表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能部  作者: KAINE
142/207

自宅の日常その7

 風呂は命の洗濯でせめてシャワーだけでも浴びてから寝たいというのは企業戦士ならば大抵は望んでいるだろう、とは言えある程度壁の厚いマンションでもリミットはおおよそ22時程度だろうか、間違いなく23時近い入浴は例えシャワーだけでも近所迷惑でそれをしたいなら一軒家を買うか銭湯にでも足を運ぶしかない、或いはそのマンションやアパートに自分しか住んでいないかだ、残業終わりだと翌日の朝に浴びるしかなく残業終わりで即寝て早起きしてとかなりキツイ事になる、だがそれがデフォルトだったりする者も少なくはないし会社からの帰路に銭湯を見付けて軽く汗を流してから帰宅とか対策を取る者もやはり少なくはないのだろう。

 とまれ、入浴は何も人類にのみ許された特権ではない、お湯は兎も角として鳥なら水や砂浴びをするし泥浴びする動物もいれば蟻浴びなんてのもある、汚れというよりは寄生虫対策なのだが身綺麗にするという意図や意識が有るかは兎も角として浴びるという行為は野生では当たり前だ。

そしてお湯や温泉ならば有名処は日本猿辺りだろうか、冬の寒さをやり過ごすために浸かっている様は冬場のニュースで風物詩のように放送される、では飼育された家畜ならばというと室内飼いの動物でも臭い等の観点から定期的に洗われるし外に出るタイプならダニやノミの抑制のためにも洗う事は有る、とは言え水を怖がる個体や濡れる事を嫌う個体も多く飼い主からするとけっこうな大仕事になるのがペットの入浴だろう。

仮に風呂好きシャワー好きの個体でも体を拭いたりドライヤーで乾かしたりとそれなりに手間は掛かる、相手は動物、大人しく最後までなすがままというのは相当に珍しくシャワーまでは順当に済んでもタオルで拭く段階になって暴れたりなんてのは珍しくもないしドライヤーを嫌がるのもまた同じくだ。


 故に、どの家庭のどのペットであれその洗い方は参考になる点が少ない、何せ洗う前のブラッシングすら嫌がったり、ほんの少し濡れただけで身震いして水を飛ばしたりとそれぞれがそれぞれに苦手とするポイントが違いすぎる、極端に言うと前段階である、風呂場に連れていく事すら大変なんてのも珍しくもないし世界中に蔓延っている。

 だというのにだ、世の中にはペットが風呂が好きすぎて困るという奴もやはり少なくはない、勝手に風呂場に入り、いつの間にか脱衣所に居て『さぁ私を洗え』と言わんばかりの目で訴え、ドライヤーまで含めてご機嫌を隠そうともしない個体も間違いなく存在している。

我が家の猫、誇り高き雑種のメス猫はこの部類に入る困ったちゃんで毎日毎夜のように風呂をせがむ、何がそんなに彼女を駆り立てるのかは誰にも解らないし流石にこんな事に彼の精神異能最強を使うのも宝の持ち腐れだろう、何にしても今日も今日とて風呂に入ろうと脱衣所に足を踏み入れればいつの間にか先回りしていたロシアンブルーに似た白色の毛並みを持つ男鹿松平兼守雪美さん4才はニャーニャーと甘えてみせて風呂のドアをタシタシと叩く。

だが悲しいかなつい昨日三日ぶり今年だけでも数えるのも面倒になった回目の入浴済みだ、今日の一番風呂が俺だったのが彼女の不幸で鬼の心で浮かせて廊下にさようならだ、ドアをガシガシしながら抗議の声をニャーニャーと挙げているが俺が体を洗い終わる前には何処かの部屋に幽閉される事だろう、流石に皆慣れたのだ、一番甘い親父でさえそっと抱き抱えてキッチンまで連行されるのにどうしてそう毎日毎日やって来るのか、仮に猫でも使えるシャワーとか在ったら毎日浴びてそうで猫でも使えるドライヤーが有るならば勝手に最後まで済ませていそうなくらいに固執している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ