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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第3章 神隠し事件に遭遇!?
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第27話

「エマイユ? おい、どうかしたのか? 急に黙りこんじまってよ」


「いえ…何でもないわ…」


彼女の口から零れ落ちた声は、今にも消え入りそうな程弱々しいもので。

何でもないと言うものの、動揺しているのは火を見るより明らかだ。

その証拠に、顔が真っ青である。


ジスクも彼女の内心を察したのか、さらに食い下がる。


「それが何でもないってツラかよ。一体何が…」


「だから、何でもないって言っているでしょう!!」


突然、エマイユが声を荒げてそう吐き捨てた。

普段、滅多に感情を露わにしないエマイユにしては、珍しい事である。

むしろ、こんなこと初めてではないだろうか。


当然、ジスクもあまりの出来事に、鳩が豆鉄砲くらったような顔をぶら下げるばかり。


そこまで、気に触るような台詞ではないはずだ。

むしろ、エマイユの苛立ちは、『これ以上立ち入らないでくれ』という気持ちが隠されているようにも思えて。


ジスクもそれを察したのか、無理矢理口元に作り笑いを浮かべる。


「…そっか。そんならいーんだ。どうやら、オレの思い過ごしみてーだな」


彼の言葉に、エマイユは申し訳なさそうに目を伏せてしまった。


一方、リアムは、そんな2人の様子を心配そうに見守っている。

特にエマイユの事が気にかかるのか、先程からしきりに彼女へと視線を注いでいるようだ。

数秒、沈黙が続いていたがそんな沈黙を破ったのはジスクだ。


「その石板に書かれてる事は、それで終わりか?」


「え、ええ…」


ジスクの問いに、エマイユは目を伏せたまま答える。

すると、ジスクはさらに続ける。


「よし、そんじゃ、石板の内容をまとめてみようぜ。それから、これからどーするかも決めねーとな」


ジスクの言葉に反応するかのように、リアムがこう切り出した。


「んーと、エターナルの封印方法が書かれてるんだよね。まずは、封印するためには『魔力』が必要で、それを得るためには『ニネア地方』にある遺跡に行け、と」


「んでもって、そこの遺跡に封印されてる魔力ってのを手にいれて、またここに戻ってこい、ってんだろ? この奥に、『魔方陣』ってのがあるみてーだけど」


2人が、このように要約してくれた。

エマイユも、2人の説明に同意するようにコクリと頷いて見せた。


「ええ。そういう事ね。フォルス軍にエターナルを渡さないためには、やはり封印するのが一番でしょうし。私はこれから…封印するために、ニネア地方に向かうわ。貴方達もそれでいいかしら?」



「ったりめーだろ? こんな得体の知れないモン、とっとと封印しちまった方が身のためだしな」


自分の左胸を押さえながら即答するのはジスクだ。エマイユに協力したいという気持ちは勿論あるが、自らに降り注ぐ災難を振り払いたいという気持ちもあるのだろう。

リアムもジスクに続くようにこくこくと頷いて見せた。


「ボクも賛成! いつまでも、こんな状態を続けている訳にもいかないしね。…ところで……」


すると、リアムは何かを思い出しておずおずと切り出しにくそうに2人の顔色を伺いながらも意を決して口を開いた。


「肝心の、『ニネア地方』ってどこにあるの?」


「………あ。」


それを聞いた他の2人は、明らかに言われて初めて思い出したかのような顔をした。

そんな重要な事、忘れられる方が凄いような気もするが。


「困ったわね…。まずは、ニネア地方がどこにあるか調べなくてはならないわね」


「でも…調べるって言っても、どうやって?」


確かに、リアムの問いは尤もである。

エマイユは口元に手を当てて暫く考え込んでいたが、後に何かを思い付いたようで、


「そうね…それなら、古代図書館に行ってみましょう。そこになら、手掛かりがあるはずよ」


「古代図書館…? 何だそりゃ?」


首を傾げつつ、鸚鵡返しをするジスク。

エマイユは一つうなづくと、


「ええ。ここから、少し遠いのだけれど…リネスタウン、という所があるの。そこにある古代図書館には、ありとあらゆる本が揃っていると聞くわ。多分、そこになら手掛かりとなる本が置いてあるはずよ」


エマイユの説明に、ジスクとリアムも成程、と納得しているようだった。


「なるほどなぁ。確かに、行く価値はありそうだな」


「そうだね。もしかしたら、マナの大戦やエターナルについて書かれてる本があるかもしれないしね」


2人の言葉に頷きつつ、エマイユはこうまとめた。


「それなら決まりね。リネスタウンに行きましょう」


一連の会話を纏めるようにそう締めくくるエマイユの双眸には、力強い光が宿っていた。

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