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異能部  作者: KAINE
138/207

短編集その4

 「邪魔すんでぇ」

 「邪魔するんやったら帰って~」

 「なるほど、これが本場の返しですか」

 「やるんやったら最後まで乗らんかい、感想は一旦部屋出て突っ込んでからやで」

 「で、なんか用か?」

 「そりゃあ用が無きゃ校長室なんて来ないでしょう、職員室でさえ来たいって奴は少ないでしょうし」

 「ま、自分らの年齢ならそうやろな、で何や?」

 「今週末にまたごみ拾いするんで役所に申請します、んで」

 「また名前貸せと」

 「YES」

 「そのくらいはイチイチ許可取らんでも後付けで対処すんで? ほんまマメやな」

 「マメでも真面目じゃ無いですよ?」

 「自分で言ってたら世話ないな、まぁ自覚してるだけマシやしマメなだけ多めに見といたるわ」



 「お兄、またユキちゃんがソファ下で芋ってるから出して」

 「ん? あぁ爪切りな、風呂は良くても爪切りはダメって、なんなんだろうなアイツは」

 「さぁ? って言うかちゃんと爪研ぎマットとか有るんだから自分でやって欲しいんだけど毎回引っ掛かれるの嫌だし」

 「洗濯ネットにぶちこめば暴れないらしい、もしかしたら出てこなくなるかもしれんが」

 「ネット持ってくるから確保ヨロヨロ」

 「あいよ、ついでにソファの下掃除しとくわ」



 猫という生き物は心地好い場所を見つける達人だ、冬場であれば暖かい場所、夏ならば涼しい場所を見付けてそこに居座り、時に陽射しを浴びながら、時に風に当たりながら、時に炬燵の中で微睡みながら時を過ごす、そして何より気紛れで自由で、ニャーニャーゴロゴロと気儘に過ごし、物憂げに何処かを見詰めたり、何故だか部屋の角に目を向けていたりして見えざる物を見えているかのように振る舞う。

 「お兄、ユキちゃんがまた何か見てるけど、何か有る?」

 「空気と埃しか言えないな、物理的な何かは無い、物理的でないなら知らん、ってか幽霊なんぞどの宗教でも原則として居ねぇよ」

 「そうなの?」

 「キリストと仏教なら基本的に即あの世だ、過程は違うがね、イスラムとユダヤは知らん、神道なら霊魂は状態の一つでしかないし意味付けなければ意思はない、そもそも基本的には穢れを嫌うからな木っ端の幽霊なんぞ鳥居の手前で昇天だ」

 「それ踏まえてだ、仮に幽霊ってのが居るとして、死んで自由に動けるのにわざわざ人の家に上がり込むか? それもそこら歩いてる一般人のだ、芸能人とか有名人に取り憑いた方が面白いだろうし、美術館とか博物館とか入り放題見放題、ガラス越えて間近で何でも見れるしバックヤードも止める者無し、一般的な男なら女風呂とかに一直線だろうさ、他にもドラマの現場からハリウッドに普通なら行けないようなアマゾンの奥地だとか火口とか、そんなの見てたら生きてる誰かを呪う暇なんてないし地縛霊が憑いてきたとか言う奴居るけど地面に縛られた霊がどうやって憑いてくるんだって話だろ、鎖か紐かは知らんがそれら切って憑いてこれるなら最初っから切って動けば良いだろ」

 「あー、確かに世の中もっと面白い物も有るのにわざわざ一般人に憑くって護りたいか相当に恨みが有るかで行き当たりの人に憑くってオカシイ……じゃあやっぱり居るじゃない、お兄絶対恨み買ってるし」

 「その発想はなかったな、じゃあ名も知らぬ幽霊さんとやら、恨みも解るし取り憑くなら勝手にしろだが……俺が幽霊相手だからって手加減するとでも? それとも書類に書かれてる事だけが正しくて俺に第五の異能が無いとでも踏んでいるのか?」

 「私幽霊を脅す人初めて見たよ、テレビとかだと慰めて払ってるのに」

 「しかし効果は有ったらしいぞ、彫像の真似っこしてたユキちゃん毛繕いしてるし」

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