表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eternal Link  作者: 天空朱雀
第2章 思い出の影
17/63

第14話

「よし、そんじゃ決定だな! エマイユもこれでいいだろ?」


エマイユも特に異論はないようで、すんなりと頷く事で同意を示してみせた。


「私もそれで構わないわ。元々、ほとぼりが冷めたら遺跡に行くつもりだったし」


その言葉を聞くと、ジスクは満足そうにニカッと歯を見せて笑い飛ばす。

そして、まるで猫のようにぐっと大きく背伸びを一つ。


エマイユはそんな様子をながめながら、ふと、視線を足下にずらした。

俯き加減のままゆっくりと口を開くエマイユの表情は、陰りと申し訳なさに支配されていた。


「本当に…ごめんなさいね…。私が巻き込んでしまったせいで、私に出会ってしまったせいで、こんな事になってしまって…。まさか、こんな事になってしまうなんて、思いも寄らなかったから…」


申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べるエマイユ。

しかし、ジスクの反応はエマイユが考えていたものとは正反対であった。

ジスクは首を横に振ると、あっけらかんとこう言い放つ。


「別に、謝る事じゃねーだろ。オレは別に気にしてねーし。それに、成せばなる! っていうだろ?」


「それ、微妙に意味違うし使い方間違ってるよ…」


呆れつつもすかさずツッコミを入れるリアム。

どうやら、ジスクは「何とかなる」と言いたかったようである。


「…ありがとう。そう言ってくれると助かるわ」


エマイユは、そう返すと柔らかく笑んだ。その微笑みは、まるで可憐な一輪の花がパッと咲き誇るようで。

元々美人な彼女であるが、その時の穏やかな笑顔は、彼女の魅力を最大に引き出した。

男性ならずとも見とれてしまうような笑顔だ。


「…兄さん?」


「……ん? ああ、何だよ?」


「何だよも何も…兄さん心此処にあらずって感じでボーっとしてたから。大丈夫?」


「だ、大丈夫に決まってんだろーが」


ジスクも、しばらく彼女の笑みに魅せられていたらしい。

リアムに名を呼ばれて漸く我に返ったらしくハッと顔を上げてみせる。

心配そうなリアムの眼差しに気づいたのか、ジスクは若干狼狽えつつも平気である事をアピールしてみせた。


「そんじゃ、日が暮れる前に出発しようぜ」


ジスクはそう言うと、早速出発の準備を始める。

そして、ジスクはエマイユの方に改めて向き直ると、


「んじゃまぁ、改めてよろしくな」


彼はそう言うと、太陽のような明るく晴れやかな笑顔を見せた。

そして、彼女に握手を求めるように手を差し延べる。


彼女もまた、ジスクの笑顔につられるように微笑んでからこう返した。


「ええ。こちらこそ宜しく頼むわ」


差し出された手をしっかりと握るエマイユの顔には、一点の曇りも迷いもありはしなかった。



◆◇◆



──偶然なのか、それとも必然なのか。

どちらにせよ、邂逅を止めることは出来ない。



果て無き運命の輪が今、軋み始めた──…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ