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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第3章 神隠し事件に遭遇!?
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第26話

石板には何かが書かれているようだったが、暗くてよく読めない。

そこで、ライトで石板を照らしてみる事にした。


すると、どうやら文字の羅列らしきものが石版に刻まれているらしい事に気づく一同。

しかし、ジスクはその文字に目をやりながら首を傾げた。


「何じゃこりゃ? 文字…か? 見たこともねーぞ、こんな字」


「それも無理はないわね」


ジスクをさりげなく一瞥してから、小さい溜息と共にそう零すエマイユ。

彼からの反応を待たずに、まるで独り言のように淡々とした口調で続ける。


「これは…おそらく古代文字ね。今はもう使われていない文字だけれど、何とか、大まかになら読めるわ」


「へぇ~、古代文字かぁ。道理でオレじゃ読めねー訳だぜ」


ひょいと石版を覗き込んでみるものの、やはりジスクにはただの文字の羅列にしか見えずに首を傾げるばかり。

一方、リアムといえば穴が開きそうなくらい石版を凝視しているが、その双眸には猜疑の色が浮かんでいて。


「これが…古代文字? 今はもう、使われていない…」


ほんの一瞬、リアムは訝しげな顔をするも、他の2人はそれに気付いていないようだ。


「……? そうだけど。何か問題でもあるのかしら?」


リアムの呟きを不思議に思ったエマイユが、小首を傾げつつ彼にそんな問いかけをぶつけてみる。

しかし、彼からの返答は何とも歯切れの悪いもので。


「ううん…何でもない」


口ではそう言うものの、やはり、まだ何かが頭にひっかかっているらしくその表情は何処か晴れない。

しかし、ジスクはそんな彼の様子など気にせずにまるで子供のようにキラキラと輝かせた瞳をエマイユに向けつつ解読を促した。


「なぁなぁ、この文字何て書いてあんだ?」


ジスクの言葉にそういえば、とハッとなったエマイユが改めて石版に視線を戻した。


「そ、そうね。ええっと…ちょっと待ってて…」


エマイユはそう返すと、石板とにらめっこを始める。

そして、途切れ途切れではあるが、翻訳を始めたのである。


「エルビア族に…告ぐ。ここに、汝らに託した…クリスタル、『エターナル』の封印方法を記しておく…」


「エターナル? それが、このクリスタルの名前か。やっぱ、名前があった方が呼びやすいよな」


ジスクが、左胸を押さえながら呟く。

本人の意志とは無関係に否応なく彼の体内に宿る事になってしまったクリスタル──エターナルであるが、やはり多少なりとも愛着がわいているらしい。


「そうみたいね。名前があるなんて、私も知らなかったわ。それじゃあ、続きを読むわよ。えっと…」


エマイユは、相変わらず石板と睨めっこをしながら言葉を続ける。


「まず…エターナルは、『マナの大戦』により…生まれた」


「マナの大戦?」


リアムが、首をかしげながら鸚鵡返しをする。


「マナの大戦…1000年前に起きた戦争らしいけど…詳しい事は知らないわ」


エマイユはそう返すと、ジスクはそれについて知っているかと彼の方に目配せした。

だが、ジスクも首を振る。どうやら、彼も知らないらしい。


ここで大戦について考えても何もならないので、とりあえず先を読むことにした。


「エターナルの封印をするには…相当の魔力が必要…だ。まずは、ニネア地方にある…遺跡に向かえ」


その言葉に、リアムの脳裏に一つの疑問が浮かび上がる。

彼は首をかしげつつ、2人にこう問いかけた。


「ねぇ…『ニネア地方』って…どこ?」


「……さぁ?」


数秒の沈黙の後、ジスクが頭上に“?”マークを浮かばせながらこう返した。

確かに、この世界に、『ニネア』という地名は存在しない。


「さぁ? って…ダメじゃん!!」


自分も知らない、ということは棚に上げておいて、そうツッコミを入れるのはリアム。

エマイユは口に手をあてながら、


「残念だけど…私も知らないわ。困ったわね…」


「知らねーもんはしょーがねーよな。それはとりあえず置いといて、先読もうぜ」


ジスクは相変わらず軽いノリで、そう提案した。

…それにしても、『しょーがない』の一言で済む問題なのだろうか。


それはさておき。

エマイユは彼に言われた通り、再び石板に視線を落とすと解読を再開した。


「そこの遺跡に…封印されている『魔力』を手にいれろ…。そして…」


エマイユは、一旦そこで言葉を切った。

どうやら、かなり石板は損傷が激しく、文字が読みづらいようなのだ。

それでも、目を凝らしながら何とか続きを読み始めた。


「また、ここに戻ってこい…。この先に…魔方陣がある…。そこで…儀式を………!」


エマイユはそこまで翻訳した所で、顔色を一変させた。

その表情には明らかに動揺と驚愕の色が浮かび、一瞬にしてさっと血の気が引いていくのが傍から見ても分かる程。


それと共に、失望の色さえも──…


彼女が顔を歪めていると、心配になったのか、ジスクが彼女の顔を覗き込みながら話しかけてきた。

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