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それは本当にすごい!!と彼は思った


マイナンバー。

日本国民全てについている固有番号。

その賛否はここでは置いておく。

重要なのは住民票を移動するために絶対に必要な番号で――門上御影が自分の番号をさっぱり知らないってことである!


「御影さん、通知カードが送付された段階で住所不定でしたからねえ……」

「俺の可愛い住基カードが時代遅れになっていたなんて……」


御影がっくりである。

この住基カードは高校進学記念に自分で取得した思い出の住基カードなのだ。


しかし。

住基カードは最早新規発行されなくなった過去の遺物。

マイナンバーカードが発行されると回収されてしまう宿命なのである!


「なんて悲しい……」

「……ええと、御影さんの通知カードは前すんでたところの役所に保管されています。で、これをヤタガラスの仲間が取りに行きますので御影さんは委任状を書いてください」

「スルーされた……」


それはさておき。


「委任状……ボールペン字だよなあ。俺ボールペン字苦手なんだけど」

「贅沢言わないで書いてください」

「尋常じゃなく苦手なんだよなあ……」


しぶしぶ。しぶしぶ。

門上御影はボールペンを握った。


 * * * 


「御影さん……本気でボールペン字苦手なんですね」

「だからそういったじゃん!!」


苦手なんだよ!! 本当に苦手なんだよ!! 嘘じゃないんだよ!!

なんというかあれだ。

修正できない一発書きだと思うと頭が真っ白になって手が動かなくなるのだ。

結果としてすごく間違える。そしてますます緊張して……というスパイラルにはいり脱出出来なくなるのだ。


「テイク5でようやっと完成ですか……」

「死にたい……」


もちろんくうは委任状を五枚も用意してないのでプリントアウトするために高天原に一回戻ってもらったくらいである。

まあ、ついでに御影の住基カードをコピーできたから良しとしているようだが。


しかし、高天原複合機完備なのかよ。

なんかもう……ただのオフィスにしか思えない。


「まあ、通知カードが手にはいれば各種手続きが出来るようなりますから」

「手続き……代筆してもらっちゃだめ?」

「ダメです」


世の中は厳しいのだった。


「とりあえず、明日一日は通知カード取りに行くので終わっちゃうので買い物にいきましょう。なにか欲しいものありますか?」

「米」

「必須ですね」


とりあえず米。なにはなくとも米。

基本である。

なんのための炊飯器なのか。ジャガイモをふかすためではないのである。


いや、ジャガイモもおいしいけどね!


「とりあえず、こっちで今用意しているのはコートと携帯電話ですね」

「ケータイ?」

「法人名義のガラケーです。GPS対応で御影さんの居場所がすぐに分かるという」

「ひもがついた!」


しかし、携帯か。

それならば……むむむ。


「それって通信費は……」

「法人名義なのでこっち持ちですよ。そのかわり御影さんが変なところにかけたら一発でわかります。あと天照様のご加護により異世界からでも通じますよ」

「そいつはすごい!!」


それは本当にすごい!!

なんか細かいとかちっちゃいとかいってすみませんでした天照様!!

あなた様こそ偉大なる太陽神でございます!!


「それはマジで助かるわ~。俺のスマホ今月で切れるし」

「………………は?」

「いや、俺のスマホ今月で使えなくなるんだよ。通信費払ってないから」

「………………なんでそれを早く言わないんですか!!」

「え、別に良いかなって……」

「良くないです!!」


くうさん。激おこ。

ぷんぷんである。


「これは、真面目に深刻な状況です……。ちょっと高天原に持ち帰って検討します」

「えーと、何がそんなに……」

「御影さん」


くうはものすごく深刻な顔でいった。


「あなたは二十歳です」

「うん」

「住民票を東京に移します」

「うん」

「つまり?」

「……うん?」


えーとそれがなんだっていうのか?

さっぱり心当たりがないのだが……。


「夏の都議会選挙の投票権があるってことでしょうが!!」

「えええええええええ!!」


本日の教訓。

異世界にいこうがどうしようが選挙権は発生します。

あとマイナンバー大事。


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