何の為にこれだけの戦争をするのか?~見つからない答え~
ローストの戦いは完結した。だがローストの気持ちは晴れ渡っていない。何の為にこれだけの戦争を繰り返すのか?答えは見つかっていない。
確かに、これだけの犠牲を払ってロースト自身が得をした訳でもないし、世界を見渡してもこれから先に待つのは、新国家建設に伴う憲法や法律を一から作り直すと言う難題ばかりである。
ロースト自身で父ドレフミンゴを殺害した事は後悔していない。新時代にドレフミンゴの様な独裁者は必要ない。暫定政権の基で自らがその舵取りを迫られる事になるのも問題はない。
「これどうするよ?ビーフン?お前に任せても良いか?」
ローストはジャーキーをかじる。
「馬鹿野郎。お前がやんなくてどうすんだよ?」
ビーフンはタバコに火をつける。
「私も同意見だわ。ローストがやらなくて誰がやるの?」
ストロガノフはガムを噛む。
「拙者はジャポネーゼに戻るぞ。新時代の事は任せた。」
「皆がそう言ってくれるのは嬉しいけど何か自信無くなって来たわ。」
「親父ぶっ殺して世界最強のアメリケーヌ合衆国を倒した革命家の吐くセリフじゃないぞ。」
「今や世界の命運はローストの手腕に託されているのよ?」
それは事実である。
「まだまだ拙者は高みを目指したい。ジャポネーゼ帝国も変わるだろうしな。」
「相変わらずストイックな言葉だぜ。ヒロシ・アベ。君に会えて良かったよ。」
「ヒロシがいなきゃ、今頃俺達はこんな見晴らしの良い場所にはいられない。」
「ヒロシ・アベの武士道には感服したわ。」
ストロガノフは空を見上げて言った。
「この戦いでちと心が病んだし疲れた。故郷で療養する。皆達者でな。」
「元気でな。ヒロシ!ありがとう。」
シンプルな挨拶で閉めるこの淡泊な関係がローストとヒロシ・アベの丁度良い距離感であった。
「何かあったら直ぐTELしてくれ。速攻で駆けつけるからな。」
「ヒロシ・アベ。さようなら。いつまでもお元気で。」
ストロガノフも割とシンプルな挨拶だ。
「ビーフン?君はアフリカに戻るのか?」
ローストもタバコに火をつけた。
「俺も故郷に戻る。友よ、また会おう!」
ビーフンとローストは盟友と呼べるだろう。
「ストロガノフ?君はどうするんだよ?」
「私はローストと一緒にアメリケーヌ合衆国に残るわ。良いでしょ?」
「それは君の自由だが、大変だぞ?下手をすれば命を狙われるからね。」
「言っちゃ悪いけど、どれだけの死線を乗り越えて来たと思っているのよ?大丈夫よ、きっと。」
「ストロガノフには頭が上がらないな。」
「多くの犠牲を払って来たその上に立つなら、もっとしっかりしなくちゃ駄目ね。」
「ストロガノフの言う通りだな。さて、まずはクイーン・エリザグローネに連絡しなくちゃ。やること多いよ?マジで(笑)」
ロースト一味に助け出されたクイーン・エリザグローネを筆頭に世界平和の為に世の中がよくなる事を願っている。その晴れ渡る雲と目の前に広がる海を見つめ続けて恒久平和の祈りの白い鳩は羽ばたいた。
完