続アフリカ連合艦隊VSエジプティアン陸海軍②
Xデーを越えた瞬間あっという間に戦争が始まった。西アフリカ連合(アフリカ連合艦隊)が東アフリカ連合(エジプティアン陸海軍)を圧倒。戦前の下馬評を覆し、西アフリカ連合(アフリカ連合艦隊)が、電撃的な勝利をおさめた。
この勝利は周到に計画されたものであり、ローストの乗艦しているアフリカ連合艦隊旗艦ニジェシエラは特に目立った動きは見せなかった。大規模かつ最小限度の被害で海戦らしい海戦もなく、戦争は早期に解決するかに見えた。
しかし、エジプティアン陸海軍の反撃が予期せぬ所から、始まったのは誰も予測していなかった。窮鼠猫を噛むと言う奴である。戦闘の山場は、陸上部隊に集約されている。広大な土地での戦闘を円滑に支援するのは、ビーフン提督の率いるアフリカ連合艦隊の役割である。
補給の任務も兼任している。陸上兵力で劣る西アフリカ連合軍は艦隊からの補給は死活問題であり、あくまで補助的効果しか得られないが、それは非常に有効な作戦である。と言うよりも、アフリカ連合艦隊の艦艇がなければ、戦いにならないと言っても過言ではない。
予備艦隊を保有している国も多く通商破壊作戦は各国海軍の常套手段である。補給任務による海軍艦艇の存在意義は非常に重要であり、大変にもったいない話ではあるが、輸入に食料受給を頼っている様な国は、大砲やミサイル等の兵器による打撃よりも、タンカーや巨大な貿易船を破壊される方が、よほどダメージは甚大である。
昔から兵糧攻めと言う作戦がある様に、海上における通商破壊作戦は敵の国に確実にダメージを与える。ビーフン提督もその辺りの事は充分に理解している。トップにいる者はいつも孤独である。何故ならば全責任を一人で背負い勝たなければならないからである。
トップ以下の者は上位下達である。弱肉強食の世の中、そうこうしているうちに、形勢が変わった。優勢を取り戻していたエジプティアン陸軍が次々に敗退して行ったのである。エジプティアン海軍も同じだ。いや寧ろエジプティアン海軍の方が先にやられた。
そこはビーフン提督の腕が鳴った。約10年近く続いた内戦もようやく出口が見栄始めていた。結局アフリカ連合艦隊の活躍により、エジプティアン陸海軍は破れ去った。自然淘汰的なその敗北は、盛者必衰の理の如くアフリカの大地に終戦をもたらした。
エジプティアン王国はここに崩壊し、長きに渡る戦争の惨禍はついにようやく終結したのである。ローストはそれを間近で見た。