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食洗器はいらないと彼は思った

さて、邪神討伐とはおうちに帰るまでである。

古事記にもそう書いてある。

というのは嘘だが、まあ物事というのは終盤こそが肝心というのは古来より言われている。


しかして、この門上御影という男。

家が、無かった。


 * * *


いやいや、いかに門上御影といえども自分の家より邪神云々が重要だとは思ってはいるのだ。

が、悲しいかな。

わが家がないという未曽有の危機に対して何も思わないほど聖人ではないのである。


何と言っても門上御影の労働期間は二月一日から五月九日のおよそ三か月。

リューイが言っていたもろもろのボーナスを集めたとてもらえる金額は300万いくかいかないか。

家を手に入れるには心もとなすぎる金額である。

なにしろ家具家電もそれで調達しないといけないのだ。

御影がいかに異世界で皿洗いをこなしたつわものとはいえ家電なしで暮らせるほどミニマリストではない。

まあ、それでも食洗器はいらないが。多分一生いらないが。


無論、無理をすればなんとかならなくもない。安い住居を探して駆けずり回れば活路はあるだろう。

しかし。

この時点ですでに門上御影の精神は折れっ折れであった。

ゴンがいなくなったのがやはり大きかった。

友達でこそなかったものの、人生で最も近くにいた相手といっても過言ではなかった。

……いや、それはそれでどうなんだろうという気しかしないが。


とにかくメンタルボロボロの門上御影。

力なくベッドに横たわるのみであった。


実際まだケガも治ってないのである。

浅手ばかりとは言え数が多い。

動くに動けないというのもある。


つまり、結論として。

門上御影、今後の住処についてノープランであった。


 * * * 


「……建てればいいじゃん?」


諸々の話を聞いたカルルットさんの第一声がそれであった。

見舞いに来ていたジャイニーブさんも力強く頷く。


「じゃなきゃ、普通に野宿すればいいだろ。だらしねえ」


獣人は豪快である。

そして、神の子は余裕である。

か弱き皿洗いの事など想像すらできないだろう。

というかこのの銀色の建物自体、カルルットさんが5秒で建てたらしいんだよなあ……。


5秒建築。匠もびっくりである。


「……そっすね」


しかし、御影に反論する元気はない。

死んだ魚の目をして見上げた天井は銀色で。

御影の顔色は土気色である。


「いや、普通に買おうぜ!」


そして、そこにきらりんと救世主登場。

エルードが主神代行。リューイであった。

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