服縁
なんでこんなときに………。
すっかり明けたと思っていた梅雨。けど、お天道様は理不尽な気まぐれを押しつけてくる。
まさか雷雨って………。天気予報じゃ、今日は一日中晴れだったはず。
こんな悪天候の中、なぜ私が外を出歩いているのか。それは、遡ること一時間ほど前………。
◆
特に何もない平穏な日曜日、私は自宅のソファでファッション雑誌を読みふけっていた。
そんなとき、携帯のバイブ音が鳴り、懐かしい名前をディスプレイに表示した。高校時代に私のいたグループのひとり、ユカからだった。
「もしもし、久しぶりね。急にどうしたの?」
『おひさー。実はさぁ、ちょっとお願いしたいことがあるんだよね』
「何? お願いって」
『私、今度結婚するんだよ。それで、サキに友人代表として何か喋ってほしいなって思って』
「え? すごいじゃん! おめでとう‼︎ それで、いつやるの?」
『4ヶ月後の11月。八王子の式場で』
「そっかー、ユカもとうとうお一人様卒業かぁ。オッケー、しっかり考えとく」
『よろしくー。じゃ、詳しくはまた今度連絡するよ』
「わかった」
通話を終えると、早速スピーチの内容を考えることにする。
「ユカさん、えーと…新郎さん、ご結婚おめでとうございます。ユカさんとは高校生の頃からの付き合いで………あー。ダメだ、思いつかない」
やっぱり私はこういうの苦手だ。
………そういえば、スーツどこにしまったっけ? とりあえず、部屋のクローゼットを漁ってみる。
「あったあった。うわ、すごい臭い。漫画家になってからはもうまともに着なくなったし、無理もないか。そうだ。締め切りもひと段落したし、気分転換の散歩がてらにクリーニングに出しにいこうっと」
◆
そんな訳で、クリーニング屋に向かっていた矢先、こんな土砂降りに出くわしてしまったのだ。私は大急ぎでクリーニング屋に飛び込んだ。職業柄、ろくに家から出ない私にとっては、しばらくぶりのこのお店。
「いらっしゃいませ………………え?」
運動音痴の私が息を切らせて入って来たせいか、奥から出てきた店員さんも少し驚いているようだ。
「サキ、どうしてこの町に………」
「はい。確かに私はサキですけど………え?」
呼吸を整えて顔を上げた私は、店員さんが驚いた本当の理由がわかった。
「サ、サヤカ?」
その店員さんは、私の元カノのサヤカだった。
どうも、壊れ始めたラジオです。
え?オチ?タイトルの通りですがなにか?
…失礼しました。
ということで、物語はここで終わらせていただきます。
また別の作品でみなさんに会えるのを楽しみにしております。
それでは。




