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ビーフンとの握手(同盟)

 仲が良くなるにつれ、ローストとビーフンは互いをリスペクトしつつも、相入れないものがある事を野性の勘で悟っていた。


 エジプティアン正規軍を中心とした東アフリカ全軍と、ナイジェリア正規軍を中心とした西アフリカ全軍によるアフリカの東西全面戦争は泥沼化し、停戦もままならない状況が続いていた。 


 勿論、ローストもそれを知らないほど脳天気ではないし、アンポンタンではない。人間の目を見れば分かる。目は口ほどに物を言うとはよく言ったものではある。


 実はビーフンはAU(アフリカ連合軍)の艦隊指揮官であった。トップの人間と言うものは常に孤独との戦いである。ビーフンは目立った取り柄も無いローストの様な青年に自分の身代わりをしてもらいたかったのかもしれない。


 ローストにとってはビーフンが何者でも構わない。彼の人柄とその人物に対して信をおいている訳であり、自然なありのままの自分でいられるのだ。信頼関係とはそう言うものである。男と男の場合は目と目で分かり合う。そう言う男のたしなみや作法は重要である。

 

 ビーフンの心中を察したローストは固い握手を交わした。ビーフンは心強い相棒を手に入れた事で心置き無くアフリカ大陸の天下統一の為の、秘密軍事作戦を発動しようとしていた。勿論、多少の犠牲はつきものであるが…。


 それでも戦わなくては真の平和は訪れない。ローストはビーフンに付いていく事にした。それはあくまで、流体運動の法則の様に風に乗っただけに過ぎない。それでもこれは何かの縁である。男に生まれたなら一度はヒーローに成りたがるものではある。


 それもそうだが、結局の所はこの世が弱肉強食であると言う事でしかないのだ。ローストとビーフンの間に何かあると言う事ではない。友情等と言う薄っぺらな夢物語でもない。リアリズムを追求した上での互いの利益のみを追求する。


 残念な事にそれが現実である。ローストとビーフンは互いの利益の共益に合致した事で握手(合意)した事になり、それが同盟になったと言うだけの話だ。合理的克つシンプルな自然の掟が人間にも例外無く適用されると言う事である。


 こうしてローストはビーフンに付いて行きエジプティアン陸海軍との戦争に臨む事になった。

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