異世界に行ったら痛みがなくなってた であります!
人間界に来るための……条件って……?
「条件って何ですか?」
俺は彼に問うと、彼は首を傾げて考え込んだ。
「国王に言われた事が……なんでしたっけ?まぁいいでしょう。このマンホールから帰れます」
「はぁ」
別に異世界に来るための条件なんてどうでもいいか。
「さようなら」
彼は恭しくお辞儀をし、俺を見送った。
人間が現れたという噂が広まったのか、ギャラリーが出来ていた。
にしても、こいつら俺と同じ人型だけどな。
「あー、どうも」
俺はどうせこれが現実だとまだ信用できていなかったから、とりあえずおざなりな返事をしておいた。
マンホールの蓋を開け、青白い光に包まれた。
やっと帰れる……
――――――――――……
「……っ」
俺は目を開けると、真っ暗な空が視界に入った。
鋭い三日月と、今にも消えそうな小さい星が散らばっている、いつもの空。
まだぼやけてピントが合わない状態で、意識もぼうっとする。
「そうだ俺……」
異世界に行った夢が、まだ脳裏にはっきりと残っていた。
景色も、彼の顔も――……
殴られた傷跡はあるが、不思議と痛みはもう感じなかった。
俺は溜息をつき、立ち上がって砂を祓った。
「ドラ●もん……終わったか」
俺は正門を抜けると、いつも通りの帰路についた。