表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

第13話 マルゴ。

「あら、重い男さん、リディアは図書委員会よ。」

「…知ってるし。」


リディアの婚約者になったベル君は、すっかりチャラ男を卒業したようだ。

放課後、教室で本を読んでいる。リディアを待っているんだろう。

もう、下級生の誘いは皆断っているようだし、呼び出されてふらふら付いて行くこともなくなった。正式にリディアと婚約したから当たり前と言えば当たり前だけど…。少し前までは想像もできなかったわね。


覗き込んでベル君の読んでいる本を見てみると、冒険小説?


「チャラくなくて、金髪で、私だけを愛してくれる、冒険小説を読む男、ねえ…」


前からリディアが結婚したかったのって、こいつだったんだわねぇ…。思わずにやけてしまうわ。


「は?」


「ああ。ベル君、いいこと教えてあげる。リディアはね、お天気のいい6月に結婚したいってよ。うふふっ。」




*****


「リディア?せっかくあなたのいい人も見つかって、婚約も調って…しかも、跡取り同士の大恋愛、っていうのに、なんだかいまひとつ浮かない顔ね?どうした?」

「マルゴ…」

「え?まさか、あいつまたふらふらと女の子に付いて行った?」

「ううん。そんなことないよ。」

「じゃあ、何よ?」


どうも…先日の図書委員会の後に、エマという下級生に呼び止められたらしい。

私も覚えているわ。ベル君の取り巻きの一人で、いつもキャラメル色のツインテールを揺らして教室に訪ねて来ていた女の子ね?


「…私は興味も関係もありません、って顔してて、ちゃっかり横からベルを取って、婚約したのが許せないらしいのよ。」

「ああ、まあ、外から見たらそう見えるのかもだわね。」


「エマちゃんが言うには…ベルには昔から好きだった人がいるらしいの。でも、どうしても家の事情で結婚できない人なんだって。そう言われて交際の申し出を断られたって。で、エマちゃんは諦めたらしいのよ。」

「へえ。」

「この婚約は、私から申し込んだの。まあ、いろいろとあって。でもね、ベルに本当に好きな人がいるのなら…やめた方がいいのかもね。あなたの屋敷で侍女で雇ってもらおうかしら、ね?マルゴ?それとも、気が付かないふりして続けていくべきかしら?私から申し込んだんだし、ね…。」


「……」


へええ…。


ベル君て…バカなの?



*****


「ちょっと荷物運び手伝って、いい?」

ベル君を社会科資料室に呼び出した。そうでもしないと、基本、あの二人は一緒にいるからやむを得ない。


「あのさあ、リディアがあんたと婚約破棄したいって。」

「え?」


どさどさっと、せっつかく積んだ資料がベル君の手から落ちる。

あ、動揺してる、動揺してる…うふふっ。


「エマちゃん?に、あなたには家の事情で結婚できないけど、ずっと好きな人がいるって聞かされたらしくてね。」

「……」

「考えちゃったみたいよ、リディア。この婚約も自分から言いだしたからって、責任を感じているみたいよ。責任感だけの結婚もねえ…きついわよね?」

「……」

「あの子、うちで侍女やるって言いだしてるのよ?どうするのよ?」

「……」

「ねえ、あんたから、ちゃんとプロポーズしてあげたら?どうせ言わなくても分かってくれるとか思ってるんでしょう?」


「……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ