不穏しか感じねえと彼は思った
「うーん、別になんもせんでもいいと思うけどね。というかやった方が良いことはあっても、君にできることが何もないんだよねえ」
「それは納得だ」
御影にできることなど皿洗いと雑巾縫いぐらいだ。
最弱の皿洗い。その肩書に偽りはない。
「ただ、なんかこう……恨まれたくはないんだ。俺の弱さならチラッと恨まれただけで即死しかねないだろう?」
「うん、まあ、そうなんだけどさ」
さらっと肯定された。
まあ、いたしかない。
「とりあえず、イヨル君に関しては気にしなくていいよ。アレはそういうものじゃないし、ルーイック君と話をつけたみたいだしね」
「ふむ」
「ジャイニーブ君は逆に近づかない方が良いねえ。あそこはもう何でも欲しいレベルでがっついてるからね。迂闊に近づくと死にます」
「死にますかい」
「死ぬね」
死ぬのか。
まあ、そうだろう。
ジャイニーブさんは悪人ではないが戦闘力が違いすぎる。
小突かれただけでも死ぬ自信がある。
とはいえ、お世話になった先輩には何かをせねばならない。
なにか、なにか、渡せるものはないか……?
「…………まあ、なんというか。なくもないけど。できる事」
「下手な俳句みたいじゃん……」
不穏しか感じねえ……。
「リンをガランに派遣するのがジャイニーブ君一番喜ぶと思うんだよね……」
「みゃ!!」
「君がアメショーになってどうするんだい……?」
「いや、だって……!」
だってガランって邪龍とかが跋扈してる激ヤバなところだろ!?
あんな可愛いにゃんこをそんなところに派遣するなんて……!!
「やだー!!」
「いや、だたの提案だし……」
「いやだいいやだい!! リンは幸せに暮らすんだい!!」
可愛いにゃんこは幸せに生きなきゃダメなんだい!!
可愛いにゃんこはぬくぬくしてないとダメなんだい!!
「いや、でもリンはその方が安全かもよ?」
「なぬ?」
と眼光鋭くにらみつけた御影を見て。
(コイツ自分よりリンが大事なんだなあ……)
とリューイが思ったとか。
もふもふ好きの思考は時に神の思考を超えるのであったとさ。




