激闘のイオージマス
戦いはまだ終わっていない。アメリケーヌ合衆国陸上海兵混成団はまだもう1師団存在している。ジャポネーゼ帝国の領土にあるイオージマスと言うアメリケーヌ本土から数百㎞も離れた、アメリケーヌ合衆国が実効支配する小さな島に部隊が残っている。
その昔はジャポネーゼ帝国軍とアメリケーヌ合衆国軍の共同訓練の便利な軍事拠点だったのであるが、今は違う。アメリケーヌ合衆国陸上海兵第二海兵団(通称ボワトロル)が威風堂々とした形で居すわる。
兵力は約1万人(一個師団相当)だ。数の上ではロースト達率いる世界連合軍の派兵団約5万人を大きく下回っているものの、ボワトロルは激闘を展開する。
尚、島の近くには海底火山があり自然に硫黄が発生している。その為、ジャポネーゼ帝国はこの島をイオージマスと名付けた。
先手を打ったのはボワトロルの方であった。海岸付近に火力を集中させ、穴を掘り塹壕を掘る。本隊の部隊が壊滅した今、尻尾を抜かれた魚のごとき状況ではあったが、持久戦に持ち込む他は勝機がなかった。
世界連合軍は火力の集中していない反対側の崖をミサイルで破壊して、上陸を試みた。ボワトロルが反応している艦隊とは別に、見せかけの別動部隊をビーフンは送り込んだ。そんな中でもボワトロルは次々に歩兵中隊を向かわせ迎撃した。
すると乱戦になり戦場は血で血を争う激しさを見せた。塹壕に籠った部隊は投降の呼び掛けには全く応じず、毒ガスをまくか手榴弾を投げ入れるかしなければなかった。捕虜になるくらいなら死んだ方がマシと考えているのが、ボワトロルの兵士の特徴であり、勝機が無いとみるや短銃や手榴弾で自決を始めた。
それでもまだ諦めないボワトロル本隊の部隊の一部隊が戦場をキリバチマウンテンに展開し、いよいよイオージマスでの戦いはクライマックスを迎えていた。キリバチマウンテンとは名ばかりで、標高70メートル程の丘である。世界連合軍とアメリケーヌ合衆国軍の戦争もここキリバチマウンテンで決着する。
両軍の消耗は至って激しいものであった。機銃に瘤弾砲に加え海上からの爆撃と、持ちうる全ての火力を総動員してようやく決着が着いた。世界連合軍の辛勝で激闘のイオージマス戦は終わった。
この結果を受けてローストは勝利を確実なものとし、全部隊に停戦を指示した。ローストは遂に父ドレフミンゴの率いたアメリケーヌ合衆国に勝利した。以下はローストの勝利宣言である。
「私は多くの犠牲を払ったが、アメリケーヌ合衆国に勝利した。既に大規模な戦闘は終結している。反撃しようなどと考えるのは止めろ。無用な殺戮や争いは避けたい。世界連合による世界統一はこれで成し遂げられた。私の望みは戦後の平和な世界をどの様に構築するかと言うその一点にある。」
ローストは民衆を味方につける事に成功した。