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番外:かくれんぼ

「とっくんなのだ!! とっくんなのだ!!」

「お~、特訓特訓」

「頑張れ~」


さて。

御影が豊蘆原に戻ってからと言うもの、リンはずっとこんな感じであった。

ていうか、戻る前からこんな感じだった。


手のひらを切っただけとはいえその負傷がリンに与えた衝撃は大きかったということだ。

なにせ生まれて一月たってないリンにとって親しい存在が傷つくような事例は初めてである。

そのパニック具合ときたら大変なものがあった。

御影が元気に動いてるのをみてようやっと落ち着いたが――そして始まる特訓ブームである。


「こんどこそはみかげをかんぺきにまもるのだ!!」


てしっ!!

てしっ!!


繰り出される障壁の質は流石のもの。

燃やし散らすことしかできなかったかつてとは雲泥の差である。


とはいえ。


「……寝てたら意味ないと思うんだがな」

「それいっちゃあおしまいだよ……」


問題は気を抜くとおねむになるところではないのか。

つーか、護衛なのに対象ほっぽりだして寝てる時点でどうなのよ。


「……まあ、メリューはオリジナルであるアメショーの本能にかなり近づけてあるからね。あの年じゃ眠くなってもしかたないよ」

「キーズ神は何を考えてるんだよ……」


うん。何を考えているのだろうか。

思い起こせば300年同僚やってきた訳だがリューイにはキーズの考えてることがさっぱり分からなった。

てか、ぶっちゃけマッドだった。

完膚なきまでにマッドウィザードだった。


……まあ、だからこそ頼りになる側面もあったのだが。

そう、例えば――今回のリンの事である。


「あの、ぞわぞわをなんとしてもつかまえるのだ!!」

「うぬう……流石三語神相当」

「俺は今でも信じられないんだが……」

「いや、キーズさんならあり得る」


そう。

このメリュー、実は例のステルス邪神の存在を知覚できるらしいのだ。

具体的には近くにいると「ぞわぞわ」するらしい。

「仮名を与えた」という深い縁のある御影の近くにいても然り。

今回リューイがリンの特訓を見守っている理由はそれにつきる。


「なんか絶対役に立たないようで絶対に役に立つ機能付けさせたら右にでるものは居なかったよ。キーズさんってのはそういう神さ」

「どういう神だよ!?」

「というか、哨戒役としてのデフォル人の立場が危ない……」

「いやーデフォル人より早くステルス邪神に気づいた存在がここまでいるとはね……」


そうなのである。

今回、デフォル人はステルス邪神の存在にぎりぎりまで気づかなかったのだ。

絶対の千里眼能力者として君臨してきた彼ら最大の危機である。


「……旦那に見えないものがあるというのが俺は信じられねえ」

「厳密にいえば――見えなくはない、と思う」

「どういうことだよ?」

「居そうな場所に焦点をあてて意識を向ければ――見えるのでないか、というのが現状デフォル人の総意だ」

「…………旦那それできねえのかよ」

「まったく」

「「……」」


リューイとジャイニーブは頭を抱えた。

絶対の千里眼能力者デフォル人。

彼らに見抜けぬものなどない――故に。


デフォルには「隠す」関連の文化がない。

遠慮がない。礼儀がない。建前がない。


もうほんと、なんていうか。

デフォル人が来たばっかのころは本当に大変だった……。

もうほんと大変だった……。


だってもう、その世界のトップシークレットクラスの秘密をあっちこっちでベラベラ話しまくりなのだ。

そして、悪気は一切ない。


そのたぐいまれな千里眼能力を差し引いても送り返すべきという議論があちらこちらで聞かれたものだった……。


幸いにして、素直極まりないデフォル人はクレームをおとなしく聞き入れかなり扱いやすい性格になってくれたのだが……まあ何というか。


「そりゃそうだよねえ……」

「そうだよなあ……」


「隠す」文化がない奴が「探す」能力を持ってるわけがないのである。


「今までは何となく見ていれば大概見えたからな……」

「なんという哨戒貴族……!」

「見えないなら目を閉じればいいじゃないって感じだった……」

「流石にそれは意味分かんねえぜ……」


居そうな場所に意識を向ける。

それはすなわち「探す」ということ。


漫然と見ていれば見えないものはなかった彼らには必要のなかった機能である。

だから――できない。


「……バカにする気は一切ないんだが、旦那結構ポンコツだよな」

「安心しろ。自覚はある」

「……ちなみにどういう感覚なの? 意識を向けること自体できない感じ?」

「いや、隠れてる場所が見当もつかない。『隠れる』という思考自体理解できない。そういう感じだ。――正直、デフォル人は基本的に知覚したものの1%ぐらいしか理解してないからな」

「……………うん、まあ、そうだろうね」


とんでもないポンコツ宣言のようでいて。

それは裏を返せば――理解能力の数百倍の物事を知覚できるということだ。

そして、理解してしまえば「術式介入」のようなトンデモ技すら可能なのがデフォル人。


あの扱いにくさを考慮しても使わざるをえない絶対的能力である。


「…………………うん、もう、これはあれだね」

「なんだ?」

「これしかないねえ……うん、これしかない」

「だから、なんだ?」


契約神リューイ・ディ・エンク。

彼はここに宣言する。


「――かくれんぼしようか」


第一回エルードかくれんぼ大会の開催を――!!

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