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『俺』が『私』になるまでの成長記  作者: 羽鵺
第一章 『私』が『 俺』になるまで
14/16

11.『私』は魔族の国に行く

やっと書けました。


あれから"二年と八か月弱"が経った。

今は夏の二月十日で夏真っ盛りなので凄く暑い。

結界の他にも、転移・治癒魔力のスキルを会得してレベルMAXにした。

私自身のレベルも上がり、職業スキルは家政婦・料理人・発明家・魔導士がレベルMAXになって、技能スキルは腕力・気配隠蔽・隠密・棒術・魔力自然回復・開発・短剣術・暗器がレベルMAXになった。

魔導士スキルは魔導師になったので何が違うのかコハクに聞くと、素人かプロの違いらしい。

それと、何度か魔獣の毒や麻痺を喰らったので、毒耐性と麻痺耐性のスキルを会得した。

あまりの痛みに死ぬかと思った……。

あと、称号と特別スキルに伏字になっているモノが一つ増えていたが、取り敢えず今はスルーしている。


今日まで私は料理と混合魔力の開発やスキルの可能性を調べたりと、とても有意義な時間を過ごしていた。

私の誕生日には、師匠とコハクからそれぞれプレゼントを貰った。

師匠からは、世界の動植物全図鑑-前編-と世界の魔獣全図鑑-前編-を貰った。

何故前編のみ…?

コハクからは毎年一度だけ元の住み処に戻り、小さい花を持ってくる。

夜になると銀色に輝く白い花は、不純物の無い綺麗な水と穢れが全く無い綺麗な空気があれば一年中咲き続ける花で、別名不死の花と言われているらしい。

誕生日毎に貰っていたので今では三本あり、自分の部屋にある小さい丸いテーブルを窓側に置き、その上に人工聖水と白い花を入れた花瓶を置いて指定結界-神域-をした。

指定結界とは、中に入れたいモノを指定して結界を張る事だ。

神域は私オリジナルの空間魔属性の結界の名前だ。

この花は月明かりに照らすと更に輝くので、丁度月明かりが入る窓側に置いた。

この花に触れるのは私とコハク、師匠の三人だけに結界を設定した。


そして今日は、師匠の記念すべきギルド業再始動の日であり、私が初めて魔国と冒険者ギルドに行く日なのだ。

全く起きない師匠の布団を剥いで叩き起こしてから朝食の準備をする。

ご飯を食べ終わり師匠お手製のローブを着て師匠を待っていると、手に細長い布を持ってきてこれで目を隠してと渡してきた。



「レインの目はかなり目立つからね。真ん中に目の様な模様があるだろう?それは目の上に巻くと自分の目の代わりになるんだ。元々は生まれつき目が見えない人達の為に作られている物なんだよ。それに、レインの年齢で探知関係のスキルを持っている奴はあまりいないからね」



これを着けていれば探知のスキルを持っていても可笑しくないと、勝手に勘違いしてくれるだろうと師匠が言った。

真ん中に瞳孔かっ開いた様な目の模様があり、両端に小さい点と線が描かれている。

目を閉じて上に巻くと、何時もと同じ様に見えるので何だか不思議な感じがする。



「あと、そのローブに付いているフードに落下防止の陣を描いている。レインの髪色は銀狼や空間魔属性、一部の聖獣の特徴だからかなり珍しい。下手したら人攫いの標的になるから隠しとけ」



普段着ていたローブにそんな機能が付いた事を初めてしり顔に出さずに驚く。

最初貰った時あっちこっちに魔力が引っ付いていたのは気づいていたが、魔力が複雑過ぎて解読できなかったのだ。

目隠しをしてフードを被る。

見た目が完全に不審者だけど……まぁ良いや。

寝惚けているコハクをローブの中で抱えて準備が終わった私は師匠を見る。



「よ~し行くかぁ」


「転移で行くんですか?」


「そうだよ。直接ギルドに行きたいが、魔国にはレインの戸籍が無いからね。国門の近くに転移して出店に寄りながら行くよ」



出店……確か建物の外で色んな物を売っているお店だっけ?

私は一応貴族の生まれだったので地下牢に監禁される前は、母親の気分次第で建物内のお店を行くだけだった。

あの母親の事だ、出店は庶民の店とか思っていたんだろう。

師匠が一部の王族貴族がそう思っているって言ってたし。


初めての出店にワクワクしていると、師匠が私の肩に手を置いて転移した。

急に景色が変わった事に驚いて一瞬固まったが、いつの間にか門番と話ている師匠に気付いて近寄る。

転移する時知らせて欲しかった。



「師匠」


「お、来たか。カイ、この子が私の弟子だ。レイン、此奴はカイと言って魔国唯一の国門を警備している。私の古くからの友人で信頼のできる奴だよ。何かあれば頼れば良い」


「こんにちはレイン、俺はカイ・マイファスだ。君の事はついさっきサクラから聞いたよ。何かなくても何時でも来てくれて構わないよ」



カイさんから自己紹介をしてもらったので、私はレインです…よろしくお願いしますと挨拶した。

初めて師匠以外の魔族の人と話すので少し緊張した。

カイさんは全身を鎧で被っているが、見える目元と雰囲気で良い人だと何となく分かる。

此処で戸籍を用意できるらしく、少し時間が掛かるみたいなので周りの様子を見る。

160センチ位ある私が、首が痛くなる程上を向いてやっと頂上が見える位かなり高い門の両側に、同じ位の高さで端が分からない程長い国壁があった。

後ろを振り返ると果てしない平原がある。

此所が師匠が前に言っていたSSランクの魔獣が出た場所かな?


暫く魔力探知で平原の様子を見ていると、カイさんのできたよ~と言う声がした。



「はい、このカードが戸籍だよ。カードに自分の魔力を流したら消えるけど、掌の上にカードが出て来るイメージをしたら現れるんだ」



説明を受けながら実際に魔力を流すと空気に溶ける様に消えた。

次にカードが出て来るイメージをするとポンッという感じで出てくる。

カイさん曰く、特殊な魔道具という物で誰が国内に入ったか国外に出たかを自動で記録しているらしい。



「それじゃあようこそ魔国へ」



カイさんが大きい門の扉を片方だけ少し開けた。

最初に入った師匠の後を追い中に入ると、最初に目についたのは、一番奥にあるデッカイ黒色の御城だった。







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