やらかしたんじゃなかろうかと彼は思った
……やっぱりもらいすぎなんじゃないだろうか。
そんな思いが去来する門上御影であった。
つくづく勇者にはなれない男である。
一夜明けての5月15日の事であった。
* * *
1DK。
部屋が一つとダイニング。そしてキッチン。
そんな贅沢が許されていいのか。ガタブルな御影である。
あの場では納得したものの、人生史上初の二部屋生活がじわじわと怖くなってきた。
挙句、正社員。
正社員で5年も働いたら退職金とか出るんじゃなかろうか。ガタブルである。
王侯貴族か俺は。
無論御影とて正当な労働の対価を断ろうというほど謙虚な男ではない。
が、である。
俺なんかしたっけ? それがわからない御影であった。
ていうか、ガチで何もしてないな。
まじで、何も、してないな!?
で、多分、みんなそう思ってるだろ!!
こう、なんか、評価が上がった感じがしねえんだよ!!
こういうトリップ物にありがちな「やるじゃねえか」的なものがないんだよ!!
俺の居場所がここにあった感がないんだよ!!
言語化すると「え?」的な。
「マジなんなのあいつ?」的な。
むしろ、若干ムカついてないか!?
「なんかウザくね?」感を感じる!!
うわああああああああ!!
「……何やってるじゃん? 御影」
カルルットさんにばっちりみられていた。
* * *
「……まあ、ぶっちゃけよく思ってない奴はいっぱいいるじゃん?」
「ですよね~」
知ってた。
マジ、知ってた。
だって、それ以外ないじゃん?
「みんな、邪神退治にかこつけてエルードの資源かすめ取ろうとしに来たようなもんじゃん? それが御影のせいでご破算じゃん?」
「マジすか……」
むしろ、俺やらかしたんじゃなかろうか?
恨みかった、俺?
「……ただ、逆に言えばリューイは大儲けじゃん?」
「およ?」
「豊葦原はそういうつもりじゃなかったろうし……、エルードにとってはいくらでも値切れる状況じゃん?」
「およよ?」
「……お前そんなキャラじゃなかったじゃん?」
「いや、困惑のあまり」
うーん。求められるのは敗戦処理ならぬ勝戦処理か?
頭を下げて媚びへつらっておくべきか……?
「まあ、なんにせよ何かするならリューイに話を通しておくことをおススメするじゃん?」
「ほほう?」
「どの勇者であれ、スタッフであれ、御影を殺せない奴はいないじゃん? リューイにフォロー頼まないと存在ごと消されるじゃん?」
「そうでした!!」
皿洗い門上御影。
邪神を倒そうがどうしようが最弱続行であった。




