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God Buddy  作者: 燎 空綺羅
第七話「hope」
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7-〈9〉

 餅BARから出ると、日暮れ時だった。

「ラーの守りが、消える……」

 バステトが匂いを嗅ぎつけた。

「悪魔が湧いたな。あの反応は……Mr.ダイヤモンドか?いち早く応戦しておるわ。」

 バステトは素早く姿を変え、変身した。

 シャープな猫耳のついた黒い全身レザースーツになる。大きくて鋭利な鉤爪を両手にビッシリと装着した、凶暴な姿だ。

(わらわ)には匂いでわかるぞ。先に行く、ついて来い!!」

「わかった!!」

 オーエンは走りながら脱いで、下に着た強化タイツ姿になり……

 急いでコインロッカーへ服を預けた。

 ブランド物だ、もったいない!


 オーエンの移動力も神の域だが、バステトはもっともっと俊敏で、四つん這いで獣のように飛び交って行く。

「ま、待って!速すぎる、追いつけない!!」

「足が無いか。ならば……」

 バステトが口笛で合図をすると、本当に四つん這いの、大型の虎のようなサイズの獣が走って来て、バステトは跨った。

「……ライオン?」

「そなたも乗れ、アフラ=マズダよ!シェセプ・アンクの移動力にかなうものはあらずよ!」

 シェセプ・アンク……

 振り向いたシェセプ・アンクは仮面をつけていて、それを見たら一目でわかった。

 仮面?顔?

 これは、スフィンクスだ!

 生きたスフィンクスに、バステトは乗っているのだ!

 オーエンはバステトの後ろに飛び乗った。

「失礼、シェセプ・アンクさんのお背中、お借りします!」

 バステトはスフィンクスの馬具のような道具入れから、古代エジプト式の剣を抜いて、オーエンに投げた。

 慌ててオーエンはキャッチする。

「これは?」

(ペル・アア)のケペシュよ。ケペシュは剣、防御にでも使え。黒騎士とやらは剣を振るうのだろう?毎度手足を犠牲にしていては、逃げきれぬぞ。剣戟を、(ケペシュ)で受け止めるぐらいはして見せよ!」

 バステトは、今までのオーエンを見て来て、本当にたくさんの対策を与えてくれたんだな。

 オーエンからしたら、ただの猫ちゃんだったのに。

 ひたすら、感謝しか出来ない。

「ありがとう。もっと色々、話したいことはたくさんあったのに……でも、君と話せてよかった!」

 バステトはスフィンクスを走らせながら笑った。

「ははははは!(わらわ)も楽しかったぞ!学問などダサい夢かとも思っておったが、かくも、知的好奇心のある学者を導くのが心地よいとはな!そなたはモチっと早く生まれ落ち、プトレマイオス朝の時代に(わらわ)のエジプトへ来たるべきであったな。かのマケドニア王アレクサンドロスが愛したアレキサンドリアには、後に部下のプトレマイオスが大図書館を築いた。オリエント域と古代ギリシャの知識の交わった究極の図書館には、計70万巻 が集まっていたものだ。バビロニア天文学を知った古代ギリシャ人達が天体に名をつけたり、哲学者達が競い合うように学びに訪れた。さぞかしそなたは満足したであろうよ。さぁ、学びはここまでだ。これより先は、戦いくさぞ!!既に火蓋は落とされた、後は剣で語らうのみよ!!」


 悪を解放された人間軍団は、苦しみを呻きながら対人戦に迫った。

「どうせお前らも、俺をいたぶるんだろう!?妻が、同僚が、そうしたように!!」

 人々は、エジプト・メイソン・リーにだけ群がった。

「狙いは我々だ!退避!!退避せよ!!」

「太陽の神様がいるなら、何故俺を助けなかった!?」

「わたし達を苦しめる神様なんか、もういらないわ!自分の身を守る為には、殺すしか無いじゃない!!」

「退避……うああああああああッ!!!」

 悪を解放された人間軍団は、苦しみながら、エジプト・メイソン・リーを惨殺している。

 キングは倫理観から、選択を迫られ、苦悩した。

 守るには、殺すしかないだと?

 違う。

 オーエンなら、こんな時どうする?

 アシャは死んだ。

 何の為に?

 過ちを、繰り返さない為だ。

「南無阿弥陀仏」

 玄奘が容赦無く殺していたのを、キングはぶん殴って気絶させた。

 やってしまった。

 だが。

 ずっとずっと、気が晴れた。

「ハリソン!コリン!おめェらは帰りな……ここは、俺一人で」

 ハリソンとコリンは玄奘を縛り上げてから、首を振った。

「帰れねぇよ、キング。俺たち、もう無関係じゃねぇんだ。」

「ダイヤモンド・クルセイダースは、非道は許さねぇ!それに、人間相手なら、殺さずの人間じゃなきゃあよ!!」

「……へっ。そうかい。ならば」

 キングは人間軍団をなぎ倒しながら声を張り上げた。

「……エジプト・メイソン・リーを救助すんぞ!殺すな!俺たちで皆の、悪の運命をぶっ壊す!!」

「「おう!!!」」

 悪の解放を受けた人間軍団は、縛られた玄奘などに見向きもせずに、逃げ惑うエジプト・メイソン・リーに襲いかかった。

「総員、撤退せよ!!狙いはラーだ!我等はラーの信仰を守って生き残れ!!!」

「殺せ!」

「今更誰かを助けるなんて、許せねぇ!!間に合わなかった俺達が、悲しくて仕方ねぇ!!」

 撤退を促した人は人間軍団に斧で首を跳ねられた。

 エジプト・メイソン・リーは散り散りになり、合図した。

「ロッジで!」

「ラーの守りは、我等にかかっている……!」

 明らかに、悪を解放された人間軍団は、エジプト・メイソン・リーだけを追尾していた。

 おそらく、悪魔側の指示であろう。

「死ねーーーッ!!」

「うわあああッ!!」

 エジプト・メイソン・リーの一人が為す術なく身構えた。

「いーや!!てめぇが死ねーーーッ!!!」

 ハリソンの釘バットが殺人鬼の脳天に打ち込まれた。

 殺人鬼は意識を失って倒れ込む。

 しかし、次々と殺人鬼達は群がった。

「逃げな!悪党共の相手は、このダイヤモンド・クルセイダース最強の、グレート・ヤンキー高校生が引き受けっからよぉ!!」

「……恩に着ます!」

 やっと、一人逃がせた。

 ハリソンは後を追おうと群がる殺人鬼達を、一網打尽に下段打ちして行く。

「行かせっかよ!!イヤッハーーー!!こっから先は、ハリソン様のナワバリだぜぇ!!!」

 一方、エジプト・メイソン・リーの二人組が、殺人鬼に応戦しながら退路を目指す。

 しかし、目指していた退路に殺人鬼が立ちはだかる。

「くっ……!」

 殺人鬼の片足は、矢で吹き飛んだ。

「なにィ!?ああああああああぁぁぁ!足が、俺の足があっ!!!」

 アーラシュの援護だ。

 退路から二人組を逃がし、まだまだ矢を放ちながら、指示した。

「俺の手加減じゃ犠牲はでかいがな……コリン!死角を頼むぞ!!ワイアット!人間軍団には統率者がいる、この場は囮だ!」

「死角は任せな、カマンガー兄貴!!」

「囮?なんだと?……だが、こいつらは悪を解放されてんだ!俺が統率者に行けば、コリンやハリソンが……!!」

 アーラシュは矢を射る手を止めずに告げた。

「逆にだ、ワイアット!悪魔共が来たら、コリンとハリソンはかなわねぇぞ!!」

 キングは苦渋の決断をした。

「現状悪化は避けてぇ……わかったよ、カマンガー兄貴。天使様!硬質化の力はコリンとハリソンに送ってくれ!俺は悪魔共を仕留めに行くからよ!!」

(無茶です、ワイアット!わたくしがコリンとハリソンを硬化していたら、貴方がノーガードになるのですよ!!)

「知ってんだろ、天使様……俺ぁタフなんだぜ!それによ。なぁ、アンタも来んだろ!?アエーシュマさんよ!!」

 キングの影からシルクハットが伸びる。一回転跳んで現れたのは、アエーシュマだ。

「いつから、気づいていたのだね?わたしはひっそりと、キング君の影に隠れていたと言うのに!」

「なんとなくだよ。アンタみてぇな男に、この悪神群のやり方は認められねぇと思ったのさ。」

 キングの思った通り、アエーシュマは悪神群に憤慨していた。

「その通りだッ!!実に気に食わないッ!!無力な医療班を狙うなどと!黒騎士のやり方はただの虐殺に過ぎないッ!!いよいよ、悪神群は狂い出したッ!!もはや、わたしの居場所では無い!こうなっては、ただの礼儀知らずの殺戮集団よッ!!」

 キングは胸が熱くなった。

 死闘の末の信頼が、この男にはあるッ!!

「だから、アンタは信じれるッ!なぁ、アエーシュマさんよ。俺とアンタは宿敵同士だが、今は、手を貸しちゃくれねぇか?」

 キングとアエーシュマは見つめ合い、やがて片手同士を張り合った。

「共闘の申し出は受けて立とうッ!!だが、我等だけで黒騎士までは辿り着かんぞ、キング君よッ!!ジャヒーと対等な力ある女悪魔、パリカー達がわんさかといるのでな!!」

「へっ!どうせアンタは投げ飛ばしまくるし、俺はぶん殴りまくんだろ?」

「その通りッ!!(こころざ)(たが)えた邪悪は、とことん排除するのみよッ!!!」

 キングとアエーシュマが走り去ったところで、ようやくバイクに乗ったミカエル達が辿り着いた。

「ベルフェゴール!痺れ霧のブレスを!!あたしは人間勢に暗示魔術をかけて食い止める!!サタン、アンタ先に被害者の止血を……」

 サタンが実体化思念になる。

 悔しげだ。

「……サタン?」

「ミカエル。それどころじゃない、やられた。ベルフェゴールにこの場を任せて、国道へ走れ!」

 ミカエルは意味を測りかねて、瞬きした。

「え……」

「ラジエル様から伝達、カリオストロが殺られた。カリオストロを助けた教員も重傷だ。治療がいるし、カリオストロのバックアップを取りに行かなければ……」

「え……?だってそれは、あたしじゃなくて、エジプト・メイソン・リーが」

 サタンは、伊達に情報共有思念体では無い。

 エジプト・メイソン・リーの現状が、各思念体と共有して、見えていた。

「エジプト・メイソン・リーは……以後、カリオストロを回収することが、出来ない。カリオストロを再起動出来る錬金技術者は、もう、ミカエルだけだ。」

「……えっ?」

 ミカエルは初めて事態の重大さに気づいた。

 今までの悪神群は、弱き医療班であるエジプト・メイソン・リーを狙ったりはしなかった。

 黒騎士だ。

 彼女は、神殺しに出たのだ。

「……太陽神ラーへの信仰を滅して、高エネルギー体ラーの弱体化を計り……弱ったラーを、殺す。余りに厄介な小賢しさだわ。……ううん。今は、あたしがカリオストロを守るしかない!ベルフェゴール!ここ、任せた!!サタン!案内して!!」

 ベルフェゴールはブレスを吐きながら答えた。

「貸しは返せ!明日あたり悪神イライジャのお膝でくつろがせろ!!」

「はいはい、とにかく頑張ってよ。頼んだからねー!」

「ナビゲートを開始する!ミカエル、一刻も早くカリオストロを回収するんだ!」

Copyright(C)2026 燎 空綺羅

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