野郎供の日常その1
「なぁ立ち入った事を聞くが」
「ん?」
「お前さん、相当に狂ってるよな」
「何を今さら、どうして此処でってなるな、ゲーセン帰りのファミレスで聞く事じゃねぇぞ元会長」
「だから、なんだろうな、こんな当たり前の日だからこそお前の目にある狂気と、その見事な擬態が浮いて見える」
「ハッハー、ちゃんと見てるな元会長、そうだよ、俺は偽物だ、それがどうした?」
「すぐにそうやって茶化した風に、飄々とフザケて、おどけて見せるな、道化を演じるにはお前はかなり足りん、慣れてるから他の誰かにはそう見えるんだろうが」
「そんなもんかね、後輩なんぞ俺を能天気でスケベな奴くらいにしか見えてないぜ?」
「近すぎて見えない物も有るんだろうさ」
「男鹿、お前は心底深井君だとか影野君、俺や音矢君に家族でさえ友情だとか親愛を感じている持っている訳では無いだろう、そういうフリをしているだけでお前の本心本音を見せているとすれば面倒だと断じるか神に怨嗟を告げる時くらいか」
「自分のキャラクターならこうするだろう、こう言うだろうというロールを演じているだけで他人を有象無象としか見ていない、他人と合わせるなんざ誰でもするし誰しもが仮面を被っちゃいるがお前の裏は危険が過ぎる」
「で? それを言って、どうする?」
「どうするもこうするも無いな、ただ俺はお前をそう見るしそう見た上でお前を友とライバルと見ている、例え一顧だにされていないとしてもな」
「まぁ人の一面なんて角度の問題で中身なんぞ自分ですら解らんからな、妄言と思ってくれても構わん」
「なんて言うかだ、まずこの会話を後輩が聞いてたら友としての辺りでスケブ取り出す未来が見えるよ、未来予知してねぇのにだ、まぁそんなのは置いといて、それを面と向かって言えるのは素直に凄いと思うぜ? 相手が自分を有象無象としか見てないと解って言えるのは解らず言うより凄い、それも他の誰あろう俺相手にだ、ここまでハッキリと言ったのはお前入れても五人以下だ板田」
「そりゃあお前はかなりヤバい奴だがルールに抵触しないなら無害だしな、目には目を歯には歯を、悪意には悪意殺意には殺意、上から目線には更なる高みから見下して、力で抑えるならより強い力で抑える、逆を言えば真摯には真摯を友誼には友誼で返す、俺が敵対しないならお前はフザケてキツいジョークを言ったり笑いながら背中をバシバシ叩く事は有っても傷付けるまではしない」
「良く見てんのな」
「そういう言い方をすると深井君がスケブ取り出す通り越して漫画一冊書き出しそうだが、まぁなんだかんだと2年以上もライバルを自称してるんだ、敵を知り己を知ればだ男鹿」
「まぁお前の場合、敵を知る以前に緊張癖をどうにかしたら普通に俺と並ぶだろうが、でもまぁ、裏の事情とか知らずにそこまで見るのは凄いようん、当たってるとか当たってないとか以前に観察して思考していかないと到達しない見方だ、例えそれを妄想だとか、どれだけ穿った見方だと言われるとしてもそれを踏まえて口に出すってのは、それも本人ってのはお前もお前で相当に狂ってるぜ」
「そりゃあ誰でも何処かネジ外れてるだろうよ、筋肉を信奉したり、BLだったり、毒持ち歩いたり、ナチュラルに仮面被ってたり……いや、なんだこれ俺の周りろくなの居ない気がしてきた」
「ハッハー、板田、類友って素晴らしい言葉が日本には有る、俺から見たら何でも一番目指す変態だよお前さんは」
「返す言葉もないな、ぐうの音も出ない、しかしなるほど、どうやら一線は越えたらしいな」
「お前やっぱ良く見てるわ」