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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第4章 消えぬ想い
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第1話

エルビア族の村が焼き払われる、という悪夢のような出来事から数日後。

一同は復旧作業を手伝っていたものの、村人から早く此処から出てエターナルを封印してくれ、と促されてしまった。

後ろ髪を引かれる思いはあったが、村人の思いを無碍にする訳にはいかず此処へ戻る時は必ず吉報を運んでくると約束してから再び旅立ったのである。



◆◇◆



「ふぅ、リネスタウンまではまだまだかかりそうね…」


手にした地図を眺めながら、エマイユがそう呟いた。

思わず仰ぎ見た空からは燦々と穏やかな日差しが降り注ぎ、その眩しさに反射的に瞼を閉じるエマイユ。

太陽が高々と揚がっており、時刻は正午近くであろう。


暫く黙々と歩を進めていると、次第に彼らの視界に集落のようなものが映り込む。

ジスクは街の方を指差しながら、


「腹も減ってきたし、丁度いいからそのの街で休憩してかねーか?」


と、相変わらず呑気な口調である。

勿論エルビア族の村での決意は胸の奥に秘めているだろうが、それにしてものらりくらりした態度は変わらず。

リアムはジト目でジスクを見ると、


「兄さん、『腹減った』以外に言うこと無いの…? まぁいいけど。でも、そこの街で休憩、っていうのはボクも賛成かな。ちょっと疲れちゃったし…」


「そうね、私も賛成よ。それじゃあ、早速行きましょうか」


他の2人も、頷く事で賛同の意志を示してみせる。

早速街へ向かおうとした、その刹那。

誰もが予期していなかった未来が、そこに横たわっていた。


「うわっ、一体何だってんだよ!?」


皮切りとなったのは、ジスクの素っ頓狂な叫び声。

だが、それも無理はないだろう。


何故なら、彼の左胸──エターナルが輝き始めたからだ。

当の本人であるジスクのみならず、目の前で繰り広げられる光景にリアムとエマイユの2人も驚きを隠せない。


──また何か、よからぬ事が起きるのではないか──…


そんな不吉な考えが、ふと脳裏を過ってしまう。

それから暫くの間、エターナルはまるで何かと共鳴しているかのように輝き続けた。

その間、一同は固唾を飲んで成り行きを見守るしかなかった。


だが、エターナルは光を放つだけでそれ以上何も起こる様子はない。

ただ光るだけで何もないのではないか、なんて人騒がせな──…そんな事を心の中で呟きそうになった、その時であった。


突如辺りを埋め尽くすような強烈な閃光。

その閃光の正体──光を放っているのは他ならずエターナルであった。

辺り一面に広がる光に、思わず一同は目を伏せてしまう。

暫くして、おそるおそる瞼を開いてみればそこにはさらなるの驚愕の事実が一同を待ち受けていた。


「あ、あれ?」


ジスクが、首を傾げながら思わず間抜けな声を上げる。

何故なら、先程まであれほど輝いていた光が、あっという間に止んでしまったからである。


「な…!? さっきのは一体何だったんだろう…?」


リアムも首を傾げるばかり。

まさに、狐に摘まれたような気分である。


エマイユも不安そうにしていたが、やがて気を取り直すと、


「確かに…気になるわね。でも、見た所、特に変わった所は無いみたいだし、下手な詮索は、するだけ無駄でしょうしね。とにかく、今は先を進みましょう」


まだ引っ掛かる所はあったもののエマイユの言う事は尤もだったので、ジスクもリアムも特に異論は無いようだ。

それどころか、ジスクに至っては元気よく拳を振り上げながら、こんな事をのたまう始末。


「よっしゃ! んじゃ気を取り直して、早く飯食おうぜ!」


…結局、彼は食事の事しか頭に無いようである…。



◆◇◆



「あ、あれ? おかしいな…」


リアムが眉を潜めながらしきりに手にした何かと格闘中の模様。

彼の手には古ぼけた懐中時計があり、彼はそれをいじりながら奮闘している。


ジスクも、そんなリアムの様子に気付いたようで、


「ん? お前、変な顔して何やってんだ?」


「へ、変な顔とは何さ!? まぁ、それはさておき、この懐中時計、壊れちゃったみたいで…どうやっても動かないんだ」


リアムが、ツッコミを入れつつそう返す。

どうやらこの懐中時計、かなり大切にしているもののようだ。


それを聞いて、ジスクがその懐中時計を摘み上げた。

穴が空きそうなくらいじっくりと凝視した後。こう結論付ける。


「確かに止まってるみてーだな…。こりゃ、修理しねーと無理なんじゃねーの?」


「それなら、修理屋さんに行ってみたら? 頼めば直してくれるわよ」


ずっと黙っていたエマイユも、そう付け加えた。

リアムも一つ頷くと、


「うん、それじゃあ…直しにいってこようかな」


と言うと、近くにいた街人に道を尋ね、早速修理屋に向かったのであった。

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