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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第3章 神隠し事件に遭遇!?
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第20話

「うおっ!? 何だってんだ!? このままじゃ…ぶつかるッ!!」


ジスクが意外と暴走ドライバーだったこともあり、車は何時の間にやら手が付けられない程の猛スピードで疾走していて。

このままでは、木に激突するのは必至である。


ジスクは小さく舌打ちすると、意を決したようにこう言い放った。


「二人共! しっかりつかまってろよ!!」


そう叫ぶなり、力の限りハンドルを切るジスク。

…と同時に、凄まじいブレーキ音が鼓膜を刺激し舞い上がった砂埃が辺りを覆い隠した。


「うわわわっ」


あまりの勢いに、リアムはシートから滑り落ちそうになってしまう。

しかし、踏ん張って何とか持ち堪えた。


ジスクの努力の甲斐あってか、凄まじいブレーキ痕と共に漸く暴走車は終焉を迎える。

何とかすんでのところでで木の激突から免れる事が出来たようだ。

ジスクはやれやれ、と一息つくと、


「ふぅ…何とかなったみてーだな。やっぱオレのハンドルさばきがいいからだよな~」


だが、すかさずリアムが反論する。


「何言ってんのさ!? そもそも、兄さんが前をよく見てなかったのが原因でしょ! 前方不注意! よそ見運転だよっ」


明らかに怒気を孕んだ声色でジスクを窘めるリアムの表情は、呆れと怒りが入り混じったもので。

勿論、彼の言い分はぐうの音も出ない程の正論であった。

しかし、当の本人のジスクといえば素知らぬ顔で何処吹く風。


「まぁまぁ、ぶつからなかったんだからいーじゃねーか。そんなカリカリすんなって」


「全然良くないっ!」


へらへらと笑い飛ばしながら放たれたジスクのあまりにいいかげんな発言に、リアムは思わずツッコミを入れた。


「…全く、兄さんと話してると疲れるよ…」


と、かなりげんなりした様子で、そうつぶやくリアム。

…その言葉が、ジスクに聞こえたかどうかは定かではないが。


──そんなこともありながら、車は目的地に向けて順調に進んでいるようであった。

エマイユは辺りに見覚えがあるのだろう、懐かしそうな顔でぽつりとこう独り言を漏らした。


「ここ…見覚えがあるわ。私の住んでいた村まで、あともうすぐのはずよ」


その言葉に、ジスクも嬉しそうに顔を綻ばせる。


「へぇ、もうすぐか。もっと時間がかかるかと思ってたけど、案外早かったな」


「…兄さんが、暴走ドライバーだからね」


「…ん? 何か言ったか?」


「んーん、別に。空耳じゃない?」


ボソリと呟いたリアムの言葉は、残念ながらジスクには届かなかったようである。

何にせよ、エマイユの言う事が正しければ、目的地までもうすぐである。


「そういや、エマイユの住んでいた村ってどんな所なんだ?」


ジスクの問いに、エマイユは少し考え込むように口元に手を当てながらこう返答した。


「そうねぇ…周りを森に囲まれた、ひっそりとした村よ。村人は、全員エルビア族だし」


「へぇ~。きっと、良い所なんだろうね」


2人の会話に興味を惹かれたのか、目を輝かせながら身を乗り出すのはリアムだ。

リアムの言葉に、エマイユは嬉しそうに微笑む。


…と、3人でなごやかな会話をしていた、その時。

何時だって、混沌とトラブルは突然やってくるものである。



ドォン!!



凄まじい爆音と振動が辺りを支配する。


「うわっ!? な、何だよ今のは!?」


青天の霹靂にジスクは一体何事かと慌てふためくばかり。

どうやら、衝撃は後ろから発生したようだ。

何かが、車の後ろに激突したらしい。


リアムもまた、混乱と驚愕に支配されつつも何とか気を落ち着けてから窓を開けて外…というより後方を見やった。

そんな彼の視界に映り込んだのは、俄かに信じがたい光景で。


「なっ…!?」


瞳から入り込んだ情報が脳内で処理しきれないのか、唖然としたまま言葉を失うリアム。

それも無理は無いであろう、何故なら車の後方からぶすぶすと黒い煙がまき起こっていたからだ。

何かがぶつかった衝撃で、車が炎上しかけているようだ。


リアムは、とりあえずこの事態を伝えようと、頭を引っ込めればすぐさま慌てた様子で2人に現状を伝える。


「ふっ、二人共! 大変、大変だよ! 車、燃えてるって!!」


やはり混乱は拭えないようで、言いたい事が纏まらず金魚のように口をパクパクするばかり。

それでも辛うじてジスクとエマイユには伝わったようだ。


「燃えてるって…何だよソレ?」


慌てふためくジスクに対し、エマイユは冷静な口調でてきぱきを指示を送る。


「兎に角早く車を止めなさい! いつ爆発するかも分からないわ」


「……! 分かった!」


エマイユの言葉にハッとなったジスクは、一つ頷いた。

そして、ブレーキを力の限りありったけの力を振り絞って踏みつける。

その際の衝撃は凄まじく、一同が前につんのめりそうになる程だった。


凄まじいブレーキ音が響き渡る中、何とか車は止まった。

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