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God Buddy  作者: 燎 空綺羅
第五話 金剛八連撃
25/70

5-〈12〉

 キングとパッパが自宅に帰ると、マッマがパッパに激おこだ。

「ローレンス!!ワイアットは朝ごはんもまだなのに!なんで貴方はいつもルーズなのよ!!」

「ごめんよジル、ワイアットも。会社でも皆を待たせてる、確かにルーズだったよ。」

 パッパと別れ、リビングに行くと、アーラシュとコリンが勉強していて、キングに気づいた。

「おかえり。」

「遅かったな、キング。腹減ったな。食うか?」

 キングは瞬きした。

「先に食えと言ったはずだぜ?」

 マッマがパンの包みを運びながら、言った。

「コリンがね、コリンの家族は滅多に揃わなくて、だから昨晩の夕飯みたいに、皆揃って食べたいって言うのよ。それぐらいなら、叶えてあげれるから、ワイアットを待ってたの。さぁ、朝昼にしましょう。」

 キングはにっと笑い、椅子に座った。

「馬鹿だなコリン。てめぇ、パンを腹いっぱい食う機会を逃したぜ。なんせ、俺の好物のパン屋なんだからよ。」


 勉強。

 パトロール。

 ご飯。


 勉強。

 パトロール。

 ご飯。


「ツナ!被害者に救急車を呼んでくれ!ポテトは僕と次の2つの地点へ!」

「「イエッサー、オーエン!」」

 ゴーレムのツナ・サンダースは直ちに被害者に緊急手当をし、病院に電話する。

 ゴーレムのポテト・サンダースは柔らかめのバットを担ぎ、オーエンと違う次のルートへ。

 ミカエルのゴーレム六人の活躍だ。

 アールマティの送る思念のMAPは、〇、成功マークが急増化している。

 救助率は格段に上がっている。

 助けられる。

 間に合う。

 いま、僕らはまさに、絶好調だ!


 ついに期末テストはやって来た!

 テスト中、教師はカンニング防止の為に練り歩き、生徒達のお喋りは無く、皆が机のテスト用紙に向かってペンを走らせた。

(わたくしは、ナリを潜めて待ちます。さぁ、ワイアット。今までの努力の成果を見せる時。願いは、貴方の手で叶えるのですよ。)

(あぁ、天使様。あれから、大事な仲間や、大事な家族が増えた。そいつらの為にも、休暇の自由を勝ち取るぜ!!)

 キングは真剣にテスト用紙に集中。

 オーエンもまた、テスト用紙に筆記していた。

(忙し過ぎた……眠い。でも、復習を欠かさなかったから、わかる!全問書いてからだ!寝るのは、後だ!!)


 影の国。

 常夜のそこは、上空から無数の紙工作の星が吊るされ、世界のどの影とも繋がっている亜空間である。

 小型のオペラハウスを模した劇場では、悪神群のアエーシュマが舞台に上がり、芝居がかった鼻声で手をかざし、嘆いた。

「おぉ!なんという!なんという事だ!!ジャヒーの作戦に落ち度は無かったというのに、我々は今、劣勢に立たされている!!いいや、むしろ我々の策略がアフラ=マズダ側の脅威になり過ぎたからこそ!あちらは戦力を増強してしまったのだ!あたかも、強大なイスラームがコンスタンティノープルを刺激し、残忍な十字軍を作り出してしまったのと似て……!!」

 スポットライトは増え、観客席のジャヒーを照らし出した。

「アエーシュマ。何を怯えるわけ?趣味の芝居はそこまでにしなさい。アンタも力を感じてるはずよ。アフラ=マズダは既に遅い。もはや、あたし達の利益の方がデカイわ。暗示にかかった神秘主義者たちの、悪の投票よ。殺人は特に業の深い悪のポイント。あたし達への悪の投票は、もう既に杯から溢れる程、満たされた。今のあたし達が自ら街に繰り出し、人間を従えて表舞台に現れれば。人間は倒せても、何段階も強化された悪神群に、未熟なアフラ=マズダは敵うかしら?」

 アエーシュマはシルクハットを外してお辞儀し、仲間を称えた。

「おぉ!心強き仲間よ!我らの聖杯は穢れた血に満ち溢れた!今こそ好機!全ては、」

 二人は声を重ねた。

「「全ては、我らの地獄の到来の為に。」」


 期末テストの結果が発表された。

 アーラシュはキングとコリンを勇気づけた。

「いいか?落ち着いて、自分の名前を探せ。深呼吸してから、点数を見るんだぞ?」

「あぁ、カマンガー兄貴。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」

「俺は頑張った、頑張ったんだ。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」

 二人は何を出産しようというのか、妊婦の呼吸で自分の名前と点数を探した。

 オーエン・テイラー、首席でALL1位。

 オーエンは安堵の息をついた。

「良かった、眠気に打ち勝てた………これでラジーを安心させられる……。」

 ハリー・ソーンダイク、ALL3位。

 ハリソンだ。

「ハリソンが……そうかぁ、名前見つけたこと無いとは思ってたが……。あいつ、トップ組だったのか。」

 コリンのぼやきにオーエンが答えた。

「本物の天才っていうのは、ハリソンみたいな人のことだよ。授業を見たらインプットして終わりだ。それに、成績なんか気にしないし、見にも来てない。戦いも強かった。文武両道さ。」

 キングは自分の名前を見つけた。

 深呼吸し、点数を見た。

 ワイアット・ジョーンズ、ALL25位。

 特に歴史は点数が高く、89点だ。

「やりましたね、ワイアット!!」

「赤点回避どころか!上位組だぜ!!男はやる時はやるが……限界超えてた訳だな!?天使様、カマンガー兄貴!感謝してるぜ!!」

 キングはアールマティになったりワイアットに戻ったりしながら、喜びのガッツポーズだ。

 コリンは不安げに自分の名前を見た。

 コリン・ホイットモア

「深呼吸しろ、俺。出だしは遅かったが、頑張ったんだろ?俺?」

 ヒッヒッフー。

 ヒッヒッフー。

 コリン・ホイットモア、ALL49位。

「ギリギリだァー!!1位の差で赤点回避だァー!!50位だったら休暇講習だった……!!二度とゲイビの観比べで時間を投げるのを、やめよう……!」

「あぁ。観比べ、してたな。濃いキャラのゲイビ男優はいたか?」

 キングの好奇心をアールマティが打ち消した。

「マッマが今夜は点数に関わらず、打ち上げパーティーをすると言ってましたよ。カマンガーもコリンもハリソンも招待されています。ワイアットの大事な仲間だから、と、仰ってました。」

 コリンは大喜びだ。家庭に家族が不在で、今まで寂しかったのだろう。

「キングのママ、最高だぜ!温かい食卓を皆で囲むって、幸せなことだよ。」

「……お袋に言いな。聞いたら、すげぇ喜ぶだろうよ。」

 ハリソンが来て、キングとオーエンを見て、走って来た。

「おい、キング!テイラーも!やべぇ事態だぞ!!ちなみに赤点は?回避したか?」

 キングが腕を組んで頷いた。

「無事だ。俺らの縄張りを取り戻すぞ、ハリソン。」

「やったぜ!聖ワイアットとクルセイダース、出陣開始だ!!同士達よ、聞け!今、繁華街には魔法で操られた奴らが集合し、それを率いる悪魔が二人来てる!前にも出て来てた、報道に映された奴らだ!」

 オーエンが尋ねた。

「カリオ……バールサモは?」

「バールサモは既に、エジプトなんたらの連中を率いて、時間稼ぎに出陣した!あいつ、魔法使いだろ?それから美人の姉ちゃん、よくオーエンと話してる奴が、味方を六人連れて、あと犬、連れて、今戦ってる!!俺たちで加勢すんだろ?クルセイダースの出番だ、キング!」

 アーラシュが手を掲げると、弓と矢が創造された。

「カマンガー兄貴!その弓矢は、まさか死因の……!?」

 アーラシュは苦笑した。

「安心しろ。俺が死ぬ弓矢は、アールマティ様が作らせるお手製設計のものだ。これは俺の生んだ弓矢でな。俺は、射主と国境の概念だ。詳しい話は置いとこう。クルセイダースの出陣だろ?俺の射る矢は繁華街まで届くし、ターゲットも見えるからな。援護しながら、移動する。先に行くが、その前にワイアットとアールマティ様は号令を出してくれ。(いくさ)の決まりだろ?」

 コリンとハリソンはアーラシュに惚れ惚れした。

「概念……弓矢か……」

「かっけぇな。あれ、アールマティ?カマンガー?どっかで見たな……あぁ、イランのヒーローか〜。」

 オーエンも言った。

「僕もクルセイダースだ。キング、アールマティ。号令を出してくれ。」

 キングは考え、まずはアールマティに変わった。

「クルセイダースよ。どの時代にも、人の子らの(いくさ)はあるのでしょう。善だと信じるもの。()しき敵だと断じるもの。それらが心にある限り、(いくさ)は連鎖してゆくのです。わたくしにも敵もいれば、因縁もある。ですが、ワイアットに出会い、わたくしは(ゆる)しを知りました。クルセイダースよ。敵は悪神群ダエーワ、悪業の元に生まれた悪魔達です。ですが、この戦いは憎しみの元に剣を振るうのではなく、人々と、悪魔達さえも、解放すべく剣を握りなさい。わたくし、大地母神スプンタ・アールマティはここに宣言します。貴方達が解放者として、この(いくさ)に臨まんことを。」

 周りは、クルセイダースの話も知らないながら、聞こえた生徒達は拍手喝采を返した。

「なんだかわからないが、キングがすごいぞ!」

 ハリソンもコリンも、オーエンも拍手した。

 アーラシュは一礼した。

「御心のままに、貴方の忠実なる弓兵となりましょう。」

 キングがアールマティと代わって出て来た。

「概ね、天使様の言う通りだが……俺は、俺自身が悪党だった。人は皆、運命の奴隷だ。だが、運命はぶっ壊せることを、俺は学んだ。人は変わる事が出来る。悪魔だって、運命をぶっ壊してやれば、変われるかもしれねぇんだ。変えてやろうぜ、悪党をよ。おめェらは、敵の運命をぶっ壊せ。今回はぶん殴ってもいい。俺達は命懸けで、悪党共を解放する。それがクルセイダース……ダイヤモンド・クルセイダースの、戦い方であれ!!さぁ、行くぜ!!俺に着いてきな!!ひと暴れして、縄張りを守りに出るぞ!!出陣だ!!!」

 コリンとハリソンは歓喜で声を張り上げた。

「おう!!」

「ダイヤモンド・クルセイダース、出るぞ!!」

 オーエンも頷いた。

「運命を、ぶっ壊す戦いだ……!」

Copyright(C)2026 燎 空綺羅

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