趣味の日その2
スペースの都合や失敗で捨てざるを得なかった物達の武装や余剰パーツ、それらがまた息を吹き返すように、新たな機体のために力を貸してくれる様だ、最初の頃の塗りの甘い機体や針金やグルーで無理矢理止めたのを隠せていない機体、ある程度技術が着いてきたがやりたいだけ盛ってバランスを欠いた機体、全体のバランスや設定が上手く調和した物を作れる様になった頃の物、飾られた俺の歴史からさらにイメージを固めていく、色や各部に使うパーツ、そして一気に組み込んでいく。
ヤスリにカッター、ルーターにペンチ、道具を変えながら少しずつ少しずつパーツを作る、手足に体、頭にバックパック、武装も含めて一つずつ丁寧に。
途中でカップ麺を腹に納めてさらに没頭する、そうして全てのパーツが完成して仮組みが済めばもう夕方だ、一夜を明かすのは吝かではないしコンビニも近いため飯にも困らないが夕飯が要らないなんて連絡はしていない、一度帰って食事して、夜通し徹夜だな。
夕飯を済ませて風呂も適当に入り、荷物を纏めて再びの隠れ家だ、とりあえず塗装まで行けるなら塗装までだな、どうせ下塗りから初めて乾燥やらを考えると毎日やって一週間は掛かるがやれる所までだ、とりあえず下塗りだけ済ませて乾燥ブースに突っ込めば明日の昼には薄い色までは行ける、上塗りや塗り分けに至るまでは無理だしディテールアップのための汚しだとか傷を考えるとさらに時間は掛かる、部隊章や認識ナンバーを入れると更に時間が掛かる。
食器乾燥機を改造した乾燥ブースに下塗りを済ましたパーツをセットしていく、ただ塗装ブースは部屋全体だからなショートの危険性を危惧して電源を取れないため移動の必要が有るのが残念だ、テーブルの下に扉でも着けて電源引っ張ってくるのが対応としては良いのだろうが工事となると埃とか絶対に出るしな、この塗装用のクリーンルーム作った時でさえ物凄く頑張って排除したし、つい先程もエアシャワー使ってるし入るときは専用の雨合羽着てるし、完成してから一週間は充電式の空気洗浄機と扇風機で徹底的に埃を排除したくらいだからな、アレをまたやるのかと思うと面倒でならない、障壁だけだとできなくはないが厳しい面も有るし念動力だと対象が小さすぎるんだよな。
それに運ぶのは手間でもなんでもない、脳みその片隅で浮かせるって考えるだけで良いんだからウン百万も使ってリフォームする必要もないだろう、捻出できないわけではないが無駄遣いをしたいわけでもないし数ヵ月以内に貯金を空にする勢いの出費も待っている、ここのところ仕事が減ってるし出費もそれなりに嵩んでるからな、海外の資金を引っ張って来たら余裕だがアレはへそくりに近いからな、本当に首が回らなくなるまでは残しておきたい。