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ちっちぇえよと彼は思った


「というわけで、ペットが出来ました」

「メリューをペット扱いしないでください!!」


怒られた。

くうさんぷんぷんである。


東京に戻って夕食を兼ねた報告会。

ちなみにメニューはじゃがいものふかしたのと大根と人参の味噌汁である。

……食材、買い足そうぜ。切実に米がほしい……。


「一応こっちに内定届いてます。検査結果が出る一週間後に契約書類一式持ってくるとのことです」

「まあ、ペットも出来ちゃったしなあ……」

「だからペット扱いしない!! いいですか。ヤタガラスとメリューだったらメリューの方が格上なんですよ!」

「マジで!?」


あのもふもふそんな偉かったのか……。


「言っときますけどヤタガラスの格が低いってんじゃないですからね? メリューの格が高すぎるんです!! たかが眷属が三語神相当ってあり得ないんですから」

「……よくわからないんだが」

「ようは、魔法神になにかあったら魔法神代理として動いていいという権利をメリューは持ってるんですよ。これは破格の待遇です。ヤタガラスをはじめ普通の眷属は持ってませんからね?」

「おお!?」


そりゃあすごいじゃないか!?

あれだろ? 大統領と副大統領の関係ってことだろ?

……すごいんだなあ、あのもふもふ。


「エルードの通常の眷属だったら五語神相当ですよ。私たちが通常会うレベルがそのあたりなので確実です」

「リューイは例外?」

「例外です」


ううん……そうか。

そんなに偉かったのか……。


「むしろ御影さんがペットでもおかしくないですよ」

「俺の方がペットかあ……」

「生後七日とはいえ皇太子でしょう? 礼節をもって接さないと……殺されますよ?」

「おおう……」


気をつけよう……。

まあでも――もふるけどね!!

門上御影は偉かろうが何だろうがもふもふをもふることをためらうほどレベルの低いモフラーではない!


「それはさておき……住民票を東京に移すことになりました」

「俺の?」

「他に誰が居るんですか?」


くう曰く。

東京都がやっている各種就職支援を受けるには住民票を移した方がいいのだそうだ。


「ていうか、日本の総氏神天照大神の名にかけてあんまり阿漕なことはできないんですよね……。東京に住んでるのに住民票移さないとか最たるもので……」

「前から思ってたけど天照様めちゃくちゃ細かいよね」


阿漕なことの最たるものが住民票移さないって……ちっちぇえよ。

東京に住んでる奴の三割ぐらいが阿漕な奴だよそれじゃ。

いや、それは偏見かな……?


「東京で就職しないまでも適職検査とか模擬面接とか出来ることはいっぱいありますから御影さんにとっても悪い話では無いはずです」

「まだ、俺の就職をあきらめてなかったのか……」

「何か言いましたか?」

「いえ、何も!!」


俺はとっくに諦めてるんだが……。

くうさんねばり強すぎっす。


「あと、給与受け取り用の銀行口座が絶対に必要で……国民健康保険と国民年金も絶対に加入しないと」

「おお?」

「今、なんとか対物保証つけられないか検討してるんですがなかなか難しくって……」

「意外に社会保障が充実してる!?」

「当たり前です!!」


豊蘆原では今までも異世界召還が行われていたらしい。

しかし、それは名も無き木っ端神によるモグリの召還。

今回初めて日本の総氏神にして至高の太陽神天照大神による異世界召還が行われることになったのだという。


「ならば、その辺の妖怪崩れとは格が違うことを見せつけなければならないのですよ!! ここで安心安全のアマテラスブランドを確立し豊蘆原に天照ありと広く知らしめなければ……!」

「く、苦労してるんだね?」

「対外的には天照大神が狭小世界豊蘆原の主神であると言うことになってますが……ぶっちゃけそこまで地位が確立してる訳でもないんですよ。社の数で言ったら倉稲魂神(うかのみたまのかみ)とかの方が多いわけですし」

「その神知らないけど……」

「いわゆるお稲荷様です」

「なるほど……」


そういや天照様のお社ってそんなに見ないな……。

神社と言えばお稲荷様と八幡様。そんな気がする。


それはさておき。


「……健康保険とか国民年金とかいる? 特に年金とか多分貰え無くない?」

「甘いですよ。御影さん。我々が狙うのは四十年後五十年後の老齢年金ではなく――来年の年金です」

「……は?」

「つまりは障害年金ですよ」


くう曰く。

国民年金に加入してさえいれば例え保険料を払っていなくとも(!)障害が認定されればお金が貰えるのだという。


「……払ってなくとも!?」

「違法な滞納じゃダメですよ。ちゃんと申請して免除してもらっていれば例え一銭も払ってなくても条件さえ満たせばお金が貰えます」

「マジで!?」

「最低でも年額78万円もらえますよ」

「そんなに!?」


やべえ……。

マジやべえ……。

この国俺の想定以上に福祉が充実してる……。


「国民年金は扶養家族が居なければ前年度の年収が57万以下で全額免除や納付猶予に出来ますから御影さんなら多分いけますね」

「むしろそんな大金見たことない」

「御影さん……」


うぬう……。

これは知らなかったぜ……。

正直去年の年収とか10万いってたか怪しい……むしろ5万以下かもしれないレベルなのでその点は心配ない。


そうだよなあ……いくら後方での皿洗い業務とはいえ戦争してるところにいくんだもんなあ……。

一年後五体満足でいるかは保証の限りではないよなあ……。

タダでお金が貰えるなら加入しておくべきかもしれない。


「申請してお金もらうためには医師の診断書が必要になりますし、一定期間通院・入院して障害が回復しないかどうかチェックしてもらう必要があるので国民健康保険も入っちゃった方がいいです。っていうか入ってますよね?」

「多分失効してるけど……」

「ならこっちで新しく入りましょう。こっちは免除にならないのでお役所の方と相談です」

「……エルードで治してもらえないかな?」

「治癒魔法効かない人が何いってるんですか?」


ごもっとも。


しかし、そうかあ……。

こっちは免除にならないのかあ……。

でも、病院には絶対かかる気がするんだよなあ……。


「御影さん発達障害の診断書捨てちゃってますよね? ならきちんと通院して診断書新しくもらった方がいいです。障害者手帳とかとれば障害者枠で就職できますし、もし思ってるより重いものだったら障害年金貰えますよ。年間78万円貰えますよ」

「……マジかあ」

「まあ、こうして話してる分にはそこまで重い感じはしないですが」

「……マジかあ」


うぬぬ……うぬぬ……うぬぬぬぬぬ。

ならば入るしかないのか……?

ちょっともったいない気もするが、後で怪我して全額負担になったら払えないよなあ絶対。


しかし、邪神と戦争中の異世界に召還されたのに悩んでることが国民健康保険に入るかどうかって……。

つくづく俺は勇者になれないな。しがない皿洗いで十分だ。


「しかしですね、御影さん。その前に大きな壁が立ちふさがってまして」

「……何?」

「マイナンバーです」


こうして。

門上御影の「目指せ国民年金全額免除の旅!」はマイナンバーに阻まれたのだった。

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