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『俺』が『私』になるまでの成長記  作者: 羽鵺
第一章 『私』が『 俺』になるまで
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3.『私』の名前と世界事情


ステータスにある名前の欄にルメント・テルーナと書かれていない事を聞き、ほとんど変わらない私の顔面が驚きで動いたのが分かった。

サクラさんによると、神様が新しい人生を歩められる様に名前を無くしたんじゃないか?らしい。



「う~ん、どうしようかねぇ。君は何が良いって言うものはないの?」


「いや、特には」


「そうか、なら君は雨は嫌いか?」



名前の話しから突然雨の話しになり目を瞬く。

雨は嫌な事を洗い流してくれる感じがするし、何だか落ち着くので天気の中で一番好きだが……。

戸惑いながら首を小さく横に振り一番好きだと伝えれば、サクラさんはうんうんと頷いた。



「なら、今日から君の名前は"レイン"にしよう!私が君と出会った日は雨が降ってたからね。それに、君の魔属性にも合っているし」



"レイン"

サクラさんが言うには、雨を表す言葉らしい。

父さんが名付けてくれた"テルーナ"と言う名前が無くなるのは悲しいが、好きな雨が私の名前になるのは少し嬉しい。

名前を気に入ったのが分かったのか、私の頭をわしゃわしゃと雑に撫でてきた。


そういえば、まだ一人で立ち歩きができなかった時、地下牢に監禁されてからほとんど動かなくなった私の顔面を、初めて会った時から私の感情が解っているサクラさんに何故か聞いてみた事がある。

すると、気配かな?と逆に聞かれた。


聞いているのはこっちだ。


そんな感じで私の感情に鋭いサクラさんは、事ある事に私に構ってくるので何だかむず痒い。

落ち着かなく、ソワソワしている私に満足したのか一度ポンポンと撫でてから手を離し、両手を自分の腰に当て胸を反らした。



「よし!レインの名前も決まったので、これから勉強会を始める!」



ドドーーン!と言う感じで言ったサクラさんは、さっき持ってきた紙と万年筆を渡す。

どこから出したのかレンズが無い眼鏡を掛け、これまたどこから出したのか本みたいな物を出しニヤニヤ顔のままキリッとした雰囲気を出す。



「さすがに読み書きもできなく、ちゃんとした世界事情が解らない状態じゃ色々危ないからね。外に出られる位までに身体を回復するまでの間で、読み書きを完全にマスターして世界情報は勿論、魔力の事もみっっっちり勉強していくよ!」



正直、サクラさんが言う"軽いリハビリ"が"スパルタなリハビリ"だった事から、やる気満々な様子を見て、あっ私死ぬかも…と思った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




あれから一ヶ月程経ちました。


勉強メインで、しかし相変わらずのスパルタ仕様のリハビリをしていた私は、無事賢くなり外にも出られる様になりました。


まず最初に読み書きをみっっっちりと学んだ。

ABCから始まり、A I U E O(あいうえお)KaKiKuKeKo(かきくけこ)と少しずつ紙に書きながら覚えていった。

この時サクラさんが、簡単仕様の方で良かった…と言っていたがどういう意味だったんだろ…?


次に世界事情の事を読み書き以上にみっっっちりと学んだ。

この世界には大きく分けて【人族】【魔族】【獣人族】の三つの種族がいる。


最初は【人族】について。

魔族と同じ見た目。

人族には、シェルミア王国、ネルキーヤ帝国、ケルティー協和国、アルノア新国の四つの国がある。

魔操力という自然のモノに宿った魔力を操る力を主に使う。希に魔族が使う魔法を使える人もいるが、あまり力は強くないらしい。

唯一、神と名乗れる存在とパートナー契約(一部の国や人では"使い魔"契約と言う)ができる。

ケルティー協和国と一部の王族貴族は、世界神である"アトラス神"と人族を世界の頂点として、それ以外を下に見ているらしく、魔族や獣人族を嫌う者も多い。

サクラさん曰く、私はシェルミア王国の高位貴族の出らしいよ。


次は【魔族】について。

人族と同じ見た目。

魔族は一国制で、最も強い者を魔王として崇めている。()()実力主義。

魔法という自身に宿った属性魔力を、物や自然を使わずそのまま操る力を主に使う。希に人族が使う魔操力を使える人もいるが、あまり力は強くないらしい。

唯一、奴隷制度が無い種族だが、隠れて奴隷を買う奴らがいる。

此方も、一部の王族貴族がアトラス神と魔族至上主義がいて、人族と獣人族を嫌う者もいる。

サクラさんは魔族で、今私がいる場所は魔族の国の孤島らしい。


最後に【獣人族】について。

人に動物の耳や尻尾が付いた見た目。

獣人族には国が無く、猫、犬、兎、馬と言った更に細かく分けた種族同士で、獣人の大地内で移動して協力し合いながら暮らしていてる。どうしても集まらないといけない事態になった時は、龍族をトップにする。

唯一、産まれた種族によって、魔操力・魔法のどちらかが使えるがあまり強くなく、変わりに身体能力が人族と魔族よりもかなり高い。

昔人族や魔族のせいで絶滅、または絶滅危惧に瀕している種族がいるので、一部の獣人たちが人族と魔族を嫌っている。

因みに、私のご先祖様である"銀狼族"は絶滅した可能性が高いらしい。


他にも、穢れた魔力が形になり穢れの濃さにより形や強さが変わる【魔獣】、魔法と魔操力、またはどちらか一つの魔力を持ち、一部では神と崇められているモノがいる【魔物】の事も学ぶらしいが、今日は外で魔力の勉強をすると言ってサクラさんに引っ張られた。







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