖が外れた瞬間に全てを消し飛ばすような化け物だ、その気になればどんな鎖でも繋げない筈の化け物が気紛れで大人しくしているだけの化け物だ、それに手を出すと言うのは結果が解りきった事で敵の前で棒立ちとか高層ビルの屋上からダイブとか火口で泳ごうとするとか、まぁそんな所と同じだ。

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