マンホールは封印の繋ぎ目であります!
彼(名前忘れた)は、深刻な表情をした。
「勿論帰ることは出来ますよ。しかしですねぇ……」
「なんだよ、俺帰りたいから早く言ってよ、勿体ぶるな」
俺は痺れを切らして問い詰めた。
「封印する事にあたっていくつか厄介な事があります」
「あ?」
俺は、封印自体が厄介だろ、と思ったのだが。
「まず、封印する為に人間界で一億分の一の確率でいる、異世界人の血を持つ人間が必要です。以前は案外早く見つかったのですが」
彼は溜息をつきながらチラッと俺を見てきた。
俺は別にそんな異世界人の血なんて引き継いでねーけど。
「その血を引き継ぐ者にこの国を治めて頂きたい。そして見事10年間人間がこの地を治めれば封印は完成するという、少々面倒な手続きが必要なのです」
手続き?封印に手続きとかいるのか?
せめて儀式とか言いません?普通。あ?
でも深刻な話だと思っていたが、どうやら俺には無関係みたいだ。
「とりあえず封印とか俺の問題じゃねーし、帰っていい?そろそろドラ●もん始まるし」
俺は6を差した腕時計を見た。
もう5時限目をとっくに過ぎ、下校時刻になっている。
「(ドラ●えもん……?)まぁいいでしょう。このことは絶対に人間に話してはなりませんよ。話したらどうなるか……分かっていますよね?」
「分かってるってー(否、全然分かんねー)、誰も信じねーよ、きっと」
そもそも俺には話す相手もいないし……
「ならいいでしょう。封印の繋ぎ目のマンホールからどうぞ」
彼が指したのは、不自然にある湖の辺のマンホールだった。
じっと見つめると、鳥の絵が象ってあった」
……ん?そういえば……
「一つ質問したいんだけど」
「はい、なんでしょう?」
俺は疑問に思った事を言ってみる。
「マンホールに立っただけだと、他の奴も偶然立ったりして簡単に異世界に来れるよね?なのにどうして俺だけ異世界に飛ばされたんだ?」
正直、俺の他に先客がいたかは知らないが。
「そういえば……国王によるとある条件が必要だと……」
ある条件――……?