痛いと彼は思った
ぱたりと仰向けで倒れこんだ。
痛い。
痛いと――思える。
意識がある。
濡れた作業着が気持ち悪い。
それほどの出血である。
おそらく死ぬとすれば――失血死なのだろう。
ゴンがどうなったかもうわからない。
目はもうずっと閉じているし、音は聞こえても意味は分からない。
意識もあと何分保つんだろうか。
でもそれでいい。
どうせ、
死んだような、
命、
だ。
いまさら
いきて
どうなる
ああ
でも
ごん
とは
ともだちに
* * *
見たことない天井だった。
……いや、冷静に思い返せば見たことはあった。
つるんとした不思議素材。
のっぺりした銀色の壁。
――カルルットさんの病院だった。
そして、全身の刺すような痛み。
痛い。――つまり、生きてる。
「……」
痛いと言おうとして口の中の痛みで黙った。
どうやら口中も切れているらしい。
「おー、目覚めたじゃん?」
カルルットさんの声がした。
眼球を動かす。目は無事なようだ。
――白金の髪の美形がいた。
「……」
いや、考えるまでもなくカルルット・デルルットなのだが。
なぜかは知らないが帽子とグラサンを取っているらしい。
神の子――である。
そりゃあ、見た目もいいだろう。
というか、帽子とグラサンしてても普通に整った顔立ちであった。
格差社会極まれりである。
「……あー一応武装解除ってやつじゃん?」
御影の視線に気づいたのか気まずそうにカルルットさんは言う。
武装解除。
なるほどあれは防具であったのか――などと現実逃避に意味はなく。
「邪神は討伐された。お前の手柄だ」
カルルットさんとは反対側からの声が冷徹に御影を断罪した。




