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神とは意外に柔らかいらしいと彼は思った


「……つーことは何か? ここで御影をぶっ殺しちまうのが一番だって話なのか?」

「まあ、そう言うことだろうな……」

「むしろ、『召喚した人間をリューイ神の命の元に殺させる』ことに意味があったんじゃねえですかい?」

「そうだよねえ……」


なるほどと御影は一つ頷いた。

門上御影の記憶を消せない以上殺してしまうのが確実に一番なのだ。

が、ここで問題になるのが「召喚されたものがだれ一人として死んでいない」という事実の元にこの勇者召還は成立しているということ。

もしここで御影が死んでしまえば、それも邪神との戦闘の果てに落命したのではなく、召還した側の都合によって――リューイ神の命によって殺されたのだとなれば。


この勇者召還そのものが成立しなくなるおそれすら出てくるのだ。


「……恐ろしいのは向こうのやったことが御影の旦那の前で名乗りを上げたことだけってことでさあね」

「ああ、たった一手で見事に状況を有利に動かしたな」

「いや、感心してる場合じゃねえだろ」

「だよねえ……」


もはや進むも地獄、戻るも地獄である。

特に、終焉世界エルードの主神代行リューイ・ディ・エンクにとっては。

かなり追いつめられたといっても過言ではないだろう。


しかし。

そのリューイ・ディ・エンクは考え込んだままだった。


「……どうかしたか?」

「……いや、なんていうか」

「なんですかい?」

「…………いや、先にこっちから確認しようか。御影君、邪神が名乗ったという『その言葉』から真っ先に連想されるものはなんだい?」

「うん? えーと……」


うーん、まあ。

探せば色々あるだろうが……真っ先にと言われれば。

御影の場合はこれだった。


「きつね、かな」

「きつねかあ……」


リューイは見るからに落胆した。

でもまあ、正直ここは防虫剤かきつねかの二択だったのでしょうがない。

日本人の大半がそうであるように御影もまたいたずらぎつねの物語を国語の時間に習い、ついでに芸術鑑賞教室で人形劇も見た。


そりゃあまあ、ごんと言えばきつねである。


「で、それがなにか?」

「……いや、狐っていったらもろお稲荷様の管轄じゃん。流石の天照様でもどうにも出来ないよなあ……」

「……え、そのレベルでアウトなの?」

「アウトもアウト。他の木っ端神ならともかく稲荷神はかなりの実力者だからね。お米の神様っていやあ御影君にもわかりやすいかな?」

「分かった。めっちゃ分かった」


米。

それは日本人の心のふるさと。「恵み」そのもの。

多くの神話体系で広く信仰されている「太陽」とは違い、日本人固有と言ってもいい信仰である。

人が主食にかける思いとは――それだけ強い。


「これがカラスだって言うならごり押し出来なくもなかったんだけどねえ……きつねは無理」

「きつねだけなんですかい?」

「眷属としての知名度が全然違うからね。例えば大国主の眷属がネズミだとか御影君知らないでしょ?」

「今知った……」


確かに、狐といえば稲荷である。

もはや狐が稲荷なのではないかと思うほど稲荷である。

というかそう思う人もいそうなレベルで狐である


「そう、だから……消せないんだとすると……」


ぶつぶつと。

またもや考え込むリューイ。


「おーい?」

「……信仰の形、をとっている、はずなんだ……だから」

「リューイの旦那? 大丈夫ですかい?」

「……力の流れが、存在している、はずで……つまり」

「リューイ?」

「……神霊の形を取っているならば……」

「いい加減戻ってこい!!」


ドゴオ!!


ギグルさん渾身の一撃がリューイの頭にクリティカルヒットした。

比喩でなくリューイの体が変形した。

神とは意外にに柔らかいらしい。


「……………し、死ぬ」

「その程度平気だろう。説明しろ」


ピクピクと痙攣するリューイをガシガシと足蹴にするギグルさんの冷たさたるや相当なものである。

というか、特攻能力者だと聞いてた割に普通に強いなこの人。

武人怖い。


「……いや、なんつーか説明したいんだけどね」


よたよたとリューイは立ち上がりつつ言う。

それでもまだ首をひねってる所は流石というか。


「なんぞ問題でもありやすかい?」

「僕は魔法のことについてそこまで詳しい訳じゃないからねえ……」

「ほう?」


ヴァルさんの片眉がぴくりと動いた。

めっちゃ不機嫌そうな笑顔である。


「魔法の話をこの俺にしない、と。へーほーふーん。それがエルードのやり方なわけだ?」

「いや、そういうことじゃなくてね!?」

「じゃあ、どういうことだよ? ああん?」


もはやヴァルさんの目が据わっている……。

ご機嫌斜めも斜めらしい……。


「どっちかって言うとこれ神聖魔法系の話みたいな気がしてさあ……」


ぎょっと、四人はリューイを見る。


「お前、神なのに神聖魔法分かんねえのかよ……」

「あれ、エルードって魔法のある世界でしたよね?」

「旦那……、それはちょっと……」

「お前な……」


たははと笑ってリューイは答えた。


「いや、ほら、僕ってあんまり信者居なかったから……」

「「「「……」」」」


かわいそうなものを見る視線が4つリューイに突き刺さったとさ。

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