異能部の日常その5
「先輩達って習熟訓練とかしてるんですか?」
入部して早々に夏休みを前にして深井沈華は二人の先輩に疑問を投げ掛けた、遺体を、それも最大でも中型犬サイズが限界で10体までしか使役できず、パーツが足りていないと途端に動きが悪くなったりする等の難点を抱える彼女にとって能力の向上は必須である。
異能の特性として強度は鍛えられないが精度は鍛えられる、彼女の場合なら10体や中型犬まで、死体のみという条件は変わらないが思い通りに動かす他、聴覚や視界の共有等は訓練で距離だとかが増していくし体の一部が欠損していても動きが悪くなる率を下げられる、そんな彼女から見て、二人の先輩の言葉を信じるならば二人ともに少なくとも自分より汎用性が高く強力な異能者だ。
「「やってるよ」」
二人して声が言葉が揃うのは彼らが恋人だからか幼馴染だからか、しかし彼女から見ると強力な二人が今さら鍛えるという事に疑念しかない。
「私の場合は転移だから精度ミスると欠けたりするし位置をミスればテーブルじゃなくて空中とかに転移しちゃうから、とにかく精度は重視ね」
「俺の場合はもっと切実だな、加減ミスるとコップ浮かせるつもりが地球ぶっ壊しかねない、精度は上げておいて加減を覚えないとコンビニの肉まんより簡単に地球割れる」
双方共に、と言うか主に後者は言葉通り切実、と言うよりは全人類がとにかく訓練してくれと願うか能力使わないでくれと願うかの二択だろう、加齢などで最大強度が衰えたというケースが存在しない以上、彼は特別とするのは無理があり距離も重量も範囲も方向も強度も無制限な彼が能力を使うならば針に糸を通すなんて生易しいレベルではない加減を必要とする。
それこそ飛行機から投げたボールを特定の位置に当てる程の正確性でもまだ足りない、%をほんの1%上げるだけでも運動エネルギーは爆発的に増す、万分とか億分の一の力でさえ何かを壊すには十分なくらいに彼の異能は強い。
「具体的には私はジャグリングね、空中に飛ばして地面に触れる前にを繰り返して30分って所ね、数を増やしながらひたすら続けてる」
「俺は格ゲーかパズルゲーをアケコンでだな、後はウズラのゆで玉子の殻剥き」
二人して異能を使ってまでやるような事ではないが精度の鍛え方なんて人それぞれだ、転移する物とする場所を正確に見極めるジャグリングも咄嗟の判断と加減を鍛えるゲームや殻剥きは彼らが編み出した効率の良い修練の方法なのだろう。
残念なが異能が生まれて数百年、まだまだ過渡期で習熟訓練の教本だとかは存在しないしコミュニティも有って無きが如し、自分で探して見付けて来るしかないのだ。
例えば深井ならばハエと視界共有して部屋の中に作ったコースを飛ぶという訓練だし音矢ならばジャグリング、おryならば格ゲーが試行錯誤の末に編み出した訓練方法で同種の能力を持っていてもおそらく他者とは違う、それこそ規模は違えど念動はそれなり多い異能の一つだがその訓練方法は千差万別、格ゲーも居ればシューティングゲームも居る、はたまた積み木とか独楽とかジャグリングなんてのも居るだろう。
昨日が火曜だと思ったら月曜だった、何を言っているのか以下略
そりゃ時間になっても投稿されないわ、だって月曜なんだから、わざわざ修正する意味なんぞ無かったのになぁと
とは言え嘘を吐く訳にもいかず、時系列テキトーで良かったと本気で思います、木曜日は間違えない様にしようと心に刻むとして、やはり私は私が思う以上にポンコツなのでしょう。