一億分の一ミラクル!であります
俺の事……助けてくれよ――――ッ!
「くそっ、あいつどこ行きやがった?」
「右京、こっちも見当たんねー」
グラウンドでは消えた響喜の捜索が始まった。
「……ってええぇーっ!」
一方その頃。
俺は地面のマンホールから勢いよく吐き出されると、地面に叩きつけられた。
そして地面はあのコンクリートではなく、緑色の芝生が茂る。
「やっぱり……」
俺は唖然としながら目の前に広がる湖を眺めていた。
目の前には宮殿……なのか、立派な城が聳え立つ。
とりあえず俺は立ち上がってズボンを叩く。
思いっきり叩きつけられたので、ズキッと足首に痛みが走る。
捻挫だろうか、これではまともに歩くこともままならない。
「くそー、殴られたほうが良かったか?とりあえず大臣に会いたいし……」
俺は捻挫した左足を引きずりながら、宮殿に向かった。
「はぁ、人間を国王にするチャンスだったのに……」
私は封印に必要不可欠な彼を逃してしまい、落ち込んでいた。
とりあえず気分転換に、と宮殿の中庭を歩き回ってみるが……
国王はまたチャンスはいくらでもあると仰っていたが、確率は低い。
また、一億分の一の奇跡で人間が現れてはくれないだろうか……
「あー、いたいた、前の大臣だ」
「!?」
聞き覚えのある、昨日のあの声と一致する……
独特の周波数を持つこの声は――人間!?
「すみません、ちょっと斯く斯く然然ー」
彼は無邪気な笑顔を浮かべ、こちらに歩み寄ってくる。
「君……もしかして昨日の!?」
「あ、はい。すみません、またこっちに来てしまいました、ははっ……」
彼に何の用があったかは知らないが、これは良い機会だ!
「君、ちょっと来てくれるかな?」
「え……っ!?」
俺は大臣に腕を掴まれ、無理矢理宮殿の中へと引きずられた。
何なに、来ちゃいけなかった系?
もしかして、処刑……!?