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異能部  作者: KAINE
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異能部の日常その19

 紅茶が好きだからとコーヒーを飲まないという事は無い、逆もまたしかりでこれを緑茶やハーブティーに置換しても同じで特定の物を口にしたからと死ぬのはアレルギー体質の人くらいで、それもIge値が高く投薬治療をしていないかしていても効果が薄く、手近にステロイドを含む抗アレルギー薬が無いか適切な対応が可能な医者が居ない等の条件が揃いアナフィラキシーを起こさない限りは起こらない、無理にでも例外を見付けるならば盥にコーヒーを注ぎそこに無理矢理頭を押し付けて溺れ死にさせるとか拷問と何が違うのか問いたくなる方法を使えば可能だろう。

 異能部の全員が基本的には紅茶派でフルーツティーやハーブティー、ブレンドも含めるならば茶葉だけで20種類は取り揃えていて電気ポットも温度を設定できる物、茶器もガラスや陶器プラスチックやステンレスまで取り揃えカップも湯呑みやマグ等、更に充実した品揃えは『お前らここで喫茶店でも始めるのか』という元生徒会長の言葉が見事なまでにピッタリと寸分違わずに切れ目とか恐らく相当に目を凝らしても見付からないくらいに当て嵌まっている。

対してコーヒーはと言うとスーパーで売っている中ではお高い部類には入るがインスタントの粉コーヒーで豆とかミルとかフィルターの類いは一切存在しない、紅茶やハーブティーのための砂時計は在るのにだ、如実なまでに好みの差が出ていて初めてこの部屋を訪れる人間でも主の飲み物の趣味は一目瞭然で、しかしそれでも気分転換というのは不意に誰でもするものだ。


 マグに粉をティースプーン二杯半、やや濃い目に容れる事以外は拘りはなく紅茶への熱の入れ方をほんの僅かにでも向けてやれとコーヒー党は思うだろうが紅茶党から見ればそんなもんだな、むしろコーヒーを飲むだけ穏健派と言える。

 「珍しいわね」

 「さて、半月ぶりくらいだと思うがね、そりゃあ珍しいのは認めるが」

 「私もたまには飲みますけど、このラインナップだとどうしてもお茶に行きますし、コーヒーも揃えようとか思わないんですか?」

 「思わんな、茶葉と同じくらい奥深い世界だが紅茶だけで手一杯だ、その上ハーブとフルーツにまで手を伸ばしてるからな俺が三面六臂の化け物なら余裕だが見ての通り腕は二本でな」

 「先輩はその気になれば千本でも万でも増やせますよね?」

 「うん、まぁ最低でも千手観音とボクシングできるのは確定だがそういう意味じゃ、いや先に物理的な例えしたの俺か」

 「綺麗な一本負けね、オーディエンスが居たならスタンディングオベーションものよ」

 「内容が内容だけに悔しくもならなきゃ清々しくもならないがな」

 苦々しげにノーミルクノーシュガーの濃いコーヒーを啜るがコーヒーの苦味由来で無いのは明らかだろう、と言うか普段ならばホットコーヒーを難なく涼しげに飲んでいる、むしろハーブティーやブレンドティーでハズレと言うか口に合わない物を飲む時の方がもっと渋面を作っているくらいだ。


 紅茶だのコーヒーだのを楽しんだならば当然の様に洗い物やゴミは出る、幸いにしてコーヒーだろうと紅茶だろうとハーブティーだろうと、全員が全員ノーシュガーのノーミルク派のため常備はしているがほとんど減らないスティックシュガーやクリーマー、ポーションクリーム、あるいはフレッシュクリームと呼ばれる液体を小さな容器に納めるタイプの物によるゴミは全くと言って良いほどに出ない、例外的に勉強だとかで糖分を摂取したいとか、ほんの少しばかりだがカロリーを摂取したい時くらいは容れるが本当に希で消費期限を見つつ職員室に寄付という名の処理を任せては新しい物を補充するという無駄をしている。

 しかし紅茶やハーブティーの場合、当然ながら出がらしが残る、それに茶器をそのままにしておくと茶渋が残る、と言うか洗っていても長期間に渡り使用するとどうしても出てしまう、そのため出がらしは小さなポリ袋に容れてそのまま燃えるゴミとして持ち帰り、茶器は食器用洗剤とスポンジで洗い、定期的にメラミンスポンジで渋を取っている。

北欧系の陶器やら信楽焼の湯呑みやガラスの茶器を気分に合わせて変えているため月に一度の渋取りは意外と大変な筈なのに全てが勝手に浮いて勝手に磨かれていくため手間と言えば部屋から部屋の外に在る蛇口まで運び、磨き終えた物を戻す手間くらいだ。そのおかげもあって茶渋が残る茶器は限りなく少なく純白の物は純白のまま、ガラスには曇りもなくそのまま店に並んでも相当な目利きでなければ中古品と気付くのは難しいだろう。

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