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宝くじは買わないでおこうと彼は思った

まあ、流石に。

御影とて高校は出た身。

ここで気づかないほどバカではない。


現在、御影はその認識によって邪神の分体ゴンを縛り付けている身だ。

言うなれば御影の頭の中そのものが一つの戦場と言っても良い。

御影の頭の中に「ゴンは弱い」と刷り込めれば戦況を有利にできる。

ぶっちゃけこの三ヶ月でゴンをディスる言動は見飽きたし聞き飽きた。


ただ、天照様からしたら戦況が有利になるどころではない。

御影はゴンを縛り付けている。

それは逆に言えば繋がっているということだ。

もし、ゴンと御影が繋がったまま御影の任務が終了すれば。

それは結構な一大事だろう。


実際、御影とゴンが繋がって以来出界入界時のボディチェックは三段ぐらいレベルが上がっている。

天照陣営としてはなんとでしてもゴンだけは始末しなければならないのだ。


……なんだかなあって感じである。

いや、御影とて邪神討伐ボーナスが欲しい。

なので、戦況が有利になるのは結構なのだが。

軽く洗脳じゃねえじゃかと思うのは気のせいか?


門上御影には門上御影しかない。

家族も友人も職も家も何もない御影にとって自分だけが全てである。

それを世界のためにくれてやれと言われてはいどうぞと言えるほど御影は人間出来てないのだ。


つまりは、だからこその「あなたがあなたであるだけで」発言。

御影の意志を尊重する姿勢を見せることで御影の警戒レベルを引き下げることが目的なのだ。


「……そういうこと考えてるときの御影さんはホントに生き生きしてますね」


天照様はあきれたように言った。

いつの間にか店内はしんと静まり返っている。

客の姿はなくーー店員の姿もない。

さすがは太陽神と言ったところか。


「では、どういう意味だったかお聞かせ願えますか?」

「そのままの意味ですよ。合成とか憑依とか融合とか合体とか改造とか……『その人をその人でなくさせる技術』というのは枚挙に暇がありませんが成功例よりも失敗例の方が多いというのは召還業界の常識ですよ?」


エルードにいる勇者様方もそのままの方が多いでしょう? と天照様は首を傾げる。


ふむ……。

確かにそうだった、と思う。

いや御影とて全ての勇者にエンカウントしたわけではないのだけど、それでも。

確かに召還された勇者は基本「強者として生まれた強者」が多い気がする。


無論、ルーイックさんみたいな成り上がり系もいるはいるんだけど。

でも、ルーイックさんにしたってその空想力というか妄想力というかは元々もっていた物だし成り上がったのだって十年は前のはず。


いわゆる「平凡な人間に力を与えて即実戦配備」みたいなことは起こってない。

……うん、改めて言語化すると実に弱そうだ。


あと、神様視点では加護はノーカンなんだなあ……。

まあ、実際カルルットさんが加護に振り回されてるかって言われたらそうじゃないしなあ……。

むしろ「親父と未来神の板挟みで辛いじゃん……」って感じだ。親父つええ。


「……いや、確かに明らかにこれやりすぎでしょうみたいな加護つける方もいますけどね。大体コケます」

「コケますか」

「コケます。カルルットさんは元々のポテンシャルが尋常じゃないだけですね」

「神を越えた人の直系子でしたっけ……」


つまりほぼ神の子である。


とそこで、再び俺を指すスプーン。

お行儀悪いがお気に入りのアクションらしい。


「ですから、御影さんに与えられる加護は祓魔結界が限界ですからね? むしろ、それも結構無理してますからね?」

「あ、それで大丈夫です」

「宝くじに当たりまくるチートが欲しいとか言われてもあげられませんからね?」

「……………………………そ、それで結構です」


そ、そうか……。

うん、とりあえず宝くじは一生買わないでおこう……。


「分相応というものはありますからね……。強さというのは基本相対的な物なので状況次第でいくらでも変わるんですが、それにしたってという話ですよ」

「相対的ですか……」

「強さというのは世界が決めるものといっても良いかもしれませんね。常識が変われば強さも変わります」


それはなんとなく分かる。

例えば騎乗時特攻能力者のギデルさんが馬のない世界に行ったら単なる強い騎士だ。

小説文化のない世界にいたらルーイックさんはただの妄想男だしな。

その世界の勇者は――その世界でこそ強さを認められているのだ。


「もっと言えば御影さんの『神霊が弱いことになんの疑問も抱かない』という特性だって今この上なくぶっささっているわけですしね。リューイ神が驚いていましたよ」

「ほう、なんと?」

「『神秘に縁遠く神霊に縁遠い、ただそれだけの特性がここまで強いとは思わなかった。些少ですがボーナスをお出しするのでお受け取りください』と」

「リューイありがとー!!」


リューイよ……。

おまえ良い奴だったんだな……。

感謝、感謝だ。感謝しかねえ……。


「で、どうします?」

「はい?」

「御影さんさえよければこのボーナスは就職支援という形でお渡ししたいと思っているのですが?」

「……」


門上御影、二十歳。

就職からは逃げられないことを思い知るのだった。

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