一億分の一のチャンス逃した……であります!
カッカッ
「失礼します、国王」
「なんじゃ」
私は人間がやってきた事を国王に報告すべく、王室を訪ねた。
重いドアを開けると、見慣れた豪勢な王室が視界に入る。
「先程人間がこちらにやってきました。人間は信用出来ないので、私の判断で追い出しましたのでご安心を」
「人間がやってきた……だと!?何故引き止めなかった!?」
国王は玉座から立ち上がると、つかつかと私の方へ歩み寄ってきた。
「引き止める……?何のためにでしょうか?」
「決まっとるだろう!?こちら(異世界)に来るには、私達の血筋を持つ人間が来れるという条件!これは人間界と異世界の繋ぎ目の封印に必要な人材じゃ!」
王の言葉に、私は背筋が凍ったような気がした。
「そんな……っ!?しかしこちらの血筋を持つ者は一億分の一。封印する必要はあるのでしょうか?それに何故、昔人間は自由に行き来出来たのですか?矛盾します!」
私はとんでもないことをしたという罪悪感に駆られながらも、自分の非を認めたくはなかった。
「確かに昔、人間は行き来できた。しかし封印した。その封印は今、完全には解けていないが、一部解けたせいでこちらの血筋を持つ者は入れてしまう。しかしこのまま封印が劣化すれば人間も行き来出来るようになってしまう。そうすればまた植民地化になりかねない……」
私は国王の言葉に気を失いそうになった。
こちらの世界に来られる条件とは、一億分の一の血筋を持つ者――!
つまりあの少年はこちらの血筋を持っていたという事なのか――!
「だとしたら私は、一億分の一のチャンスを逃した……という訳ですか……」
封印するためには人間の血筋を持つ者の統治10年が必要。
彼を逃した今、日本に混合血筋を持つ者は現れないだろう……