表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/104

結構な負けず嫌いだなと彼は思った


「……ふん、つまり俺にディーの取り替えっこを超えるチャンスがやってきたってわけか」


一瞬の沈黙のあと好戦的に笑ったのはヴァルさんだった。

元素魔法の達人の名にかけて御影の記憶を吹き飛ばそうと人差し指を御影に向ける。


しかし。


「……発動しないだと!?」


なにも起こらない。

ぴかっとした光もなく、ぱちっとした音もなく。

もちろん御影は問題なくゴンの名前を思い出すことが出来て。

真実なにも起こらない。


「どうなってやがる!? 抵抗されるならまだしも発動しないとか……」

「そりゃ、発動しないよ」


あっさりとリューイは答えて肩をすくめた。


「だって君――そう言う風に僕と契約したじゃないか」

「「「……ああああああああああああああ!!!!!」」」


その絶叫はものの見事な三重奏だったという。


 * * * 


「……ありやしたな。そんなの」

「あったな。そういえば」

「確かにあった」


全ての勇者とスタッフは――自分以外の存在の記憶に魔法的・物理的に干渉してはならない。

言われてみれば御影もそんな条文を読んだ気がする。

「え、どうやんのこれ?」と思ったきり忘れていたが。


なるほど。

魔法が使えるならばそういうことも可能な訳か。

なんか元素魔法的に簡単な魔法らしいし、必要な縛りなんだろう。


「まあ、認識って信仰の基盤だからね。霊的存在の名前みたいな重要な記憶を勝手に吹き飛ばされちゃ困る訳だよ」

「信仰丸ごと消されてたまるかって話か。……くそ、流石にお前の契約に抵抗は出来ねえか」

「ていうか、これ破れるんならマジでお帰りくださいだよ……」


ヴァルさん、心底悔しそうである。

おそらく故郷ではかなりの魔法使いだったのだろうが……ここでは神の加護を受けているのが当たり前。

ご自慢の魔法が通じないことも多くて結構フラストレーション溜まってるんだろうなあ……。


「……………あー、思ったんですがね? 豊蘆原の神様に頼めばいいんじゃないですかい? なら問題はねえでしょう」

「ああ、なるほど。出身世界の神が消すのが一番順当だな。流石に神そのものならば御影の魔法抵抗も抜けるだろう」

「ちぇ、困ったときの神頼みかよ」


ヴァルさんふくれっ面である。

結構な負けず嫌いだな、この人。


しかしまあ。

なんというか。

ふくれてくれたヴァルさんには悪いのだが……。


「あー、なんていうかね」

「まあ、なんつーか」


こればかりは魔法に詳しくない御影にも分かってしまうことだった。


「多分ね? 多分だけどね?」

「でもまあ、おそらく絶対」


輪唱するようなリューイと御影の声がぴたりと揃った。

そう、結論は一つである。


「「無理」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ