ビーフンとの交流
とりあえず、人間の交流は基本的に一緒に飯を食うのが一番人間関係が上手く行く。飯を食って、酒を飲む。
ローストとビーフンも同様である。毎日同じ釜の飯を食い、ありきたりな生活をする。出自の事からくだらない話もした。とにかく何をするのも一緒だった。
縁が無ければ出会う事はない。お互いのサンクチュアリは暗黙のルールで犯さず、それだけが唯一彼等のネガティブリストであった。
ローストは元々、父親の影響で海軍指揮官としての基礎を独学で学び習得した。その為、小規模な艦隊の指揮ならとれる。
ただ、アメリケーヌ海軍には所属しておらず、軍籍はない。アメリケーヌ海軍と言えば、世界最強クラスの艦隊を保有している。ローストは海軍将校になる為に教育されて来たが、海軍将校にはならず、ただの風来坊になっていた。
一方のビーフンはと言えば、何とエジプティアン・トルコアフリカ連合艦隊の司令官である。だがそれをローストにはまだ話ていない。それを知られたくない、ただの人として接してくれる友人を探していた。
ローストもその点に関しては、同じであり結局二人は同じ穴のムジナであった。当然ながら二人共触れられたくない場所や軸はあるだろう。それは人として当たり前の事である。
そんな二人の楽しみはカイロのバーで水タバコを吸う事であった。それなりの貯えがあるビーフンの奢りであった。正直、水タバコは庶民にとっては贅沢な嗜好品である。
金なら腐るほどあるビーフンは、こんな紙切れが有事の際には全く役に立たないであろう事は、よーく分かっていたから散財していたいと言う気持ちがあったのかもしれない。
しかし、現状において、エジプティアン・トルコアフリカ連合艦隊とアメリケーヌ海軍は交戦状態にあり、危険な状況である事に違いは無く、一歩でも真実の核心に触れたならば、ローストとビーフンは、敵と味方に分かれて戦わなければならなかった。
無論、ローストはただの旅人であり、軍籍はない為ビーフンと戦う義務は生じないのではあるが…。




