持って帰りたいよと彼は思った
短め
で、まあ、なんというか。
門上御影、「ま、いっか」と流した。
たった一人の友達を失って。
初めてできた友達を失って。
――自分はどうなるのか。
そんな、重すぎるぐらい重要な問いを――「ま、いっか」で流す。
ここに御影に友達のいない理由の半分ぐらいが現れていると言っても過言ではない。
とにかく、御影はその重要問題を流し――だから。
リュート・ドゥ・エスシーバも。
カルルット・デルルットも。
そして、リューイ・ディ・エンクですらも
御影がそれに気づき――流したことに気がつかなかった。
それは。
きっと。
いろんな意味で――致命的だった。
* * *
気づこうが気づくまいが時は流れる。
御影の、その内心をほっといて何事もなく木曜が金曜が過ぎ去って。
土曜。
東京に戻る日である。
「みかげ、いっちゃうのだ?」
「ごめんなー」
わしゃわしゃ。
ああ、リン生後三ヶ月バージョンの可愛さよ。
出会ったばかりの両手ですくえるぐらいのミニマムさ加減も良かったが、この元気ハツラツ子猫もまた良し。
「だいじょぶなのだ!! リン、るすばんがんばるのだ!!」
ちょっとだけ、お喋りも上手になってそれがまた可愛い。
もーホント持って帰りたいよ!!
まあ、そういうわけにも行かず。
門上御影、東京に帰郷である。
* * *
さて、門上御影にはエルードでの暮らしの他に東京での暮らしもあるわけだが、この三ヶ月こちらも大きく変化していた。
というか、結構行き詰まっていた。
いや、格安の物件を結構な数見つけることはできたのである。
ゼロ円物件とかにもたどり着けはしたはしたのだ。
しかも、地方だけでなく都内にも結構あって免許のない御影としてはかなりテンション上がった。
が、しかし。
しかしである。
格安で譲っていい家があることと、住所不定無職にそれを譲って良いと言うことは全く別の問題なのだ、ということに御影が気づくまでそう時間はかからなかった。
どの物件もどの物件も細々とした条件付きで。
基本御影はそれに当てはまらないのだ。
門上御影、ほとほと困り果てていた。
それはさておき。
門上御影、新たなる任務を天照様より授かっていた。
「……御影さん、よく本読みながら雑巾縫えますね」
「むしろ読みながらの方が縫いやすいまである」
そう。
雑巾づくりである――!!




