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第十一話

「なあなあサトル様! アタシはどうすればいい? 鎧を吹っ飛ばした最強のアタシは!」


「馬に戻れ」


「えっ? な、なあ、アタシはドラゴンで強くてほらいまみたいにドラゴンのままだってこうやって役に立って」


「馬に戻れ。ベスタがおいしそうに食べた俺たちの白馬のつぐないをするんだろ?」


「あっはい」


 しょぼんと体を丸めるベスタ。

 ふたたび光ると、芦毛の馬の姿に戻った。

 だらんと首を下げて落ち込んでるっぽいのはそのままだ。


「押さえ込むまでが大変だからな。役に立ったぞドラゴン」


 ぺしっと馬のお尻を軽く叩くサトル。

 ベスタはぷるぷる震えてサトルを見る。


「……やった! サトル様から褒められた! 役に立ったって! やっぱりアタシは最強のドラゴンなんだなだからもっと褒めてください、あといまの感じでお尻を叩いてもらっても」


 異端審問官ロッソのひょうたん型マジックアイテムにより送り込まれたダンジョン『異端者の地下墳墓(カタコンベ)』。

 とつぜん送り込まれたにもかかわらず、サトルたちはダンジョンボスがいる最深部の広間までたどり着いた。

 ブレスを褒められたベスタはぶるるんと鼻を鳴らしてご機嫌そうだ。仕草まで馬化している。ドラゴンなのに。

 広間の入り口付近は、気の抜けた会話といいご機嫌な馬といい、どこかのどかだった。


 が、広間の中は修羅場である。


 ガンガンと金属音が反響し、サトルがサトルに指示を出す大声や、サトルの雄叫びが聞こえてくる。


「金色担当の俺たちは殴れ! 金塊になるぐらい殴れ!」

「いきなりダンジョンとか意味わからねえんだよ!」

「鎧の中が空洞ってさすがファンタジー! 物理どうした!」

「それを言うな俺氏! 【分身術】の理不尽さが浮き彫りになるから!」

「あ、なんか思いっきり叩いたらスッキリしてきた。ストレス解消によさそうだぞ俺」


 金色のボス鎧は囲まれてタコ殴りにされてベッコベコに凹んできた。


「銀色は鎧を外していくぞ! 外したパーツにも気をつけろ!」

「アンデッド系だからなあ。中身ないみたいだしほんとパーツが動きそうだな俺18」

「外したパーツはこっちに並べておこうオレック」

「あー、外し方わからない! ちょっとこの接合部分ぶっ叩いてオレジューク!」


 銀色のボス鎧は囲まれてフルプレートメイルをどんどんはがされていく。


 ベスタのドラゴンブレスで吹き飛ばされ、壁にめり込んだ金銀のボス鎧に、ニョイスティックを手にしたサトルたちがまとわりつく。

 金銀のボス鎧は連携さえ許されず、レベル64のサトル40人がかりで無力化されていく。


「な、なんだこれは……ダンジョンボスがあっさりと……」


「すごいですサトルさん! わたくしの【回復魔法】さえ必要ないなんて」


 プレジアは引き気味で、ソフィア姫はキラキラと目を輝かせてサトルの戦いを見守っている。


「護衛しますから、プレジアも姫様も一発入れにいきましょうか。トドメをさした者がレベル上がりやすいのはたしかですが、ムダにはなりませんから」


 隣でサトルの戦いを見守るサトルも余裕である。

 抜け出そうともがく動きが鈍くなってきた金銀のボス鎧を見て、サトルはソフィア姫とプレジアにも攻撃させることにしたようだ。


 ダンジョンボス相手に余裕のレベリングである。


 けっきょく、金銀のボス鎧は「なんだこれズルすぎるだろ」とでも言いたそうな雰囲気を出して、サトルたちにあっさり倒されるのだった。


 ベスタの活躍で、サトルの分身さえ死ぬことなく。


 ダンジョンボス相手に余裕の勝利である。



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