副知事が何する人か全く知らんけどと彼は思った
忘れがちだがリンはメリューの皇太子である。
すなわち眷属たるメリューのコントロールユニットであることを意味する。
ゆえにメリューがガラン世界に派遣されるのならば。
リンの居場所は結構重要だったりする。
「じゃあ、俺が持って帰るわけにもいかないだろう」
「いや、君は自覚ないだろうけど邪神を倒した勇者なんだよ。少なくとも対外的には」
「ええ……」
「いや、そんな顔されても倒しちゃったんだからしょうがないだろう?」
しょうがないのか? いや、なんとかならないか?
「なりません」
「ならないのか……」
「諦めようね。で、持ち帰るって言ってもずっと一緒って訳にはいかないんだよねえ」
「そうだろうなあ……」
一緒にいたいけど 冷静に考えたらリンVIPなんだよなあ……。
なんだろう。イメージだけど人間で言ったら副知事ぐらいの偉さはある気がする。
副知事が何する人か全く知らんけど。
「いや、もうちょっと偉いと思うけど……、まあ、それは置いといて」
「マジかい」
「マジですよ。だから、君に対する報告役って感じかな。君もVIPだしね」
「慣れねえなあ……」
つーか、あれか。
メリューをガランに派遣するとリンが定期的に「みかげ~!」ってやってくる感じなのか最高だな。
いやいやそういうことじゃなくて。
あのリンの仲間のもふもふが凶悪な邪龍の前にか……。
もふもふが……もふもふが危険な目に!
いやでも、その方が安全なのか……?
うーん、戦ったことがなさ過ぎてなんも判断できねえ……。
戦闘力、一個も上がらんかったしな。
……上がっても困るがな!
「いや、上がっても困るっちゃ困るけどさすがに低すぎるからねえ……。護衛役を派遣しとくのはありっちゃありだしね」
そのあたりは豊蘆原の神々と協議しないといけないけど、と思案顔のリューイ。
そこで御影は気づく。
これ、俺の意思あんま関係ない奴じゃね? と。
明らかに神々の話し合いで決まるやつじゃね? と。
さすがは最弱の皿洗い。
邪神を倒してなおないがしろだった。




