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Eternal Link  作者: 天空朱雀
第3章 神隠し事件に遭遇!?
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第17話

「何なんだ一体!? 非常識にも程があるだろう!?」


感情を隠す事もせず、怒りのままに怒鳴り散らすリーゼス。

すると、どこから現れたのかエマイユが彼を冷ややかな視線で見やりながらこう返した。


「あら? 非常識なのはどちらかしら? それに…早く質問に答えて下さる? リアムは何処にいるの?」


まるで畳み掛けるようなエマイユの冷たい声色。

どうやら、口調は冷静だが内心かなり相手に対して侮蔑の感情を抱いているようだ。


だが、エマイユの問いには答えずに、黙り込んでしまったリーゼス。

黙秘を続けていれば、何とか逃げ切れるとでも思っているのだろう。

しかし、視線というのは正直である。


無意識だったのだろう。

だが、彼の視線はほんの一瞬だが…車の後部座席、つまりリアムのいる所へ向けられた。

普通なら見逃してしまいそうな、ほんの刹那の行動だったがエマイユの目はごまかされなかった。

彼女は、その視線を見逃さなかっただけではなく、その視線の先にあるものまでしっかり見抜いていたようだ。

エマイユは確信めいたような表情を浮かべると、迷う事無くジスクへとこう切り出した。


「ジスク。リアムはおそらく後部座席にいるわ」


それだけ端的に言い放つと車の後部座席を指差すエマイユ。

その仕草だけで充分ジスクに伝わったのだろう、彼はコクリと頷けばこう返した。


「よっしゃ! 後部座席だな!」


勢いよく車の方へと駆け出しリアムの姿を探すジスク。

一方、リーゼスといえば心中穏やかではない。


何しろ、リアムが後部座席にいるという事実が今まさに露呈しようとしているのだから。

それだけは何とか阻止しなければ、と彼は慌てふためきつつもジスクの妨害をしようと試みる。


「ちょっ…! 人の車に何やってるんだ!? やめたまえ!!」


彼はそう注意してジスクの方へ駆け寄ろうとするも、それは叶わなかった。

何故なら、エマイユが前に立ちはだかったからだ。


「あら? どうかしたの? 何か不味い事でもあるのかしら? …後部座席に」


嫌味たっぷりの、凄みのある言葉がリーゼスに深く突き刺さる。

図星だったのかぐうの音も出なかったのか、リーゼスは返す言葉も無く黙り込んでしまった。


そうこうしているうちにジスクは車のドアを開け、後部座席にずかずかと突入する。

後部座席にはエマイユの読み通り、ぐったりと横たわるリアムの姿が。

ジスクはリアムが見つかった事に安堵の表情を浮かべれば、心から嬉しそうに笑んだ。


「リアム…良かった…! 無事なんだな…」


だが、リアムからの応答は無い。

何故なら、リアムはぐったりしていて意識を取り戻す気配が無かったからだ。

ジスクはほっとしたのも束の間、焦燥感に襲われる心を何とか繋ぎ止めながらリアムを揺り動かした。


「おい! リアム!! どうしたんだよ!? 目を覚ましてくれよッ!」


だが、いくら呼び掛けても揺り動かしても、リアムはピクリとも動かない。

様子がおかしい事に気づいたエマイユもまた、続いて中に入ってきた。


「どうしたの? リアムに何かあったのかしら?」


リアムが目を覚まさない事にすっかり気が動転してしまっているらしいジスクは、エマイユの問いかけにもおろおろと狼狽えるばかり。

まるで藁にでも縋るかのような眼差しをエマイユに投げかける。


「リアムが…リアムが…目を覚まさねーんだ…」


その言葉にハッとなって、エマイユはリアムの方に駆け寄った。


「……。…大丈夫よ。気絶しているだけで、命に別条は無いと思うわ」


「…! ほ、ホントか? 良かった…ホントに良かったぜ…!」


エマイユの言葉に、ジスクは漸く安堵の息をつく事が出来た。

一方、リーゼスといえば完全に追い詰められたといっても過言ではない。

リアムという物的証拠を見つけられてしまった以上、最早彼に言い訳出来る材料は何一つ存在しないのだから。

言葉に詰まっていると、エマイユが冷ややかな口調でこんな言葉を投げかけてきた。


「何か、言い訳は見つかったかしら?」


しかし、リーゼスは黙ったまま地面をじっと見据えるばかり。


「流石にここまでくれば、言い逃れも出来ないわよね。どちらにせよ、何を言っても無駄だけれど」


「ま、そーゆうこった。『神隠し』の首謀者だもんなぁ、アンタ」


さらに畳み掛けるようなジスクの発言。

リーゼスは、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

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