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あぶく銭なんてと彼は思った

「……よう、リューイ」

「暗い! 暗いよ! 御影君!!」


いや、むしろなんでお前はそんなハイなの?

とも思ったが、まあ自分の世界から邪神がいなくなったらハイにもなるだろう。

ある意味通常運転である。


「んー、まあ、なんというか。家ぐらい買っちゃえばよくない?」

「いや無理」


いや、無論無理に無理を重ねれば何とかならなくもないのだろうが、伝手もコネもないしな……。

ホームレスの肩書が重すぎる。なにかNPOを頼るべきだろうか……。


しかし、リューイの発言は御影の想像を軽く超えてきた。


「正直、日本円で10億ぐらいなら払ってもいいよ?」

「…………は?」

「うん、だから10億円」

「………………は?」

「それぐらいのことはやってもらったからね」

「……………………は?」


は? しか言えなくなった門上御影。

唐突に億万長者だった。


 * * * 


まあ、考えてみれば邪神を滅ぼした一因となったわけで。

10億ぐらいもらってもいいのかもしれない。


が、大金というのは稼ぐより使う方が難しいものである。

一月の東京で凍死しかけた門上御影。

10億もの大金を使うセンスも能力も0であった。


「10億ってどれくらいじゃん?」

「家の5~10軒分くらい?」

「……はした金じゃん? エルードケチじゃん?」


カルルットさんは不服そうである。

まあ、カルルットさんならこの世のすべての富を手にしたところで不服だろう。

神の子だもんなあ……。


「全くだ。邪神を滅ぼしたんだぞ? 世界の王にぐらいしてやれよ」

「いや、そういうの良いんで」


世界の王て。

なんだそりゃ。

総理大臣だってやなのに。

一市民小市民として生きたい御影である。


いや、地位とか名誉とかマジでいらねえんだよ。

こじんまりとしたアパートの一室に住めれば、俺にもできる仕事につければそれだけでいいんだよ。

他に望みはねえんだよ。


「「……無欲すぎてキモイ」じゃん」


カルルットさんとジャイニーブさんがドン引いていた。


 * * * 


「そういや、リンはどうしてるんだ?」

「『むずかしいのだ~』といいながらレポート書いているよ。今回の邪神討伐における自らの貢献について」

「マジで……」

「リンのレポートにメリュー全体の命運がかかってるといっても過言ではないからね。メリュー総力を挙げてレポート書いてるよ」

「……俺の10億リンに9億ぐらいあげられない?」

「無理」


うーん。そうか。正直それが一番有効な使い道だと思うのだが。

そしてカルルットさんとジャイニーブさんがドン引きすぎて顔色悪くなってきた。

いや、あぶく銭なんてろくなことにはならねえぞ?


「まあ、御影君からそういう申し出があったことは証言しておくよ。多分それで十分だろうしね」

「そういうもんか」

「そういうもんです」


うーん。なんか政治的な話だろうか。

そりゃエルードからしてみれば邪神を倒してもらってロハってわけにはいかないだろう。


……十億か。

マジなんもわかんねえや。


そう思い天井を見上げる門上御影。

根っからの小市民だった。

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