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『俺』が『私』になるまでの成長記  作者: 羽鵺
第一章 『私』が『 俺』になるまで
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10,5.『師匠』は出合いから語る

サクラ師匠視点です。


私の名前は、リーリン・カナクレイ。

今はサクラと名乗っている。

私には少しだけ前世の記憶がある。

前世の私は日本という国で産まれた極一般的な女性だった。

記憶を思い出した時は若干戸惑いはしたが、直ぐに元の私に戻った。

私は私だ。確かに少しは今の私に影響しているが、私が変わる事はない。

……私がゲシュタルト崩壊してきた…。

よし、この話しは止めよう。


魔族最強で最凶の魔導師として畏れられていた私だが、実は最愛の夫と息子がいた。

だが、原因不明な異常発生でSSランクの魔獣が現れ、近くにいた夫と息子が亡くなってしまった。

私は悲しみを紛らわす為に原因の調査をしたいと悪友の魔王に直談判して、最終的に魔族の魔の森第一孤島の管理兼調査をしている。


ある日、森の中を調査していたら海辺に何かが打ち上げられた反応があり、周囲を調査しながら近付くと死にかけた子供がいた。

急いで治癒魔力を当てて、冷えた身体を温風で暖めながら抱き上げる。

転移で家の中に入り、目が覚めるまで着きっきりで看病をした。

一度だけ転移で街にある私の家に行き、適当にゴッソリと私が子供の時の服を抱え取り急いで戻る。この間約二秒。

服を着替えさせていると、特徴的な見覚えのあるリングピアスが目に入る。

このピアスは私の数少ない友人の一人が持っていた、世界で一つだけの物だ。

なるほど、この子はもしかしたら………。


一週間程経ち、漸く目を覚ましたが酷い衰弱のせいで喋る事が儘ならない。

ピアスの事があるので私の友人、フレイの子か確認したらテルーナと名乗った。

取り敢えず、まともに喋れる様になるまで回復させる事にした。


暫く栄養がある物を食べさせては寝かせを続けて喋れる様になり、何があったのかを聞く事ができた。

話を最後まで聞いて最初に思った事は、え?この子の人生ハード過ぎじゃね?だった。

実の母親に殺されそうになったとか……、てかフレイの野郎…子供に何ちゅう事を言ってんだよ…!?

大好きなお父さんに最後の最後で、自分を生かす為に生きていたとか言われたら病むわ!私だったら完全に病んでたわ!!

まぁ、この子が自害しない様に生きろと言った事は褒めてやる。


リハビリをして家の中を自由に歩けれる様になった頃。

ステータスを見せてくれと言うと、意味が解らないという顔をするテルーナ。

おいマジかよ…、ステータスって言ったら一般常識で、早くて五歳には教えてもらっ……あっ(察し)

テルーナ曰く、知識のほとんどはフレイの昔話だとか。

彼奴め…!昔話じゃなくて読み書きを教えろよ…!

取り敢えず、スキルの事は知っているようなので、ステータスや鑑定がどのようなモノかを説明してもう一度鑑定させて欲しいと頼む。

すると、テルーナはほとんど悩まずに頷いた。

ステータスは親しい間柄の人でもなるべく見せない方が良いので、後でその事を教えよう。

ステータスの感想?

何かもう、悲惨過ぎて言葉が出ないとだけ言っとくわ。


一先ず、この子の名前が無くなっていたので先に名前を決める事にした。

この子の魔属性に合う、アラシかレインのどちらにするか迷ったが、私の勘がレインと言っていたのでレインにした。

どうやら気に入ったらしく、表情は全く変わらないが嬉しそうな雰囲気が伝わった。


名前を決めた後直ぐに勉強会を始める。

リハビリと同時進行で言語から教えて一ヶ月程経った頃、外に出られる位まで回復したので、リハビリから修業に変更する。

まず、魔力循環を常に意識しなくてもできる様にしてから体術の訓練に移る。

レインは足癖が悪く、ちょくちょく横から蹴りが来るので地味にやりにくい。

狼族は蹴り技と魔法が強いので、先祖返りの血が魔法以外の足と見た目に強く出たのだろう。

途中から魔力を加えて特訓をし始めたが、これがまぁ~~大変だった。

レインはたまに思い付きで即実行をする。

しかも、魔操力特有の使い方で予想外な行動を取るので、何度かガチ回避してはドン引きした。

この子、将来絶対に大物になるわ……。


レインのステータスを見て、一番合いそうな武器を選んで武器の扱い方を教えていた頃。

真夜中にリビングで、夫と息子の形見である"ファミリーリング"を眺める。

一緒に暮らしていく内に私に似てきたレインを見ていたら、私に娘がいたらこんな感じなのだろうかと思うと夫と息子の事が恋しくなったのだ。

暫くすると、突然リビングの扉が開いたので驚いて一瞬警戒しながら顔を向けるが、直ぐにレインだと気付き警戒を解く。

どうやら無意識に気配を消していたらしい。

喉が乾いたらしく、水を飲みにキッチンに向かい真っ直ぐ部屋に戻ろうとしていたが、何となく話したくなったので此方に来いと手招く。

話しの流れで私の過去、夫と息子について話すと、レインから愛されていたんですねと予想外な事を言われた。

二人に愛されていないとこんな所にはいないと言われた私は、ストンッと腑に落ちた様に気が楽になった。

私はずっと二人を護れなかった事から、何が最強の魔導師だと怨まれているのではと思っていた。

しかし、レインの言葉でそんな考え方があったのかと驚愕する。

何だかうだうだ考えているのが馬鹿らしくなり大声を上げて笑うと、レインから憐れんだ雰囲気を感じたので頭を乱暴に撫で回す。


その後、修業を終えたレインは初めて結界から出て直ぐにボロボロな聖獣を拾って来たり、新しい結界の可能性を開発したりと色々やらかしているが…。

まぁ、あの子なら何とかやって行けるだろう。







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