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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第4章 消えぬ想い
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第6話

「…じゃ、作戦決行の前に、最終確認しておくよ」


日もとっぷり暮れ、辺りを支配するのは闇の女王。

一同は、屋敷のすぐ近くまでやってきているようで屋敷の周りの様子を窺いつつじっと息を潜めていた。


あれからリアムの悲痛の叫びも空しく、多数決でリアムが変装する事が決まり、じっくりと準備を整えてから屋敷に向かったのである。

屋敷の警備に存在を知られてはならないとひそひそと声を潜めつつ、メイズがこう切り出した。


「まずは、ジスクとエマイユが騒ぎを起こす。で、警備がそっちの方に向いたら、アタシとリアムが屋敷に侵入する。何とか取り戻したら連絡するから、それまでは捕まるんじゃないよ?」


メイズの言葉に、3人は力強く頷いて見せた。


「それで…連絡というのは、この小型無線機で出来るのね?」


そう言うエマイユの手には、何やら小型の機械が握られている。

どうやらこれが、彼女の言う小型無線機らしい。


「そういう事。これなら、どこにいても連絡が取れるからさ」


エマイユの問いに、メイズはそう答える。

ちなみにこの小型無線機、メイズがスクラップから拾い集めて改造したものらしい。


すると、メイズが何かを思い出したように徐にベルトポーチを漁り始める。

そこからはまるで不思議なポケットのように様々なものが姿を現した。

それらのあれこれを物珍しそうに眺めるのはメイズ以外の3人だ。


「あ、それ、渡しておくよ。閃光弾と煙り玉。あと、ついでに手榴弾も渡しておくよ。威力は抑えてあるから大丈夫だとは思うけど、それは最終手段って事で」


彼女はそう言うと、手にしている閃光弾などをジスクに手渡した。


「おぉ、悪ィな。へぇ~何かよく分かんねーけど凄そうだなこれ! 面白そうだからちょっと試しに使ってみていいか?」


「いい訳ないでしょもう。そんな事したらボクらが潜んでるのがばれちゃうよ。それにしても、閃光弾とか始めて見るよ」


ジスクの能天気な発言にすかさずツッコミを入れつつも、珍しそうにそれを眺めて興味津々、と言った様子のリアム。

だが、そんな雰囲気もすぐに消え失せ、代わりに辺りを支配するのは張りつめるような緊張感。


「じゃ、くれぐれも捕まるんじゃないよ!」


──かくして、前代未聞の無理無茶無謀な作戦が始まろうとしていた…



◆◇◆



「さて、どーしたモンかねぇ…」


頭をポリポリ掻きつつ、そう呟くのはジスクだ。

そんなジスクと傍らに佇むエマイユの前方には、それはそれは巨大な正門がそびえ立っていた。


「リアム達は警備の死角から侵入するって言ってたから…逆に私達は、正面から強行突破の方がいいんじゃないかしら」


考え込みながら、エマイユがそう提案する。


「う~ん、それはいいとしても、この門どーやって開けるんだよ…?」


改めて眼前の現実に向き合おうと視線を前に向ければ彼らの前には頑丈な門があり、押しても引いても開きそうに無い。


「開かないのなら…強引にでも開けてしまいましょう」


にっこり微笑みながら、そう返すエマイユ。

要するに、“開かないんなら、この門ブチ破って突入しよう”という事である。


ジスクも、それを察したらしく、


「ま、派手にやれ、ってのが要望だし…。そんじゃ、あいつからもらったコレでも使ってみるか」


ジスクはそう言うと、懐から先程もらった手榴弾を取り出した。


どうやら、手榴弾で門を破壊しようと考えているようだ。

早速貰ったものを試してみたいとは、何ともジスクらしい考えだ。


「え~と…こう使えばいいのか?」


始めて扱う物騒な代物に戸惑いつつ、覚束ない手元ながら手榴弾を門に向けて力の限り投擲した。

その刹那、投げた本人ですら想定しえなかった現実が彼らに襲い掛かった。



ドォォォンッッ!!



耳を劈くような、凄まじい爆音。

それと共に、爆炎と爆風が辺りを襲う。

数分と立たないうちに、文字通り門は跡形もなく崩壊した。


「は…はは…すげーなこりゃ…」


予想以上の破壊力に、ジスクは呆然と正門があった場所を見遣りつつ乾いた笑いをするしかなかった。

エマイユも、あまりの凄さに言葉を発する事を忘れてしまったらしく、ただただ目を見開くばかり。


「まさか…これ程までの威力だとは思わなかったわね。そういえば、メイズは確か威力は抑えていると言っていなかったかしら…?」


「あー…確か言ってたな。これで抑えてるって、じゃあ抑えてなかったらどーなってたんだ…?」


「…それは考えない方が良さそうね」


「……、だな」


背中に冷たいものが通り抜けるのを感じつつ、此処で呆けている訳にはいかないと我に返ったのはジスクだ。


「っと! ここで突っ立っててもしょーがねぇ! エマイユ、さっさと行こうぜ!」


その言葉にエマイユもハッとなり、


「え、ええ、そうね。行きましょう」


と、早速中へ“突入”した。


もちろん、向こうも黙って見過ごすはずもなく。

門を壊されたこと、侵入者が入ってきたことを瞬時に警備兵に伝えるかのように、屋敷じゅうに警報が鳴り響いた。

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