少女、転生。2
赤ん坊になって困ったこと。
『その1・喋れないので意思表示ができない』
「アリシア様、朝食のお時間です」
そういって入ってきたのは、
「あー!」
【ちょ、この人の頭に獣耳が…っ すげーもふもふしてる!触りたい!】
お察しの通り(?)、獣族といわれる方。耳から察するに、狼だと思われる。
手を伸ばすが、その意図は察してもらえず。
「えー、うー!」
【その無敵アイテム《狼耳》を触らせて下さいっ!前の世界では空想でしか無かったの!】
「え?……あ、朝食ですね」
「んーん」
同時に、首を降ってみる。
…朝食よりもそのふかふかしてる狼耳を触りたいのです!
「お食べにならないと、大きくなれませんよ?」
「………やー!」
大きくなれないなんて困る!
前の世界では背が小さいことがコンプレックスだったというのに。
転生しても小さいままでいるなんてお断りだー!
…けど、獣耳を触れないのも嫌だ。
「ええ、食べて大きくなりましょうねー。 本日はラシーム鳥の卵のお粥でございます」
「うーぁ」
【え?ラシーム鳥って何?おいしいの?】
「はい、あーんして下さい」
「あー」
【あぁ、そっか。赤ん坊は1人で食べれないよね】
話が噛み合っていない。それはもう、致命的に。
…なんと不便な…!
『その2・我慢が出来ない』
「……ぅ」
あ、ヤバい。すごくトイレに行きたい。
「うーぁ!」
【トイレに行きたいです。誰か…ってか、そこの狼耳さん!私のたった1人の乳母さーんっ。トイレまで連れて行って下さいな】
「いかが致しましたか?朝食は食べたばかりですから、お腹がすいているわけではないですよね…?」
「んー」
【もちろん、満腹です。…じゃなくて、トイレ!】
「……あ、トイレですね?
それでしたら、オムツを履いていらっしゃいますのでそちらに」
「うー!?」
【まさかの!? っていうか、何なのこの人!たまに言い当てるよね。…勘が鋭いのかな?】
…いやいや、それより。
今はこっちに集中!
どうにかトイレまで…もたせない、と……っ
「………」
生暖かいんですが、オムツが。
…やっちゃったよ!
「うぇっ……ふ、え…えぇええん!!!」
ちょ、私!;
何も泣くことないだろう!!
赤ん坊ならこれが当然なんだよ?
「うわぁあん!」
だから泣かなくても…っ
「ふぇえん!!」
……泣き止めない。
え、堪えようとすればするほど出来なくなるんだけど!?
えーい、泣き止め私っ!
「気持ちが悪いのですね。…今変えますので!」
抱きかかえられて、さらに号泣。
「やあぁー!」
………すみません、乳母さん。
しばらく私、泣き止めそうにないです。
ーーー結局、泣き止むよりも先に眠気に襲われたため、あらがうことなく就寝。
…いわゆる、泣き疲れて寝た、ってやつです。