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リア充?なんですか?それ  作者: アルパカ
2/17

2話 ゆきんこ

リレー2人目、ゆきんこです。

三人称視点で小説が書けない故、勝手に一人称視点にしちゃいました!

申し訳ありません。許してください。

なんでもはしません。なんでもするとも言ってません。

「ねえねえ!」

さっきまで座って本を読んでいた女の子が、急に話に入ってきた。

「あ、雪乃!どうしたの~?」

有城さんが笑顔で答える。仲が良いのだろうか。

「そのカラオケ、雪乃も行っていいかな?」




ー1時間後ー




「なんでこんなことに…」

僕はカラオケの一室にいた。

5人だからだろうか、結構な広さがある。

「まあそう言うなよ修斗。お前歌はどうなんだ?上手いのか?」

「いや、あまり歌うのは好きじゃないんだ」

歌はもう、嫌なんだ。

「そうなのか。まあそう言わず、思いっきり歌ってけよ!下手でも思い切って歌ったら楽しいぞ!」

「いやそういう問題じゃ…」

僕たちが端でこそこそ話してる間、女子たちが採点機能をONにし、曲を入れていく。「わたしこの曲!」「夕立さん紅井エイル好きなんだ?じゃあ雪乃RiSAの曲!」「二人ともSword(ソード) Art(アート) Offline(オフライン)が好きなの?じゃあ私もそれにしよっと!」

いったい何語だろうか、理解できない…

「それに見ろよ、有城さんの元中?友達の雪乃さん。かわいいよなあ」

橋豈(きょうあ) 雪乃(ゆきの)さん。艶やかな黒髪のショートカットに、可愛らしい水色の髪飾りをしている。高めの声は澄んでいて聞きやすく、少し幼いながらも整った綺麗な顔立ちだ。有城さんの幼稚園からの幼馴染らしく、あまりの仲良し故に同じ高校を選択したんだとか。確かに素敵だ。

「ねえ、二人とも歌いなよ!あ、ただしアニソンかゲームの曲縛りだよ?」

こちらの視線に気付いたのか、雪乃さんが話しかけてきた。幼気な笑顔に胸が高鳴る。

「もちろんだ。俺たちの上手さに惚れるなよ?なあ、修斗!」

剛昌が陽気に話を振ってくる。

「だから僕は歌わ」

「大丈夫だよ修斗くん!心配しないで?」

雪乃さんが隣に座り、真っ直ぐな瞳でこちらを見つめてくる。

そして言い放つ。

「わたし、女の子にしか興味ないから!!」


ーー場が、凍りつく。

ああ、なんということだろう。

ひょっとして、まともな人なんて一人もいないのではないだろうか…

剛昌もさすがに笑顔が凍りついている。

「ちょ、ちょっと雪乃!あんた何言ってんのよ!」

有城さんが慌てて歌っていた曲を止め、大声で突っ込む。

「碧ちゃん、大丈夫だよ~。雪乃はずっと碧ちゃんのものだよ~。」

話についていけない。そういう関係なんだろうか。

「そんなこと望んでない!みんな、違うからっ!」

違うらしい。

「え、えっと、有城さんは…ゆ、百合…なのかしら?」

ずっと硬直していた夕立がようやく口を開く。同じく話についていけないようだ。

それに対し、雪乃さんは満面の笑顔で、

「ふふっ、冗談だよっ」

「「「「冗談かいっ!!!!」」」」

もう嫌だ…帰りたい…

「あ、雪乃の番だー!久しぶりに歌うぞー!」

雪乃さんは喜々としてマイクを握った。




「…凄い」

雪乃さんの歌の上手さに、つい呟いてしまった。

わいわい騒いでいたほかの人たちも、すっかり聞き入っている。

はっきりとした高音域から深みがかった低音域。安定したロングトーン、丁寧な息遣い、綺麗なビブラート。全てが耳に心地よく、胸に響いた。


《こんな素敵な歌を、歌いたい。》


僕は思わず頭をよぎった考えに、はっとした。これは中学時代の思い出と全く同じ気持ちだった。こんな素敵な歌を自分の声で奏でたい。響かせたい。伝えたい。当時はその一心で必死に練習し、メンバーを集め、学祭で演奏しようとした。

しかし、それは叶わなかった。学祭前日、ある事件でバンドメンバーが決裂し、演奏は中止となったのだ。

それ以降思ったように心から歌えなくなり、歌は僕にとって重い傷となった。


ーーー雪乃さんの歌声が、ただただ深く心に響いた。





それからは、雪乃さんの冗談のおかげ(?)で皆の距離が縮んだのか、いろいろな話で盛り上がっていた。

中学時代の思い出だとか、好きなアニメだとか、好きなゲームだとか、声優、歌手、アニメーション制作会社等…(もちろん僕はただ聞いていることしかできなかったが。)

僕以外の4人が回し回しアニソン等を歌い、既に外は暗くなっていた。

お陰様でいくつかアニソンを覚えてしまい、果てにはちょっと好きな曲まで出来てしまった。どうしたものか。

「でさー、修斗。もう時間だし、最後に一曲歌ってくれよ!」

剛昌が笑顔で言う。

「あ、聞きたい聞きたい!」

「一曲ぐらい歌っちゃえばいいじゃん?」

「雪乃も聞きたいなあ。ほら、私も赤裸々なカミングアウトをさせられたわけだし!」

勝手に自分からしたのだ。というか冗談じゃなかったのか。

「あー、もうわかったよ!!」

「「「「おぉ~!!!」」」」

ひとつだけ、知っているアニソンがある。

中学の学祭で歌う予定だった曲。いつでも元気をくれるただ一つの曲。僕はバンドの解散後も、今日までずっと聴き続けてきた。

さっき雪乃さんに心を動かされていなければ、歌うことはなかっただろう。歌えなかったら止めればいい。下手だったら笑ってもらえばいい。そう自分に言い聞かせ、予約を入れる。





必死に歌った。全ての傷みを受け止め、自分の想いが、自分の歌が負けないように心を込めて歌った。

たかがカラオケで、聞いているのはたった数人だけ。なのに、大きな壁を乗り越えたかのような、とてつもない達成感があった。

剛昌がこちらを睨む。

「え?どうしたんだ…?」

声が大きすぎただろうか。音痴だっただろうか。

修斗が不安になっていると、剛昌の顔は満面の笑みに変わり、

「めちゃくちゃ上手いじゃねえか!!」

「ダンゴムシくんやるじゃん!凄いね!?」

「わ、わたし感動しちゃった!」

みんなが僕の歌を褒めてくれる。とっても嬉しい。でもダンゴムシじゃないです。

「ね、雪乃の言うとおり心配なんかいらないでしょ?楽しいでしょ!」

雪乃さんがしてやったりな顔で話す。

「ねえ雪乃さん、ひょっとして何か」

「さあ~!もうこんな時間だ!雪乃、ママに怒られちゃうよ~!早く帰ろ!ねっ!」

気づいていたの、と聞こうとしたが阻まれてしまった。

「うん、そうだね」

やはり何かに気づいていたのだろう。あえて聞くことはせず、それだけ答えた。



真っ暗な帰り道を歩きながら家に着くまで、僕は今日の事をずっと考えていた。

橋豈 雪乃さん。

不思議な人だったなあ…。

ちょっと話の本質から逸れて、主人公の設定と友達との関係を深める寄り道回でした。

文章が読みにくかったらごめんなさい。でもなんでもはしません。

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