帰宅の日常
仕事を終えて帰宅できるのはおおよそ21時頃だろうか、最後の客対応や道路の混雑にも左右されるし途中で買い物等に立ち寄ったならば当然ながら遅くはなるが差はせいぜいが30分程度だろう。
空を飛ぶならばもっと速く帰宅もできるが夜中に空を飛ぶ人や車が連日連夜目撃されてしまう、それを好意的に受け止めて貰えるならば会社の宣伝にもなるだろうが間違いなくマイナスイメージにしかならないのだからメリットなんて早く帰れるという一つだけだ。
売り上げが生活に直結するのだからそこに意味を見出だすのは難しいを通り越して不可能だ、ほんの数十分早く家に帰っても時間的に野球の最終回に間に合うかもという程度だろうしシーズン中でないならば意味はないし今時テレビやラジオが着いていない車も珍しい、外付けでどうにでもなるしそれを見なければ死ぬなんて事もないのだから重点を置く事すらない、翌日のスポーツ新聞でも読んだなら結果は解るしネットでも解る、プレイをどうしても見たいと言うならば事前に録画でもしておけば良いし地上波で放送されていないなら衛星放送でも契約したならスポーツチャンネルが全試合は勿論海外のリーグだって放送している、つまるところ家でゆっくりと休めるという意外に一足飛びに帰宅するというメリットは無いと言える。
無理にでも例外を上げるならば妻が身重で頼れる親戚が回りに居ないとか、病弱な親や子と暮らしているだとかだが、それはそれで人には漏らせない疲労や辛さが帰宅の足を重くもしそうだ、後は子供が生まれたばかりだとかくらいだろう、やはり空を飛んでまで今すぐにでも帰りたいというのは余程疲れているとか仕事が嫌になっただとか物凄く家から職場が遠いとか、そんな理由くらいで、得られるメリットに対してデメリットが大きすぎる。
何よりバイクで走るのが楽しい、空を飛ぶよりも地を這う方が楽しいと言うのはオカシイのかもしれないが不自由さの中の自由は自由気儘を上回る事も有る、信号が有る、速度制限が有る、機体性能の限界が有り、ガソリンの容量だって有る、何もなく空を行くよりも不自由で、時に止まるしメンテナンスを怠れば簡単に壊れてしまう、そんな物が最も好ましいというのはオカシイのかもしれない、だが以前それを問われた際にロマンと答えたが、その答えは変わらない、空を飛んだ方が早いし楽だしエコだし安上がりだ、だがそれがどうした。風を切って空を飛ぶよりも風を切ってバイクに跨がる方がずっと良い、全国のライダーの何割かはこれに同意し称賛してくれるだろうがそれを誇るにしても異能者が何を言うと賛同してくれた半数近くが離れそうだ。
しかし、夜だとやはりトラックと家路を急ぐ者がそれなりに多いな、ホットタイムは既に終わり渋滞こそしていないが気を付けないと事故は起こるからな、自分からも他者からも気を抜けばぶつかるしぶつけるし転ける、特にトラックの横を通りすぎたり横をトラックが通りすぎると副産物たる物理エンジンと空間把握が有っても、その巨体故の圧がそれなりの反射速度と運動能力が有ってもゾッとはする,。
本当に不自由で、だがそれでも家に帰るまでの僅かな時間を悠々と楽しむとしよう。