4.『私』は師匠を得て"スパルタ"修業に励む
「今日から私の事はサクラ師匠と呼ぶ様に!」
突然私を外まで引っ張って、ドヤ顔で言うサクラさん。
今日は外で魔力の勉強をするので、サクラさんのお下がりのジャージと言う服を着ている。
サクラさんのログハウス風(サクラさん談)の家から少し離れた、家から半径十メートル位まである結界内で正座で座る。
サクラさん曰く、魔力と武術は実戦に限るらしく後回しになっていた。
「魔法や魔操力を学ぶには、まず『魔力循環』と言うスキルを会得し、誰でも持っている無属性の魔力をまともに使える様にしないといけない。世間一般的には最も力が弱い魔力と言われているが、実は使いようによってはかなり強力になる。まぁ、これは後々やるとして、今から魔力循環の特訓するよ!」
「はい、サクラ師匠(笑)」
「…ん?今何か、語尾変じゃなかった?」
気のせいじゃないですか?
師匠の指示で地面に胡座で座り、背筋を伸ばし手を前で合わせる。
私が目を瞑ったら、師匠が背中に両手を当てる。
すると、背中側から暖かいモノが巡る感覚がする。これが魔力なのかな…?
少しずつ感覚を掴み自分で循環できる様になってきた頃、師匠が手を離し私から遠ざかる。
≪熟練度が一定に達しました。技能スキル「魔力循環Lv1」を会得しました。≫
どのくらい経ったのか、足の感覚が麻痺し始めた頃。突然頭の中から声がした。
驚いて身体を動かしてしまい、周りをキョロキョロと見渡す。
そんな私の様子を見て、師匠がニヤニヤしながら近づいて来る。
「その様子だと、声が聴こえたな?何て言ってた?」
「ぇっと……確か何とかスキルを会得したって言ってたような…?」
循環に集中していたのでうろ覚えだが、何とか思い出して伝える。
師匠は満足そうに頷いた。
「うんうん、ステータス見た時から何となくそうかな?と思ったが、レインは覚えが良いね。よし、このまま昼飯の時間までレベル上げね」
「え」
「はい開始」
「え」
くそぅ、スパルタ………!!
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こんにちは、足が動きません。
ずっと同じ体制で座っていたので、足の痺れがっ、あ、ちょャバっ、立てない……!
失礼しました。
何とか立ち上りご飯を食べた私は、休憩がてら魔力循環について考える。
循環に集中していてちゃんと聞き取れなかったが、レベルアップしたような事を言っていた気がする。
後、一回別な事を言っていたような…?
気になったので、読み書きができる様になって初めてステータスを開く。
────────ステータス────────
*名前
レイン 10歳(♀)Lv7
*種族
人族
*魔属性
「水属性」「雷属性」「風属性」「空間属性」
*称号
「銀狼の先祖返り」「■■■■■■■」
*特別スキル
「狼の瞳」「■■■■■■」
*職業スキル
無し
*技能スキル
「暗視LvMAX」「第六感Lv8」「視覚強化Lv8」「聴力強化LvMAX」「疾走Lv1」「脚力Lv1」「腕力Lv1」「気配探知Lv9」「痛覚軽減Lv1」「恐怖耐性Lv3」「飢餓軽減Lv2」「自然治癒Lv2」「魔力攻撃耐性Lv2」「魔力探知Lv7」NEW「体力自然回復Lv2」「魔力循環Lv2」NEW「並行思考Lv1」NEW
*スキルポイント
162P
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……うん?
これは…NEWって所が新しいやつか?
いや、魔力探知はレベルアップしたのか。
てっきり魔力循環が二回レベルアップしたと思ってた。まぁ、そんな簡単には行かないか。
この「並行思考」は何だろう?
頭を傾げながら唸っていると師匠が後ろから、どうした?と話し掛けてくる。
「ちょっと気になる事があってステータスを見てたんですけど、いつの間にか並行思考っていうスキルが新しく有って…これどんなスキルですか?」
「並行思考?う~ん…どんなスキルかは知ってるけど……、レインは循環している時何を考えてんの?」
首に手を当て頭を傾げながら聞かれる。
私が循環中に考えている事は、どうやったら効率良く魔力を循環できるのか位だ。
後、一度魔力がどうやって循環しているのか気になって、魔力の動きを追ったかな。
その事を伝えると、師匠は納得した様に頷く。
「なるほど、並行思考と言うのは、何かをしながら別の事をしていると会得できるスキルだ。レインは魔力循環をしながら魔力探知をしたり、どうやって効率良く循環ができるのか考えていたから会得できた。スキルの会得やレベルアップの速さは、それぞれのやり方でかなり変わるんだ」
レインは他よりも速い方だねと師匠に褒められる。
私は心が暖かくなるのを感じ、照れ隠しで頭を撫でている手を振り払った。
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