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二面性マイシスター  作者: 終野 怜
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第4章 人気者に苛まれる姉と妹

お久しぶりです

嘉織side

 

 

気温の上昇により、去年の夏の暑さを思いだし、夏服に切り替えるおえない今日。

 

 

「よし、こっち、灯織!」

 

「分かった!パス!」

 

ただいま4時間目、体育。

 

そして私が今いる体育館では、床に叩きつかれるボールの音と、一瞬一瞬を力強く走っていく足音、そしてチーム内による掛け声などで包まれている。

 

「キャアーカッコいい!!!」

 

「バスケ上手過ぎる!」

 

あとついでに、ある人物に対してのファンの叫び。

 

「終了!18対0でC組の勝ち!」

 

「「ありがとうございました!」」

 

あ、やっと終わった。おそらく今試合をやっていた人達にとっては数分の感覚だろうが、前に試合をして休憩していた私にとっては長かったものだ。

 

「嘉織!」

 

そんなさっきまで退屈であった私に駆け寄ったのは、先程の歓声の元凶、普段はかけている眼鏡を外し、爽やかな顔をさらした一応イケメンと認識されている私の、

 

「お姉ちゃん、お疲れ様。暴れすぎじゃない?」

 

「まあボールの扱い方が普段と違って慣れてないけど、面白いよ?」

 

「あれで慣れてないって、冗談だよね?」

 

私のお姉ちゃんである日向 灯織はうちの高校の三大有名運動部、女子サッカー部の副部長を務めているほどのレベルがあるプレイヤー。女子校特有のファンを集めるイケメンサッカープレイヤーと言えば他ならぬうちのお姉ちゃんしかいないだろう。…………まあ、なんでサッカー部員がバスケ上手かは知らないけど。本人曰く、球技系のスポーツは得意かつテンションが上がるらしい、何で?

 

「じゃあお姉ちゃん、次は私だから、行ってくるね」

 

「ああそっか、うん!頑張れよ!」

 

そしてお姉ちゃんと代わるように、私は試合へと向かった。

 


 

 

 

 

 

 

灯織side

 

先に試合を終えたボクは、嘉織に声をかけた後、ボクと入れかわるように試合に出ていった。積極性が無いわりには運動が得意で、まさに運動神経抜群と言う言葉似合う我が妹は、単なるバスケであっても快調であった。走る姿は爽快感を出し、その風になびく髪は美しく優雅で、シュートを決めたときは特に騒ぐことなくクールに戻ると言う、美麗な生徒会副会長を作り出していた。

 

「嘉織様もとても上手ね!」

 

「さすが副会長、クールで美しい」

 

「灯織様と同じくクールでイケメンと美人、まさに最強姉妹!」

 

そんな嘉織が人目に付かないわけがない。優雅な美人生徒会副会長、そんな異名がついているのに、ファンがつくのは当然で、今なお嘉織に熱い眼差しを向けるクラスメイトや他クラスがいた。

 

 

……………まあ、いたしかないだろう。確かに我が妹は可愛いし運動出きるし勉強だって文句のつけようがない。けど、朝毎日朝食を作るのに手間取ったり、誰かとの会話が苦手だったり、意外と甘えん坊だったり、ツンデレなのを知ってるのは姉のボクだけだ。と言うか、何故嘉織はその姿を友達とかに明かさないのだろう?そうしたらわざわざボクに甘えてくる必要無いし、今よりさらに人気が出るはずなのにな、まあそれはそれでボクもいい気はしないけど、うーん、何故だ。

 


「お姉ちゃん、」

 

「?」

 

ボクをそう呼ぶのは、一人しかいない。荒い息に、流れる汗をかきながら目の前に来たのは、

 

「お疲れ様、嘉織」

 

髪が少し乱れ、静かに流れる汗がきらめく妹だ。

 

「ありがと、まあお姉ちゃんほどじゃないけど」

 

「そう?意外と熱中してたんじゃない?」

 

「別に、みんなと変わらないよ」

 

まったく、素直じゃないなぁ。仲間が外したシュートをすぐに拾って一点決めたくせに、フォローのつもりだったんだろ。決まったら安心してたの、バレてないと思ったのか。

 

そう言いたいけど、

 

「ボクにはそう見えたよ」

 

「目がどうかしてたんじゃない?」

 

「ひどいなあ、」

 

まあそう言うところも可愛いんだけどな。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘉織side

 


昼休み、学校で一番賑やかになる限られた時間。

  

教室でお昼を食べるときは、私の周りに何人かクラスメイトがいる。特に約束ごとがあっての集合ではないのだが、別に迷惑というわけではない。まあ、大体がその周りの子に愚痴や質問を受けることばかりなのだが、もう馴れてしまった。


一方、同じクラスであるお姉ちゃんの方はというと、


「で?次にチェックするタイトルは決めたのか?」


「そりゃあ、2クールに入った“剣の女士”と“異能力スクール”とかかな、やっぱネットでも話題になってるしさ。ヒオは?」


「ボク?まあその2つもだけど、“雪の花に約束を”をちょっと楽しみにしてて、」


「え、それっていもうと…」


「言うな!部分的にそのワードを出すな!」


「だってゲームのアニメ化をしたやつじゃないか、ちょっと○○系の」


「仕方無いじゃないか、今回はそれしか、その、『妹物』がそれしかないんだからさ」


何かしらの単語を時々小さく言って、アニメについて語っていた。


ちなみにお姉ちゃんと話しているのは、同じく本人曰く少しオタクが入っているクラスメイト、霧島 美弥さん。


細目の赤メガネとセミロングの青みがかった黒髪に片方の髪をピンで止めている。あの真面目そうな人も、オタクといわれる人になるんだ。


ある意味、オタク=変人とは限らないのかもしれない。私の中の妙な法則が矛盾を見出だしていた。


「………あれ、違うか」


「ん?どうしたんだい?」


「いや、違ったみたい」


お姉ちゃんは右耳に右指を当て、何かの音を聞き取ろうとしているようだった。聞こえるといっても、クラスメイトの話し声にしか聞こえないと思うけど、


「なんだよー話しなって気になるなあ、」


「……なんかさ、聞こえたんだよ」


「この教室の騒音が?」


「いや、ってそれは失礼だろ。このクラスの騒音率を上げてるのは僕らもだ。それはいいとして、聞こえると言っても、なんか、頭に直接語られているというか、言葉が入ってくると言うか、そんな感じかな?」


「ほほう、ついにヒオもテレパシーが使えるようになったのかあ、今から中二病はキツいぞヒオ?」


「そう言われると思ったから言わなかったんだよ、もうこの話は終わりだ」


「はいはい、」


このときは、まだ何かが起きるとは思ってもみなかった。もうすでに、お姉ちゃんの中で変化が起きていることに 

 


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